20日午後0時25分ごろ、福岡市中央区天神1のみずほ銀行福岡支店近くの駐車場で、東京都足立区の会社員男性(29)が現金約3億8千万円を奪われた。男2人が男性に催涙スプレーのようなものを吹きかけて現金の入ったスーツケースを奪い、車で逃走した。福岡県警は約150人態勢で中央署に捜査本部を設置、強盗致傷事件として男らの行方を追っている。
県警によると、男性はみずほ銀で現金を引き出して黒いスーツケース1個に入れ、道路を挟んで銀行の向かい側にある駐車場で車に積み込もうとしていたところ、突然背後から男2人に催涙スプレーのようなものを吹きかけられた。
男性がひるんだ隙に男らはスーツケースごと現金を奪い、同じ駐車場に止めていたワゴン車で逃走。現場から南方向に走り去ったとみられる。逃走に使われたのは白の「ステップワゴン」という。運転手役がいた可能性もある。
男性は逃走車両の前に立ちはだかったが、止められなかったという。顔面やのどに痛みを訴えており、軽傷を負った。現場付近で男性から話を聞いた警察官が110番通報した。
県警によると、現金を奪った2人は身長170~175センチほど。1人は30~40代ぐらいの細身で、灰色っぽい服の上下に白いマスクをしていたという。もう1人はがっちりとした体形で、黒っぽい作業服に白いマスク姿だった。
被害に遭った男性は東京都足立区在住の会社員。都内で勤務しており、福岡には出張で来ていた。現金は仕事で必要だったといい、1億9千万円ずつ、2回に分けて銀行支店の窓口で引き出した。多額の引き出しのため、銀行側とは事前に手続きの日時を決めていたという。県警は男性が引き出すタイミングを狙った計画的犯行の可能性もあるとみて調べている。
現場は九州最大の繁華街、天神の一角で、西鉄天神大牟田線の福岡(天神)駅から東に約200メートルの都心部。