個人間ならば、メールよりもLINEなどのメッセージ系アプリでやりとりする方が、手っ取り早い。相手への呼びかけ方や挨拶などを気にする必要はなく、要件のみを伝えれば良いし、スタンプ1つで伝える手段もある。とはいえ、ビジネスではそうはいかない。
社内の連絡ならば、スタンプでも大丈夫という会社もあるかもしれないが、こと取引先となると、スタンプ1個で「OK」と伝えるわけにもいかない。それなりのマナーにのっとり、用件を簡潔に伝える技術が必要になる。「たかがメール」ではない。1通のメールで、取引を反故にされる可能性すらあるのだ。
本書には、「メールの扱いにはビジネスのエッセンスが詰まっていると言っても過言ではない」と書かれている。そもそも仕事が速い人は、メールのみならず、仕事全般の処理の仕方が速いのだろうが、メールには「仕事の速さ」に直結する要素がすべて凝縮されているという指摘は、筆者も長年仕事をしてきて完全に同意する。すなわち、本書では、メール、ひいては仕事そのもののやり方を学べるのだ。「メール」という、すぐに効果が現れやすい対象から練習できることが重要だ。