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末期がんで代替療法。しかし人参ジュース作りに嫌気がさした私は…
働き盛りのがん闘病記(9)
朱郷 慶彦 プロフィール

もちろん人参を料理に使っても良いだろう。その他、人参以外にも、β‐カロテンを多く含む食材は多い。

以下、食材ごとの100gあたりのβ‐カロテンの含有量である(単位:μg)。

味付けのり32000、抹茶粉29000、焼きのり27000、しそ11000、モロヘイヤ10000、にんじん 8600、パセリ7400、バジル6300、ほうれん草(ゆで) 5400、よもぎ5300、あしたば(生)5300、しゅんぎく(ゆで)5300、しゅんぎく(生) 4500、 だいこん(葉)4400、ほうれん草(生) 4200、糸みつば4100、かぼちゃ(西洋)4000、 たかな漬3600、メロン(赤肉種)3600、にら(生)3500、ひじき(干し)3300、おかひじき3200、かぶ(葉)3200、こまつな(ゆで)3100、つるむらさ3000、からし菜漬け3000、ケール2900、わけぎ2700、クレソン2700、ちんげん菜(ゆで)2600、しその実2600、なの花2400、リーフレタス 2300、こねぎ2200、サラダ菜2200、根みつば2100

人参以外にも、β‐カロテンを多く含む食材は多いことが分かってもらえたと思う。

これらの食品を食事に積極的に取り入れることにより、人参ジュースをノニジュースに替えても、β‐カロテンは十分補えるはずだ。

私はそう考え、ノニジュースへの切り替えを決意した。

その結果、生活は一気に楽になった。

もちろん、気が向けば人参ジュースを搾って飲むこともある。搾りたての人参ジュースはいつ飲んでも美味しい。

私は義務でやらされるのは嫌いだが、自ら進んでやるのは苦にならない性格なのだ。

ノニジュースががんに効くかどうかは、私には何とも言えない。

しかし、星野式ゲルソン療法や済陽(わたよう)式食事療法を信じるならば、理論的にはノニジュースを人参ジュースの代わりにすることができる。これが私が前回述べた「自分なりの基準」の意味である。

もしも星野式ゲルソン療法や済陽式食事療法という基準がなかったとすれば、ノニジュースを飲み始めるという決断は、大きな冒険に他ならない。もちろん冒険が悪いわけではないが、手持ちの時間と資金が限られたがん患者としては、そうそう冒険ばかりしているわけにもいかない。

基準があったお蔭で、私はノニジュースを採用できたのだ。

私と妻は、毎日のジュース作りの責め苦から解放され、劣化した成分を気にしながらジュースを飲む罪悪感からも解き放たれた。

ノニジュースをペットボトルに入れて持ち歩けば、1日何度でも飲める。

元来、ゲルソン療法では人参ジュースを1日13回飲むように指定されていたのである。つまり、少量を1時間おき1回以上の頻度で飲むのが良しとされたのだ。

これは恐らく、人体が有効成分を一時に摂取できる量に限界があるせいであろう。

特にビタミンCは水に溶ける性質(水溶性)を持つため、一度に大量に摂取しても、すべて尿中に流れ出てしまう。

体内で一番ビタミンC濃度が高くなるのは摂取の2〜3時間後と言われており、同時に2〜3時間後に尿中に出て行く分も一番多くなる。こうした理由から一気に大量に摂取するよりも、何度かに小分けして摂取する方が効果的だと言われている。

ゲルソン療法が1時間おきにジュースを摂取するように定めているのも、このビタミンCの性質と妙に符合しているように思える。

星野式でも済陽式でも、人参ジュースの摂取頻度については条件を緩和している。現代人の日常生活に合わせて妥協しているのだ。

しかし、ノニジュースに置き換えたなら、妥協は不要だ。1〜2時間おきに少量ずつ飲めば良いのだ。成分は劣化することがないから、安心して飲めば良い。ノニジュースに替えたお蔭で、かえってゲルソン療法の原法に近づくことが可能になったとすら言えるわけだ。

星野式ゲルソン療法や済陽式食事療法で、ジュース作りの煩雑さにとてもついていけないという方、あるいは出張時などの緊急対応策を探している方には、ぜひノニジュースの活用をお勧めしたい。

(つづく)