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俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

桜は散っても夢は散らない!目黒の桜道から五反田のラブホテルまで移動できるか検証してみた。

シモ 散文

もうずいぶん前の話だが、僕の性欲がまだ旺盛だった頃、五反田のラブホに誘って断られたことがある。

五反田でお好み焼きを食った後、おもむろにラブホ街に向かって歩き、精一杯の勇気を込めて聞いた。


「な、何もしないから、ちょっと寄って行かない?」


無論、何もしないというのは嘘である。得意の逃げ口上だ。

そんな僕を憐れむような、あるいは軽蔑するような目で見ながら、彼女は言った。


「今日はそんなつもりじゃなかったのに」


聞き慣れたセリフである。ここで諦めてはならない。


「ア、アイスクリームを食うだけだし」


アイスクリームルーティーンを繰り出すヒデヨシの言葉などまるで届いていないかのように、彼女は遠くを見つめながらつぶやいた。


「本当は目黒で桜を見たかったなあ」


桜...?

ホテルでビラビラを見るのではなく、桜の花びらを見たかっただと...?


そこで僕の心は折れ、桜を見に行く余裕もなく、バーで一杯のお酒を飲んで帰路についた。

彼女は巨乳で、季節は春だった。


ずいぶん時間が経ったけど、あのときの言葉は今でも覚えている。


「桜が見たかった」


あの日あの時あの場所で、もしも桜を見ていれば、ホテルに入ることができたのだろうか?
あの日の僕に足りなかったのは、桜だったのか?


あの頃の僕は、東京のことなんて全然知らなかった。
五反田が東京のどの辺にあるかもわからなかったし、目黒川は中目黒に流れているものだと思っていた。


今なら、確かめることができる。


目黒で桜を見て、五反田のラブホテルまで歩いていくことはできるのか?

確認してきた。


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目黒駅である。
天気がいい。

爽やかな青空と目黒駅。

左手側にはロンブーの淳が住んでいたと言われているパークタワー目黒が見える。

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流れる汗を拭いながら、目黒川を目指した。
目黒川が目黒に流れていないわけがない。


駅から自転車で5分くらいの場所にあるのが「目黒新橋」である。

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目黒なのに新橋という不思議な橋だ。


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この写真の奥の方に見えるのが、中目黒のアトラスタワーである。
このマンションは2009年にできた割に、港区の新築タワーマンションよりも家賃が高く、普通のサラリーマンが住むのは難しい。

そんな中目黒を背にして目黒川を下っていくと、いつの間にか五反田に着く計算である。

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Google先生が言うには、徒歩20分の道のりだ。
地図には僕が前に訪れた坐和民の目印がついているが、気にしないでほしい。


とにかく僕は過去の失敗を検証するために、目黒から五反田のラブホを目指すことにしたのだ。

目黒川沿いの道は美しかった。

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川沿いにまっすぐ伸びた道路は、自転車で通る分には最高に気持ちがいい。

人も少なく、すいすいと進むことができる。
ヒールを履いた女の子を歩かせるには厳しいかもしれないが。


途中、桜っぽい木を見つけた。

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手に取っているのは、そっと僕の肩に舞い落ちたひとひらの花びらである。


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目をつむれば君が...


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君が...


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傍に...


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いない!


現実を見ろ!お前は一人でチャリをこぐおっさんである。


それにしても綺麗な道だ。

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葉桜の季節に君を想うこと的なノリで気持ちよく自転車に乗っていたら、10分もかからずに五反田に着いてしまった。

あっという間である。
マジで近い!五反田と目黒は近かったのだ!
コロンブスがアメリカ大陸を見つけたときのような感動を覚えた。
五反田は近かった!


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まごうことなき五反田の街。
やはりゴミゴミしている。

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目黒川は五反田に通じていた。

五反田には五反田なのに大崎橋と呼ばれる橋があって、そこから歩いて3分くらいの場所に五反田駅がある。


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そして、駅のさらに奥にあるのが、冒頭で僕が完敗したラブホ街だ。

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真っ昼間であるにも関わらず、禍々しいオーラを発している。
ハンターハンターのネフェルピトーでさえ、このレベルのオーラは出せなかっただろう。

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この安さを見てほしい。

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70分2,500円。

これが五反田クオリティである。
敗因はむしろ、ラブホ代すらケチる貧しい心にあるような気がしてきた。

一人で五反田のラブホ街を徘徊していると、なんと新宿のバリ島と呼ばれるバリアンを見つけた。

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なんということでしょう。
五反田にもバリ島はあったのだ。

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2時間4,100円。

なんかちょっと安くなってる気もするが、よくわからない。

じろじろとホテルを見ていたら、仲睦まじい老夫婦が中に入っていった。
幸せそうな二人の背中を見送った後、僕は我に帰り、ホテル街から逃げ去った。


想像するに。

五反田

という、いかにもホテルみたいな街でアポるのは得策ではない。

「来週、五反田で待ち合わせね」

なんて言うと、萎える女の子もけっこういるのではないだろうか。

それが

「来週、目黒の美味しいレストランに行こう」

だとどうだろう。五反田が目黒に変わっただけで、途端にオシャレになるのだ。

幸いなことに、目黒には美味しそうな店がたくさんある。

自分が作ったサイトの宣伝になってしまって申し訳ないが、美味しい店がたくさんある。
目黒の店@タグログ

そんなオシャレな目黒から五反田までは自転車で10分、徒歩20分、そしてタクシーで5分だ。

来年の桜が咲く頃にはぜひ、勝負を焦らず、目黒でじっくりと桜でも眺めてから五反田を目指してほしい。


全ての道がローマに通じているように、目黒川は五反田に通じてる。

僕はいつまでも、五反田で君を待ってる。