彼はルイス。
写真を撮影するときに着替えてくるから待っていてくれといわれた。
着替えてきた赤いTシャツに書いてあった文字がAmerican Dream だった。
メキシコ人の彼もプロになってボクシングで成功する為に
この地、ニューヨークにやってきた。
自分もしばらくの間ここのジムで練習をしていたが、
メキシコから来ているという人も多くいた。
どんな人でも受け入れる懐深きニューヨークではあるけど、
全ては実力がものをいう社会。
弱肉強食。シビアなまでに、格闘技は結果がすべての世界なのだ。
評価は自分で勝ち取っていかねばならない。
チャンピオンになれば世界は一変し、欲しいものを手にいれらる。
結果が出なければどん底に突き落とされる。
そしてそこからまた這い上がってこれないのならば見放されるだけ。
誰かがやれといっているわけではなく、
その大きな夢に向かって自分を信じながら日々闘っていた。
そんな人たちをみていると、
『自分の力でこの世界を変えてやる』そんな思いの強さをひしと感じたのを
月日が流れた今となっても覚えている。
彼もレンズ越しに意思の強さを感じる眼差しを向けてくれた。