「原状回復工事にも要注意!」
ビジネス用として、事務所・店舗の賃貸借契約書を締結する際に、どの条項を重点的に確認すべきか?
「原状回復工事」の項目でも要注意です。
こんな条項もあります。
本契約が終了したときは、乙は、甲が指定する者により甲の定める明け渡し期間内に本物件に設置した内装・造作・設備等を自己の費用により収去し、本物件及びその付属設備・造作等の破損個所を乙の費用により修理し、仮囲いを設置した上で本物件を原状に復して明け渡すものとする。
ポイントは赤字の箇所です。
「甲(オーナー・家主)が指定する者」となっている点が重要です。
つまり、自分で安い工事業者を探してきて「原状回復費用」を削減することができないのです。
「原状回復工事の工事業者を指定するホンネは?!」
オーナー・家主の表向きの理屈は、
「品質の確保」(変な業者に工事されては困る!)
「品質の画一性」(弊社の原状回復工事の基準は厳格なんだ!)
的なことを言ってきます。
ホントの狙いは、高額な原状回復工事費用を請求することではないでしょうか?
そのうえで、工事業者からのキックバック?!
オーナー・家主のグループ工事会社で工事を行う?!
いずれにせよ、相手側にイニシアティブを渡してしまいますので、あとは「誠実」なオーナー・家主であることを祈るのみになってしまいますね。
「経年劣化の原状回復工事は負担する?」
今度の民法改正では、明文化されることが予定されていますね。
トラブル多発の本件ですが、やはり、事前に「範囲」を明確にすべきですね。
どこまでを借主が負担するのか?ということを。
「対策は?!」
(建物)賃貸借契約書をきちんと確認しましょう!
自信がない場合は、弁護士等の専門家に依頼しましょう。
費用は発生しますが、のちのち、高額な損害の発生を阻止するための必要経費ということで。
相手側に、交渉しましょう!
大企業の場合、交渉に応じないケースが多いですが、応じてくれるケースもよくあります。
とくに、自分(借主)が有利な状況でしたら、可能性は高まります。
とかく「賃料・家賃」「保証金」といった、目に見える数字に注目しがちですが、盲点となる条項で、高コスト・高リスクとなってしまう場合もありますので、ご注意を。
「まとめ」
・原状回復工事の工事業者を指定される場合には要注意
・契約締結前に、原状回復工事の範囲を確認すべき
・(建物)賃貸借契約書を確認する
・多少のコストがかかっても、専門家に依頼すべき?!
・ダメ元で、オーナー・家主に交渉しましょう