太陽系からわずか40光年のところにある小さな恒星のまわりを、地球よりやや大きい惑星が回っているのが発見され、科学誌『ネイチャー』4月20日号に報告された。この惑星は主星から近すぎも遠すぎもしないハビタブルゾーンにあり、地球外生命の兆候を探すのに最適なターゲットとなりそうだ。
「この程度の小さい惑星は珍しいものではありません」とカナダ、モントリオール大学のローレン・ワイス氏。ただ、この惑星は、これまでに発見されている岩石惑星の中でも特に太陽系から近いところにある。「太陽の裏庭にあると言ってもよいほどです」
くじら座の赤色矮星LHS 1140を主星とするこの惑星は、LHS 1140bと名付けられた。天文学者たちは、チリの望遠鏡を使って、惑星が主星の前を横切る様子を観測した。惑星の直径は地球の約1.4倍で、表面に液体の水が存在できる程度の温度になる軌道を公転している。(参考記事:「地球に「最も似ている」太陽系外惑星を発見」)
観測チームは、同じくチリにある別の望遠鏡を使って、LHS 1140bの重力がどのくらいの強さで主星を引っぱっているかを観測し、その質量が地球の約6.6倍であることを特定した。この惑星は水星を大きくしたような岩石惑星で、おそらく大きな鉄のコアを薄いマントルが包んでいる構造だろうと、米アリゾナ州立大学のローラ・シェーファー氏は推測する。
「私たちも、この惑星について多くを知っているわけではありません。もっとデータが入ってくれば、もっと面白くなるでしょう」
研究チームは、LHS 1140bの観測に強い期待を寄せている。この惑星は地球から近いところにあるため、既存の望遠鏡を使って、大気の有無や、大気中に地球外生命の痕跡があるかどうかを観察できるからだ。
論文の著者である米ハーバード大学のジェイソン・ディットマン氏は、「科学者としては、用心に用心を重ねて、この惑星上で生命を見つけられない理由を列挙するべきでしょう。けれども私は楽天家なので、生命は宇宙のあちこちに存在していて、LHS 1140bにもいるという方に賭けたいですね」と語る。(参考記事:「太陽系外惑星へ探査機を送る新手法、科学者が提唱」)