IMFC「保護主義に対抗」文言削除 米トランプ政権に配慮

IMFC「保護主義に対抗」文言削除 米トランプ政権に配慮
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IMF=国際通貨基金の委員会は22日に声明を発表し、自由貿易を推進する立場から、これまで明記していた「保護主義に対抗」という文言が盛り込まれず、保護主義的な主張を繰り広げるアメリカのトランプ政権に配慮する形になりました。
IMFの加盟国の財務相や中央銀行総裁らが委員を務めるIMFC=国際通貨金融委員会は、22日までの2日間にわたってワシントンで会合を開き、世界経済の見通しなどについて意見を交わしました。
終了後、発表された声明によりますと、世界経済は回復しているものの、EU=ヨーロッパ連合からの離脱の動きなどを念頭に「経済は政治および政策の不確実性にさらされている」と指摘し、経済の先行きに懸念を示しています。

一方、前回(去年10月)の声明では盛り込まれていた「あらゆる形の保護主義に対抗する」という文言が削除され、「経済に対する貿易の貢献の強化に取り組む」という表現になりました。
先月ドイツで開かれたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議の声明でも、「保護主義に対抗」という文言が盛り込まれませんでしたが、今回も保護主義的な主張を繰り広げるアメリカのトランプ政権に配慮する形となりました。

ただ、IMFCは「内向き志向の政策を避ける」とも指摘していて、経済の発展に向け自由貿易の推進に取り組んでいく姿勢に変わりはないと強調しています。

IMFC議長「内向き政策はとらず」

IMF=国際通貨基金の国際通貨金融委員会で議長を務めるメキシコ銀行のカルステンス総裁は22日、記者会見しました。この中で、今回の声明から「あらゆる形の保護主義に対抗する」という文言が削除されたことについて、「保護主義という言葉はとてもあいまいだ。各国は、内向き志向の政策をとらないようにすることで一致した。貿易による経済への貢献を強化していくべきだ」と述べ、自由貿易の重要性では一致しているという考えを強調しました。