南スーダン国連平和維持活動(PKO)から撤収する陸上自衛隊の第1陣として、約70人が19日午前、帰国した。5月末まで数回に分けて、施設部隊の約350人全員が帰国する。今回の撤収で日本のPKOの施設部隊派遣はゼロになり、政府は新たな派遣先を探る。
帰国した約70人は、陸自第9師団(青森市)を中心とする第11次隊約350人の一部。安全保障関連法で可能となった新任務「駆け付け警護」に初めて対応する部隊として、昨年11~12月に現地に派遣され、道路補修などの施設活動を担っていた。
この日朝、約70人は羽田空港を経由し、青森空港に到着。青森駐屯地で家族らが出迎えた。
政府は先月、施設部隊の撤収を決めた。国連南スーダン派遣団(UNMISS)司令部への要員4人の派遣は続ける。
南スーダンPKOへは2012年から施設部隊を派遣。この間、約210キロメートルの道路補修、延べ約50万平方メートルの用地造成をした。現地は政府勢力と反政府勢力の対立が激化し昨年7月には大規模な武力衝突が発生。治安の悪化が指摘された。
政府は「治安悪化が撤収の理由ではない」と強調するが、情勢変化が政府の判断に影響したとの見方が根強い。日報に首都ジュバの状況を「戦闘」などと記されていたことも問題視された。
新任務「駆けつけ警護」の付与は昨年11月、決定し、実行しないまま撤収する可能性が高い。
安倍政権は積極的平和主義を掲げ自衛隊のPKO派遣はその手段の一つ。PKOの新たな派遣先の検討に入ったものの現時点で実現のめどはたっていない。