人の手で育てたジャイアントパンダを野生に返す取り組みが中国で行われている。そして今回、4年前に野生に戻されたメスのパンダ、ヂャンシアン(張想)の現在の姿がカメラに収められた。ヂャンシアンは、放された場所とは違う場所で元気にたくましく暮らしている。(参考記事:「自然と人間 パンダを野生の森へ」)
人工的に飼育されたパンダが別の保護区に移動したのは初めてのことだ。パンダを自然に返そうと懸命になってきた人々は、この画期的な成果に安堵と喜びの声を上げている。
「思慮深い者」という意味の名前を持つヂャンシアンは、中国の野生復帰プログラムで放された初めてのメスのパンダだ。このプログラムでは、今までに7頭のパンダが放されているが、そのうち2頭が死んでいる。(参考記事:「世界最高齢パンダ死ぬ、人間なら114歳」)
ヂャンシアンが野生に戻されたのは2013年のこと。中国四川省の山岳地帯にある栗子坪(リーズーピン)自然保護区で、係員たちがヂャンシアンの入った箱を開けて自然に放した。
栗子坪自然保護区でヂャンシアンの糞が最後に見つかったのは2016年1月。しかし、同年4月には、国営のテレビ局である中国中央電視台(CCTV)が設置した赤外線の遠隔カメラから、ヂャンシアンが隣接する冶勒(ヤレ)自然保護区に移動していたことがわかった。この保護区にも、パンダが生息している。
「人工的に飼育されたパンダを自然に返す際に、早い段階で直面する問題の1つが縄張りの問題です。パンダが生息でき、なおかつ、ほかのパンダの縄張りになっていない場所を見つける必要があるのです」。パンダに詳しい世界自然保護基金(WWF)のコルビー・ロークス氏はそう語る。(参考記事:「赤ちゃんパンダを待ち受ける4つの試練」)
「このパンダは、野生環境の中でうまいこと場所を見つけたようです」