人気ゲームFF11など作曲・高知出身の水田直志氏に聞く
「今の世界に入ったきっかけは学芸高校にない。むしろゲームセンターに行くのが学校で禁止されてましたから」と語る水田直志 (高知新聞社)
「ファイナルファンタジーXI(FF11)」など人気ゲームの作曲を手掛ける高知県高知市出身の男性がいる。ゲーム大手「スクウェア・エニックス」の水田直志さん(45)。プレーヤーがゲームの世界に集中できる音楽を常に意識し、「自分はアーティストというより職人」。帰郷した折にこの世界に入ったきっかけなどを聞いた。水田さんは高知県の学芸高校卒。FFシリーズの作曲で名をはせる「ゲーム音楽界の巨匠」の植松伸夫氏(58)と偶然、同じ母校だった。高校生の時からゲーム好きだったが、植松氏の活躍を知ったのは千葉大学に入学後で、同じ高校出身者とは思いもしなかったという。FFシリーズをプレーしたのも、卒業後の1994年にカプコンに入社してからだった。
入社動機については「大学で渋谷系音楽のコピーバンドをしていて、ゲームと音楽が好きなので両方できる職業を選びました」と話す。
ストリートファイターシリーズなどの音楽制作を手掛け、4年後にスクウェアに移籍。当時の上司は植松氏で入社面接で初めて会った。「履歴書を見て『懐かしい、僕も学芸だよ』と言われて驚いた。それで採用されたわけではないと思いますが」と笑う。
スクウェア元社長の武市智行氏、スクウェア・エニックスの人気ゲームデザイナー、野村哲也氏も高知県高知市出身だ。
転機となったのは2002年の「FF11」。仮想世界「ヴァナ・ディール」を舞台にプレーヤーが冒険を繰り広げる。FFシリーズでは、初のオンラインゲームだった。
「FFといえば植松さんのイメージが強い。比較されるプレッシャーはありました」
定期的にバージョンアップを続け、大半の音楽と作曲や編曲を担当し、2015年に最終章を迎えた。エンディング曲「ヴァナ・ディールの星唄」は女性ボーカル曲で、曲の最後は「ラララ…」のハミングになる。歌い手を公募し、送られてきた700人超の音源全てを壮大なコーラスに編集した。
「プレーヤーと一緒に一つの世界を作り上げるのがFF11。音楽でも皆が参加している感動的なエンディングにしたかった。海外の参加もあり、感謝の思いでいっぱいでした」
“アーティスト”として見られるのは抵抗があるそうだ。
「いい音楽を作るだけではいけない。ゲームと音楽が想像以上にかみ合うのが、一番うれしい。音楽を作っているだけではできない。チームプレーの醍醐味(だいごみ)だと思っています」
1年間に3、4作品を同時進行で手掛ける。近作は2016年11月に発売された「FFレジェンズⅡ」。
現在、国内ゲーム会社は音楽を実績あるプロに任せ、新卒採用枠はほとんどない。「僕は運良くこの業界に潜り込めた。ゲームと音楽、好きなものが両方できて幸せです」
趣味はカメラ。帰郷した際に手結漁港などを撮影した。「写真は一切評価が気にならないから、息抜きになります」と笑った。
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