2017年4月19日
4月定例社長会見
福知山線列車事故追悼慰霊式、睡眠改善システム、運行情報新サービス
詳細
1 最近の営業・輸送概況
【取扱収入】
3月直営の取扱収入は、春分の日の3連休(3月18日から20日まで)が好調だったことをはじめ、近距離・中長距離ともにご利用が好調に推移したことにより、前年比で近距離104%、中長距離102.7%となりました。定期は曜日配列の関係で、お客様の購入時期が4月にずれ込んだことにより、前年を下回りました。2016年度累計では、昨年4月に発生した熊本地震の影響による減や、北陸新幹線における開業特需の反動減があったものの、インバウンドのご利用増や、九州観光復興キャンペーンなどが好調であったことから前年を上回りました。
※注釈 駅などでの取扱高(消費税を含む)を示します。
※注釈 直営の速報値です。(旅行会社発売分などを除きます)
【ご利用状況】
3月のご利用は、収入と同じく3連休の好調などのご利用が好調に推移し、前年比で山陽新幹線103%、北陸新幹線102%、在来線特急104%、アーバンネットワーク104%となりました。2016年度は、山陽新幹線では、上期、熊本地震の影響を受けたものの、下期は好調で、前年を上回るご利用となっています。北陸新幹線は、開業効果が一巡した後半にかけて前年並みの実績まで復調し、堅調なご利用となりました。在来線特急は、定期「サンダーバード」の1往復増発や「はるか」のインバウンド増により前年を上回りました。アーバンネットワークのご利用も前年を上回り堅調に推移しています。
※注釈 実績は速報値です。
2 福知山線列車事故 追悼慰霊式の開催
当社が福知山線列車事故を惹き起こしてから12年となります。極めて重大な事故を惹き起こした事につきまして、あらためまして、お亡くなりになられた方々に心より深くおわび申し上げるとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。また、ご遺族様、おけがをされたお客様とそのご家族の皆様に対しましても、心からおわび申し上げます。
当社では、4月に新たに654人の新しい社員を迎えました。入社後、主に研修センターにおいて、社会人として、鉄道人として必要な知識を学ぶとともに、事故現場への訪問や鉄道安全考動館での研修を実施したところです。新入社員には、こうした研修を通じて、福知山線列車事故についてしっかりと学ぶとともに、このような事故を二度と起こしてはならないという強い決意を持ち、どんな場合でも安全を最優先とした行動を実践できる社員に育ってもらうことを期待しています。
本年も例年通り、4月25日に福知山線列車事故追悼慰霊式を開催いたします。「お亡くなりになられたお客様へのおわびとともにご冥福をお祈りし、哀悼の意を捧げる場」として、これまでと同様、厳粛な気持ちで臨みたいと考えております。
本年の追悼慰霊式には、4月17日時点で、314名のご遺族様、268名のおけがをされた方にご出席をいただく予定となっております。ご遺族様やおけがをされた方のほかに、お亡くなりになられた方の会社や会社のご同僚、あるいは通われていた学校やご学友の方々にご案内させていただいております。また、国土交通大臣、兵庫県・大阪府両知事、国会議員、関係自治体の方々にもご参列のご案内をさせていただいております。
3 乗務員の睡眠改善をサポートするシステムの開発・実証
昨年10月にお知らせさせていただきましたが、当社では、福知山線列車事故以降、運転技術に関する教育の改善を目的として、ヒューマンファクターに関わる教育を実施しております。その中で、乗務中の集中力やパフォーマンスを高めるなど乗務の質の向上やヒューマンエラーの低減を図るために、睡眠に関する教育の充実や環境整備などに取り組んでいるところです。
「睡眠改善」のために、具体的には、乗務員の自覚を促すために「睡眠健康の増進」に関わる教育や、乗務員が自らの睡眠を振り返り、今後の生活習慣に活かすための「睡眠日誌」を活用した指導を行っています。「睡眠日誌」は、主に乗務員の資格取得後、一人で乗務する間に行う教育において、生活習慣(睡眠改善)に対する意識付けや、あらかじめ年間で定めた教育において自らの睡眠を振り返らせる目的で活用しています。具体的には、教育対象の乗務員本人が、自らの就寝、起床した時間などを手書きで記入するもので、その記載内容をもとに指導者により、生活習慣に関するアドバイスなどを行います。「睡眠日誌」の活用にあたっては、「睡眠時間や睡眠状態の記録」、「一人ひとりに合った効果的なサポート」を行うことが現場で求められます。しかし、乗務員側においては、睡眠時間や睡眠状態を自らが記録するとともに、それを継続する必要があることや、また、記録にあたっては、個人の主観に依存しているのが課題でした。一方、指導者側は、乗務員一人ひとりに合った効果的なアドバイスが必ずしも十分でありませんでした。
この課題を解決すべく、このたび、当社と富士通株式会社様により、睡眠状態の記録・可視化や個人に合った睡眠改善のアドバイスを行うシステムを開発・実証を行いました。これにより、より簡便で効果の高い睡眠改善を実現することができます。
本システムでは、まず、乗務員の腰に装着したセンサーにより、睡眠に関するデータを自動で計測します。このデータを、専用の端末(NFCリーダー)を接続したパソコンで読み取り、解析を行うことで、就床から起床までの「睡眠状態の可視化」と、蓄積した計測データを基とした専門家の監修による分析アルゴリズムにより「一人ひとりに合った睡眠改善のアドバイスを提示」することが可能となります。これにより、乗務員自らが記録することが不要となることや、これまで個人の主観に依存していた部分が解消されることになります。
睡眠状態の可視化に関しては、睡眠状態を円グラフや睡眠指数などを用いてひと目で睡眠状態が分かるようになっています。睡眠状態を客観的に振り返ることが可能となり、効果的なアドバイスにつながります。また、アドバイスについては、一人ひとりに合った効果的なアドバイスとして、個人ごとの傾向が強い項目順に表示されます。
本システムは、今年度中に、乗務員が所属する全ての職場63カ所への導入を予定しております。今後も引き続き、睡眠改善の取り組みを着実に進めることで、乗務の質の向上を図り、さらなる安全性の向上に努めてまいります。
4 列車運行情報における新しいサービスの開始
お客様からのご要望の多い、列車の運行情報の提供をさらに充実することができないか検討してまいりました。
これまで、当社では、列車の遅れが発生した際や、または遅れが見込まれる場合などに、ホームページ上の「列車運行情報」や、スマートフォンなどでご覧いただける「列車運行情報プッシュ通知アプリ」により、線区全体の運行状況を提供してきました。
このたび、「列車走行位置サービス」といたしまして、お客様がお手持ちのパソコンやスマートフォンなどから、専用のウェブサイトにアクセスいただくことで、「各列車の遅れ時分」や、「列車が走行している位置の情報」をご確認いただけるようにいたします。これにより、お客様ご自身が、ご自宅や外出先などでも個別の列車の運行状況などがご確認いただけるようになります。
お客様へ列車の走行位置情報を提供するのは当社エリアでは初めての取り組みです。今回は4月28日から京阪神エリアの17の線区を対象としてサービスを開始いたします。今後、ご利用状況を踏まえ、ほかの線区への展開も検討してまいります。