任天堂、「終わりの始まり」か…ユーザー無視で独善的利益独占体質が露呈
「ライトなゲームユーザーはスマホで満足しており、逆にヘビーユーザーが多い家庭用ゲーム機はハイエンドなものが求められている。ニンテンドースイッチの仕様では、どっちつかずの中途半端なものになってしまうだろう」(A氏)
前出のゲームライターも、「ニンテンドースイッチには目新しさがない」と指摘する。
「モバイルと据え置きのハイブリッド機をうたっていますが、家に置く『ドック』は液晶付き本体への給電、そしてテレビモニターに出力するだけの装置と考えられており、実質的にはただの携帯ゲーム機といえそうです」(ゲームライター)
ニンテンドースイッチに厳しい視線を向けるのは、株式市場も同じだ。現在、携帯ゲーム機市場は任天堂の「ニンテンドー3DS」シリーズが圧倒的シェアを誇っている。ところが、ニンテンドースイッチはその後継機ではなく、「3DS」との互換性はないというのだ。
こうした発表が、市場にも「ニンテンドースイッチは期待はずれ」と伝わったのか、任天堂の株価が急落。ファミリーコンピュータ時代の旧作を集めた「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」が多少ヒットしているものの、ただでさえ売り上げの芳しくない現行機の「Wii U」は、新機種発表によって買い控えが加速することが必至だ。「今年の任天堂の年末商戦は絶望的」ともいわれている。
では、なぜ任天堂はニンテンドースイッチの発表でゲーム市場にインパクトを与えることができなかったのだろうか。前出のA氏は、その原因は「任天堂の旧態依然とした体質にある」と指摘する。
「任天堂は、かつての成功体験から抜け出せず、利権を独占することしか考えていない。これでは、一般のユーザーはもちろん、ソフトメーカーからも見放されてしまうのは当然だ」(A氏)
任天堂、「スイッチ」でも失敗を再現か
1889年に京都で創業された任天堂だが、昔はかるたやトランプなどを製作する中小のおもちゃ会社にすぎなかった。
しかし、1983年に発売した家庭用ゲーム機「ファミコン」が爆発的なヒットとなり、世界有数の大企業に成長する。そこで築き上げたのは、ゲーム機本体を安く売って市場を形成し、ゲームソフトを供給するメーカーからライセンス料を徴収するというビジネスモデルだ。