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男装令嬢の恋愛物語 作者:かんな

第一章 男装令嬢

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5話 テルミドールのクーデター

 私は、男装してナポレオンの南方遠征に従軍したかったので、父を説得するために、アンリ男爵に来てもらった。

「お父様。お願いがあります。ナポレオンの南方遠征に志願したいのです。ダメですか?」

「私からもお願いします。ご令嬢は、男勝りのライフルの腕を持っています。必ずや軍功を上げて、
領地奪還の礎にしたく存じます。」

「うむ。女性の身で、男装してまで行きたいと申すのだな。もう少し、女らしく育てればよかったのだが……。
 もし、領地が奪還できるのであれば、それに越したことはない。儂は、今度領地ができたらパン屋は止めて、ワイン造りをするために葡萄栽培をしようと思っている。
 ところで、昨今、ナポレオンの噂が絶えないが、アンリ男爵の見解はどうか?」

「はい。私もまだ、一緒に戦ったことはなく噂でしか知りませんが、大尉から少佐まで一気に駆け上がって、今の南方司令官に任命されたとのこと。武勇は噂を信じてよろしいのでは?と思っております。

 私の集めた情報では、ナポレオンはフランス軍の中でも、主に王党派蜂起の鎮圧を行っていた、
カルトー将軍の南方軍に所属していて、トゥーロン攻囲戦に出征。
砲兵司令官となり、少佐に昇格したとのこと。

「フランス革命政府」対「反革命側反乱軍」、近代的城郭を備えた港湾都市トゥーロンは、
フランス地中海艦隊の母港で、イギリス・スペイン艦隊の支援を受けた反革命側が、
鉄壁の防御を築いていたそうです。

 革命後の混乱で人材の乏しいフランス側は、カルトー将軍らの指揮で、
要塞都市への、無謀ともいえる突撃を繰り返して、自ら大損害をこうむっているような状況で、
あったところに、ナポレオンは、まずは港を見下ろす二つの高地を奪取して、

 次にそこから大砲で敵艦隊を狙い撃ちにする、という作戦を進言して採用されたようです。
豪雨をついて作戦は決行され成功、外国艦隊を追い払い反革命軍を降伏に追い込んだとのことです。
これにより、パリでは、半ば英雄扱いになり掛けているという状況らしいです。」

「そうか。解った。では、気を付けて行くが良い。アンリ男爵殿、くれぐれも娘を頼みますぞ。」

「はい。それは、もう勿論です。」

「うむ。それを聞いて安心した。フランソワよ、気を付けるのだぞ。」

「はい、お父様。」

 こうして、私は、アンリ男爵と共にナポレオンの南方遠征に志願することにした。


 宿舎井戸端会議で聞いた話では、テルミドールのクーデターが起きて、ロベスピエール以下22人が失脚して、ギロチン送りにされたとのことであった。

 確か、ナポレオンは、ロベスピエールの弟と懇意であったはず。

 私は、アンリ男爵と相談して、入隊は暫く控えて様子を見ることにした。

6話 南方遠征

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