原爆で倒壊した広島城の木の板か 広島市の住宅で保管

原爆で倒壊した広島城の木の板か 広島市の住宅で保管
原爆で倒壊し、木材のほぼすべてが失われた、広島城のものと見られる装飾用の木の板が、広島市内の住宅に残されていたことがわかり、城の本来の姿を伝える貴重な資料として注目されています。
発見されたのは、縦35センチ、横40センチほどの、「懸魚(げぎょ)」と呼ばれる城や寺院の屋根につける飾りの板で、広島市南区の住宅に同じ形のものが2枚保管されていました。

寄贈を受けた広島大学総合博物館が分析したところ、板は「広島城のもの」として瓦とともにこの家に伝えられてきたほか、雨や風で削られ、長い年月使われていたことがわかりました。
広島大学総合博物館は、保管の経緯や板の状態から、広島城の建物を飾っていた可能性が高いとしています。

広島城は安土桃山時代に毛利輝元が築き、昭和6年には当時国内に現存する最古の天守閣が国宝に指定されるなど、広島を象徴する建造物でしたが、昭和20年の原爆ですべての建物が倒壊しました。

博物館によりますと、城の木材は、混乱の中で市民の燃料などとして使われたため、ほぼすべてが失われたと見られ、未確認のものがわずかに保管されている程度だということです。
広島大学総合博物館の佐藤大規さんは「残っていないと思われていたので、驚きだ。広島城の本来の姿を知る貴重な資料だ」と話しています。