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読む国会

国会・政治をできるだけわかり易く解説

共産圏化する日本

政治 自民党

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私が前回のブログでいいたかったことは、何も「森友学園問題は戦後最大の汚職事件である」とか「これが初めての日本での汚職疑惑である」といった趣旨の意見ではない。

これほど明白に汚職であり、かつ口利きの流れも明らかである事件において、誰ひとりとして関係者が謝罪すらせず、もちろん更迭も辞任もしていないことが、日本でおそらく始めてである、という点を指摘したのだ。

かつても、無論、闇から闇への汚職はたくさんあった。田中角栄は現金をばらまいていた。しかし、それらは「金権政治」として、明るみに出れば少なくとも問題にはなり、それに対して誰かが責任を取ったのである。

田中角栄研究―全記録 (上) (講談社文庫)

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政治資金規正法や国会審議活性化法など、多くの法律が作られ、少しずつ日本の政治はクリーンになるべし、という方向に向かっていた。

この森友問題で、確実に時計の針は逆戻りしていることが明らかになった。

 

さて、今回の発言の中で最も注目すべきは、大塚財務副大臣のこの発言だ。

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 「国交省や財務省が『与党の許可が得られないと資料を出せない』と言ってきた。三権分立の観点からもおかしい」

「与党による事実上の検閲だ。行政機関と与党が一緒に疑惑を隠蔽(いんぺい)しようとしている」

 

共産圏の国家では、党は議会に優先する。北朝鮮にも中華人民共和国にも議会はあるが、あくまで前衛政党が全ての意思決定を握っている。

 

 

日本でも、五十五年体制の中では近い部分があった。日本の指導者は「総理総裁」と呼ばれた。総理大臣と自民党総裁は道義であったのである。

しかし、現在の状況はかつてのそれより酷いのではないだろうか。

 

総理は完全に国会答弁を放棄し、何か聞かれれば「民主党政権時代には…」とお決まり型の紋切り答弁をするか、関係のない話をグダグダと繰り返すだけである。

安倍晋三総理大臣は、もはや行政府の長として立法府と向き合うということを放棄しているのだ。

 

そして、この大塚副大臣の発言である。あるいは、鈴木淳司法務委員長による、憲政史上初めての多数決による刑事局長の参考人招致である。

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中川俊直が離党した。本件に関しては確かにひどい話だとは思う。もし、中川氏や二階幹事長や安倍総理が「離党」ということがまさか国民への説明責任になる、と思っているとすれば、それはまさに党が議会に先んじている、と彼らが考えていることの現れではないだろうか。

まず何にせよ説明責任を果たし、本来有権者に対してお詫びをするというのなら辞職勧告なりをするのが公党の義務ではないだろうか?

 

ソビエト連邦の対外的な最高指揮官は「ソビエト連邦最高会議幹部会議長」であるが、ソビエト連邦共産党書記長のほうがより高い地位にあったのは誰もが知るところである。

北朝鮮にも総理大臣は存在するし、中華人民共和国にも国務院総理がある。しかし、そんなのが党のトップに比べ、地位が弱いことは誰だってわかっている。 

つまりは、おままごとなのである。もはや答弁を理解しているのかすら怪しい金田勝年法務大臣が辞任しないのもそれだ。

行政府たることを放棄すれば、大臣などはお飾りでいい。 北朝鮮の総理大臣が誰であるかを、気にする人はいるだろうか?それは単に「民主主義人民共和国」の建前を守るためだけの形式的な役職なのだ。

もちろん今までもろくでもない大臣は居た。しかし、冒頭の森友問題とも重なるが「あれほど酷い答弁をしているのに辞めない大臣」はおそらく憲政史上初めてだろう。

全ての意思決定を党が握り、立法府や行政府がそれに追随しているとすれば、一体、日本は本当に民主主義国家といえるだろうか? 

 

 

「法務大臣が法案の中身を理解していなくてもいい」

「総理大臣はまともに法律の説明をしなくてもいい」

「森友疑惑なんて言うのは存在しない。なぜなら存在しないと言っているからだ」

 

こんな日本という国は、投票率も得票率も百%の北朝鮮の選挙を笑えるだろうか?

本当に、日本の行政府は、立法府は、実質的に立法府、行政府たり得ているのだろうか?それは本当におままごとではなく、実質的な意味を伴っているのだろうか?

もしその答えがイエスでないとすれば、日本の政治は確実に死んでいるのだろう、というほかない。


*本稿は日本共産党に対してなんら批判するものではありません。日本共産党は2000年改定の党規約でも一党独裁を否定しています(党内での民主集中制は継続