甲状腺検査の進め方で議論
福島県で行われている甲状腺検査を担当する県立医科大学の医師が22日、京都市で開かれた会議で発表し、「症状の出ないごく小さながんまで見つけてしまう可能性もあり、子どもの負担が大きい」として、診断や治療のガイドラインが必要だと述べました。
京都市で開かれた「日本内分泌学会」の会議では、原発事故当時18歳以下だったおよそ38万人の子どもを対象に福島県が行っている甲状腺検査について医師らの発表が行われました。
この中で検査を担当している県立医科大学の大津留晶医師は、これまでの検査で185人ががんやがんの疑いと診断されていることについて、当時5歳以下だった若い患者の数が少ないことなどから、放射線の影響とは考えにくいと説明しました。
さらにこのあとのシンポジウムで大津留医師は、「大規模な検査を続けることで心理面など子どもの負担が大きい」とした上で、網羅的に検査を行うことで、通常は見つからず症状も出ないごく小さながんまで見つけてしまう「過剰診断」の可能性があるとして、診断や治療のガイドライン作りを早急に進めるべきだと主張しました。
一方、会議に参加した別の医師からは「がんの早期発見につながる面もあり『過剰診断』が必ずしも悪いとは言い切れないのではないか。患者の視点が欠けていると思う」といった意見も出ていました。