電通社長から任意聴取 大阪など3支社の幹部も書類送検へ

電通社長から任意聴取 大阪など3支社の幹部も書類送検へ
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新入社員だった女性が過労のため自殺した電通の捜査で、厚生労働省が20日、社長から任意で事情を聴いたことが関係者への取材でわかりました。厚生労働省は、大阪など3つの支社でも違法な長時間労働が行われていたとして、法人としての電通と支社の幹部を近く書類送検し、一連の捜査を終結する方針です。
電通を巡っては、過労のため、おととし自殺した高橋まつりさん(当時24)らに違法な長時間労働をさせたとして、厚生労働省が去年12月、電通と当時の上司を労働基準法違反の疑いで書類送検しています。

また、大阪、名古屋、京都にある3つの支社についても捜索を行い、社員の勤務実態などを捜査してきました。関係者によりますと捜査の結果、これらの3つの支社でも社員に対して、労働組合との取り決めの上限を超える違法な長時間労働をさせていたことがわかったということです。

厚生労働省は20日、電通の山本敏博社長から任意で事情を聴き、過去の労務管理の実態などについて確認したと見られます。

厚生労働省は、法人としての電通と、大阪など3つの支社の幹部を労働基準法違反の疑いで、近く書類送検する方針で、これまでにない大規模な態勢で進められてきた一連の捜査は終結する見通しになりました。

電通問題 捜査の経緯

電通に対する一連の捜査のきっかけとなったのは、新入社員だった高橋まつりさんの自殺が、去年、過労による労災と認定されたことでした。

おととしの12月25日、クリスマスの日に自殺したまつりさんは、ツイッターに「死んだ方がよっぽど幸福なんじゃないか」などと過酷な職場環境についてつづっていました。
記者会見した母親の幸美さんは「労災認定されても娘は戻ってきません。娘が生きているうちに会社はどうして対策をしてくれなかったのか」と訴えました。

記者会見の1か月後、厚生労働省が電通の本社や大阪、名古屋などの支社に一斉に捜索に入り、強制捜査に乗り出します。そして去年12月末、電通と、まつりさんの上司だった幹部を労働基準法違反の疑いで書類送検しました。

これを受けて電通の石井直前社長が辞任を表明。この問題で会社として初めて公式に謝罪し、後任の山本社長のもと職場環境の改善に取り組むとしてきました。