1970年に開催された「日本万国博覧会(EXPO'70)」、通称「大阪万博」は、時代を拓く技術の祭典として、日本を熱狂の渦に巻き込んだ。そして今、2025年に再び大阪で万博を開催する取り組みが始まっている。47年前の万博でどんな最新技術が発表されたか、8年後の万博でどんな先端技術が紹介されるか、検証すれば「社会を変革する技術の急速な進歩にどう対峙すべきか」のヒントが見えてくる。大阪万博シリーズの最終回、2025年に計画されている「大阪万博」の概要に迫る。
シリーズ第1回はコチラ→「夢のような未来の技術」
シリーズ第2回はコチラ→「『生命の樹』は生きていた!」
国威掲揚型から理念提唱型へ
大阪府は「2025 日本万国博覧会」の誘致を目指しているが、そもそも、大阪で再び万博を開くという話がこのタイミングで出てきたのはなぜなのか。
「取り組みとしては、東京オリンピックが決まったあとからスタートしています」と大阪府 政策企画部 企画室 政策課 政策グループの長町憲一参事は言う。
「日本の二極のなかの一極として大阪が“万博”という大きなイベントを開催し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのあとの持続的な経済成長を支えていく必要があると考えています」(長町参事)
前回は、1964年の東京オリンピックから6年後に大阪万博があり、関西はもちろん、日本の高度経済成長に弾みをつけた。今回も、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの5年後に大阪で万博を開催して、関西、ひいては日本の景気を良くしたいという話だ。
2025年の万博の誘致には、トロント(カナダ)やロッテルダム(オランダ)など、いくつかの都市(国)も興味を示しているが、最大のライバルはパリ(フランス)だという。国際博覧会国際事務局(BIE)の本部もあるパリに、果たして、勝てるのか。
「前提として、万博が21世紀に入って、変わってきたことがあります」と長町参事は言う。
「従来の万博は、国が持っている力やポテンシャルを見せつける『国威掲揚型』でしたが、現在は、全世界の人類が幅広く共有できる課題に対して、万博というツールを使いながら、いかにして解決していくかという『理念提唱型』へと変わったのです」(長町参事)
つまり、世界中の誰もが納得できる人類の課題とその解決に関わるテーマを出せるかどうかが、誘致の鍵になるという。