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男装令嬢の恋愛物語 作者:かんな

第一章 男装令嬢

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2話 没落貴族

「アンリ男爵様。ダンスがとてもお上手ですこと。私はフランソワです。
また、お会いできると良いですわね。」

「それは、どうも。嬉しいお言葉です。今度は、私が女装しましょうか?
と言っても、美しい物に興味があるだけで、ドレスとか、ティアラとか。
決して、男色家ではないですから、ご安心を。あくまでも余興で楽しめればです。
ちょっとだけ、その仮面を外して、お顔を拝見させて頂けませんか?」

「ええ、良いですわ。ちょっとだけですよ。」
私は、少し、仮面をずらした。
アンリ男爵もずらした。

 二人で、声を揃えて、
「おお!素晴らしい!」
と言ってしまった。

「いやぁ、見事なお顔立ちだ。超美人じゃないですか。一目惚れしましたよ。」

「まぁ、お世辞がお上手ですこと。アンリ男爵様も美形ですわよ。
それなら、女装しても映えますわね。」

「そちらこそ、お世辞が上手だ。では、また、後程。」

 アンリ男爵は、そういって、次の人と踊りに行った。


 ドキンとするような、出会いだった。

 そのあと、何人かと踊って、適当に切り上げて帰って来た。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 大変なことになった。

 フランス革命が起きた。

 父は大慌てで、馬車を用意して積めるだけの物を積んで、パリを後にした。

 バスティーユ襲撃が起きたのだ。

 民衆の勢いは凄かった。

 何でも20万人が集まって、襲撃したらしい。

 市民軍は、ベルサイユ宮殿も取り囲んでいるらしい。


 兎に角、逃げなくてはならなくなった。

 父のパン屋も大量の小麦粉も置き去りだ。

 当然、領地も没収だろう。

 つまり、この時点で私達親子は、破産したのも同然のただの騎士爵に成り下がっていた。
没落貴族である。

 父は、必死に馬車をオーストリアのハプスブルク家に向けて走らせた。

 ハプスブルク家には、遠い縁戚がいる。
そこを頼る予定だった。

 どうぅ、どうぅ。

 もう少しで、オーストリア領内に入る。

 必死だった。

 馬車は、転がりそうな勢いで走って行く。

 後ろからは、誰も追い掛けて来ない。

 逃げ出すのが、早かったお陰だ。

 着いた。

 オーストリア領内に入った。

 やはり、直ぐさま逃げ出した亡命貴族で、領内の入り口近辺はごった返していた。

 ハプスブルク家の計らいで、亡命貴族用の宿舎が建てられていた。

 父は、その宿舎の通りの真ん中辺りの家に空いているのを確かめて、
「ここにしよう。」
と言った。

「明日、縁戚を訪ねてみるよ。」

「はい、お父様。」

 こうして、私達は亡命貴族となった。

3話 宿舎生活 (仮題) です
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