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 三重県四日市市出身の落語家・四代目桂福団治(76)を追ったドキュメンタリー映画が6月、名古屋で上映される。同じ三重県出身の映画監督・伊藤有紀さん(37)が撮影した。福団治の生き様を通じて、「成功だけがすべてではないことを伝えたい」という。

 「師匠、長い間お疲れ様でございました。最期の時、病院の枕元で『ありがとう』とおっしゃってくれました。体中に、今も染み渡っています……」

 映画「人情噺(ばなし)の福団治」(制作・配給、グループ現代)は、昨年1月に亡くなった三代目桂春団治のお別れ会で、筆頭弟子の福団治が静かに語りかけるシーンから始まる。

 福団治は18歳のとき、春団治に弟子入り。酔っ払って夜の街を上半身裸で歩き、破門された。約1年後に許されてからは半世紀以上、「芸にほれ込んだ」という春団治に仕えてきた。だが、「上方落語中興の祖」と言われた春団治に比べると、約60年の落語家人生は華やかなだけではなかった。

 軽快な音に小話を乗せる「ペケペン落語」でCDデビューを果たした福団治は、映画で主演も務めたが、その後、声帯ポリープが発覚。一時、声が出なくなりテレビのレギュラー番組を全て失った。「落語家としては終わった。もう自分にスポットが当たることはないやろ」。そう思ったという。

 声が出ない間に、「手話落語」…

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