4/7
4話 ルイ15世崩御
マリー・アントワネットは、ルイ15世がポンパドゥール夫人用に建設した宮殿が、ポンパドゥール夫人の急逝に伴い、下賜された、プチ・トリアノン宮殿を与えられていた。
自身からは宮殿を作って欲しいと頼んだことはなかった。
ルイ15世が崩御した。
盛大な葬儀が執り行われた。
これに伴い、ルイ・オーギュストは、ランスのノートルダム大聖堂にて戴冠式を行った。
ルイ16世の誕生である。
マリー・アントワネットは王妃となった。
3年後、マリーは初めての子を産んだ。
女の子で、マリー・テレーズ・シャルロットと名付けられた。
翌年、仮面舞踏会が国王の肝いりで開かれた。
仮面だから、ラフィエルは男装ではなく女性の格好をして出た。
レオポルトは、ちょっとだけ眉を顰めていたが。
ベルサイユ宮殿には、また各国から貴族やその姫達が集まった。
ルイ15世がポンパドゥール夫人やデュ・バリー夫人に入れあげて、アメリカの独立戦争を指示していたお陰で国庫は貧窮を究めていたにも関わらず、景気付けに開かれた舞踏会であった。
楽団員がワルツを演奏し始めた。
また、スペインから、フェルセン伯爵が来ていた。
国王と王妃に一礼をして、戴冠の祝辞を述べた。
「この度は、国王、王妃にご即位おめでとうございます!王妃をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「うむ。苦しゅうない。」
長身のフェルセンとマリーが踊っている様は、当に一幅の絵の様であった。
「王妃。お慕い申し上げております。何か困ったことがあれば、いつでも何なりとお申し付けください。」
マリーは、それを聞いて、頬を赤らめた。
こんなことではいけないわ。
一曲終わって、フェルセン伯爵は、一人の美少女に目を止めた。
ラフィエルだった。
「ご一曲お願いできますか?」
ラフィエルは頷き、手を差し出した。
今宵は、仮面のお陰で、女で良いのだが、声を出すわけにはいかない。
「いやー、こんなに美しい姫がいたとは、私も迂闊でした。各国の姫を存じ上げていたつもりでしたが……。まさかこんな美女が埋もれていようとは。
ご結婚されていますか?」
ラフィエルことナタリーは、被りを振った。
「では、私とのことも考えておいて頂けますか?私は、スペインのフェルセン伯爵と申します。姫のお名前は?」
フランソワは作り声をした。
「私は、ハプスブルク家のナタリーと申します。伯爵様には不釣り合いですわ。子爵令嬢ですから。」
「いやいや、それは構いませんよ。ダンスもとてもお上手でいらっしゃる。流石は、ハプスブルク家ですな。」
その時だった。
会場に、剣を片手に乱入して来た者がいた。
衛兵隊の格好をしていた。
姫達が、逃げ惑う。
その時、剣を抜いて、サッと立ち塞がった二人がいた。
レオポルトとフェルセンだった。
「国王に捕まって裁判される前に立ち去るが良い!」
レオポルトは、言い放った。
それには、聞く耳を持たずに、乱入者は、
「国王陛下。民衆は飢えと渇きに苦しんでおります。
アメリカなどへ支援を止めて、国内に目を向けて下さい。
民衆は暴動の一歩手前まで来ております。」
国王は、それを冷ややかな目で見ていたが、何か思い当たる節でもあった様だった。
近衛隊が、バラバラと突入してきて、暴漢を一気に縛り上げて連れて行った。
レオポルトとフェルセンは、剣を鞘に納めた。
「飛んだハプニングだ。皆の衆、気を悪くなさらないで下され。
舞踏会はこれにてお開きにし、今宵のディナーを楽しんで下され。」
国王は言って、仮面舞踏会はお開きになった。
ラフィエルは、レオポルトに近付き、
「これは、衛兵隊を調べる必要ありだな。」
と囁いた。
貴族や、姫達は用意されている部屋に戻って行った。
このあと、直ぐに食糧危機に対する暴動が起きた。
ヴェルサイユ宮殿にも8千人の群集が押し寄せた。
この際、ルイ16世はバルコニーに姿を現して、民衆の不満に答えて言った。
「静まれ!国民共よ。今、国庫の食糧を解放するから持って行くが良い。」
一先ず、暴動は、収まった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。