佐藤圭司
2017年4月22日14時38分
中国産と思われていた奈良・正倉院に伝わる「銀壺(ぎんこ)」が、国産の可能性が高まった。宮内庁正倉院事務所(奈良市)が20日に発表した「正倉院紀要第39号」に新説が盛り込まれた。
銀壺は二つあり、いずれも胴径が60センチを超える。大きさや刻銘から、天平神護3(767)年に称徳天皇が東大寺の大仏に奉納したとされる。表面に馬に乗った人物や動物が刻まれ、その異国情緒などから「中国・唐から遣唐使らによって伝えられた」という説が有力とされてきた。
奈良国立博物館学芸部列品室の吉澤悟室長は、金工技法の一つ「魚々子(ななこ)打ち」(小さな丸い鏨〈たがね〉打ち)が技術的に未成熟なことに着目。二つの銀壺で同じ姿の騎馬の人物が繰り返し刻まれるなど、オリジナリティーに欠けるようにも見えることから、「中国で描いた原図をもとに、それを自由に書き足せない環境、すなわち日本で狩猟の文様が描かれた可能性が高い」と結論づけた。
淳仁天皇の政治が泰平をもたら…
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