フランス大統領選挙 投票続く

フランス大統領選挙 投票続く
EU=ヨーロッパ連合との関係や移民問題などが大きな争点となったフランス大統領選挙は、現在も投票が続いています。今回の投票で過半数を獲得する候補がいなければ、上位2人による決選投票が行われますが、EUに反対する極右政党と急進左派の候補が決選投票に勝ち進めば、EUが一気に不安定になるおそれもあり、結果が注目されます。
フランス大統領選挙の投票は、23日、フランス各地のおよそ6万7000か所の投票所で一斉に始まりました。

フランスの内務省によりますと、日本時間の24日午前0時の時点での投票率は69.42%で、5年前の前回の選挙を1ポイントほど下回っています。

選挙には11人が立候補していて、このうち、中道で無所属のマクロン前経済相、極右政党・国民戦線のルペン党首、中道右派の共和党のフィヨン元首相、それに急進左派の左派党のメランション元共同党首の4人が、EUとの関わりや治安対策、移民問題などを争点に、激しい論戦を繰り広げてきました。

今回の投票で過半数を獲得する候補がいなければ、来月7日に上位2人による決選投票が行われますが、直前の世論調査では4人の候補が支持率20%前後で競り合っていて、どの候補が決選投票に進むのか予断を許さない状況です。

とりわけ、現在のEUに反対の立場をとる極右政党のルペン氏と急進左派のメランション氏が決選投票に勝ち進めば、イギリスの離脱で揺れているEUが一気に不安定になりかねないとして、金融市場では警戒感が広がっています。

また、投票日直前の今月20日にはパリ中心部で警察官3人が殺傷される銃撃事件が起きたことなどから、政府は各地の投票所などに合わせて5万人の警察官や兵士を配置して、テロの警戒にあたっています。

投票は日本時間の24日午前3時に締め切られ、即日開票されて、朝には大勢が判明する見通しです。

候補者も投票

有力候補らも次々に投票所に姿を見せました。

このうち、中道で無所属のマクロン前経済相は日本時間の23日午後5時すぎ、自宅のある北部のルトゥケの投票所を妻とともに訪れ、大勢の報道陣に囲まれる中、投票を行いました。

極右政党・国民戦線のルペン党首も日本時間の23日午後6時ごろ、党の地盤の1つとなっている北部の町エナン・ボーモンの投票所を訪れ、時折、報道陣に笑顔を見せながら1票を投じていました。

また、中道右派の共和党のフィヨン元首相と、急進左派の左派党のメランション元共同党首もそれぞれパリ市内で投票を済ませました。

投票終えた有権者は

パリの15区にある投票所では、有権者が次々と訪れ1票を投じていました。

このうち、中道で無所属のマクロン前経済相に投票したという男性は「既存の政党の候補と違い、一緒にフランスを改善し、前進していこうとする姿勢に共感できます。今のフランスには人々をまとめるような候補が必要で、社会問題を高所得者や外国人のせいにし、皆の意見を分断させるような候補には投票できない」と話していました。

マクロン氏に投票したという女性は「極右政党・国民戦線のルペン党首に対抗できる唯一の候補だと思います。大統領には正直な人がなるべきで、汚職をするような人にも投票できません」と述べ、決選投票に進んだ場合、マクロン氏であれば極右政党のルペン氏や中道右派のフィヨン氏に対抗できるという考えを示しました。

また、急進左派・左派党のメランション元共同党首に投票したという女性は「一部の人だけが豊かになるという現状に変化をもたらしてくれると思い投票しました。彼なら失業問題など、さまざまな課題を解決できるはずです」と話し、大規模な景気刺激策や最低賃金を引き上げるという公約に期待を寄せていました。