2016年2月、北朝鮮のミサイル発射を伝えるニュースを見つめる韓国市民。
Han Myung-Gu/GettyImages
故金日成主席生誕105年を祝賀する軍事パレードが行われた翌日の4月16日日曜日、北朝鮮はミサイル発射実験を行ったが、発射直後に爆発し、失敗に終わった。
ミサイル発射失敗は、アメリカのサイバー攻撃が原因だった可能性がある。
ニューヨーク・タイムズは、北朝鮮の核ミサイル開発に対して、少なくとも過去3年にわたって展開されてきた秘密の妨害工作を明らかにした。
同紙は、北朝鮮が使用しているロシア製ミサイルの発射成功率が低いのは、アメリカが北朝鮮のミサイル関連ソフトウエアやネットワークを妨害しているからだと伝えた。
同紙によると、北朝鮮のミサイル関連インフラがロシアのそれには及ばないという事情はあるものの、北朝鮮のミサイルがベースとしている旧ソビエト時代のミサイルの発射失敗率が13%だったのに対し、北朝鮮のミサイルは88%もの確率で失敗している。
16日のミサイル発射失敗は単なる技術的な問題だった可能性もあるが、国家安全保障担当大統領副補佐官、キャサリン・トロイア・マクファーランド(K.T. McFarland)氏はFox Newsに対し、「情報活動や秘密工作が行われたか否かについては何も語れないし、私もコメントしない」と述べ、妨害工作に関して憶測を生む余地を残した。
4月17日月曜日、韓国を訪問したマイク・ペンス(Mike Pence)副大統領は、南北軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)を視察し 、「安定確保のために、あらゆる選択肢を想定している」と述べ、北朝鮮に対する「戦略的忍耐の時代は終わった」と語った。
事情通にとって、対北朝鮮工作は何ら驚くことではない。サイバーセキュリティ企業Comodoに所属する専門家で、国家安全保障局(NSA)での勤務経験をもつケン・ギアーズ(Ken Geers)氏はBusiness Insiderに対し、「北朝鮮を標的とするようなサイバー作戦は普通に行われている」と語った。
「戦争は、どこかの場所で起こるものと考えられているかもしれないが、インターネット時代には、戦争はハッキングを意味する」
Reuters
北朝鮮国内のネットワークは隔離され、インターネットには接続されていない。だがギアーズ氏によると、コンピュータがインターネットに接続されていなくても、ハッキングは可能だという。
ニューヨーカーは最近、過去のロシアのハッキングを詳細に報じた。ロシアは1996年、アフガニスタンの首都カブールの北大西洋条約機構(NATO)軍基地付近の店舗に盗聴機能を仕込んだ小型メモリを置いた。NATOの担当者がこのメモリを購入して使用したところ、ロシア側がNATOのコンピュータ・ネットワークに侵入できる仕掛けになっていた。
「これこそが、信号情報(SIGINT)(signals intelligence)や通信情報COMINT(communications intelligence)を、人的情報HUMINT(human intelligence)と連携した諜報活動だ」とギアーズ氏は述べた。
また同氏は、「今はサイバー戦争にとって、諜報活動の黄金時代」と語る。死者が出ることはまだなく、追跡不可能で、罪に問われることもない。
しかし、北朝鮮による一連のミサイルを発射を考えると、たとえ長期にわたる卓越したサイバー攻撃であっても、北朝鮮の核ミサイル計画を完全に妨害することはできない。
「北朝鮮は人権を無視した国で、危険なテクノロジーの輸出国だ。各国政府は、北朝鮮への対処を真剣に考える必要がある。選択肢の1つは体制転換だ」と、ギアーズ氏は指摘した。
2月に北朝鮮が行った中距離弾道ミサイル「北極星2号」の発射実験
KCNA/Handout via Reuters
同時にギアーズ氏は、北朝鮮はインターネット環境が制約され、サーバーとアクセスポイントの数が限られていることから「アメリカと北朝鮮との間でサイバー戦争になれば、我々の圧倒的勝利となるだろう」と述べた。
「北朝鮮はソニーやホワイトハウスを攻撃することはできるが、それは純粋なサイバースペースだから。しかし本当の戦争となればアメリカサイバー軍が、敵を瞬く間にせん滅するだろう」
source:Reuters、KCNA/Handout via Reuters
[原文:North Korea's embarrassing missile failure may have been due to US cyber sabotage]
(翻訳:Tomoko.A)