江戸時代の測量家、伊能忠敬が作成した日本地図で、北海道は全域が探検家、間宮林蔵の測量に基づくとする分析を伊能忠敬研究会が18日、発表した。北海道は北岸部分が間宮、南岸は伊能の測量によるとされていたが、定説を覆す可能性が出てきた。
研究会は、伊能が1800年に北海道南岸を測量してつくった地図のデータと、約20年後に完成した全国地図の画像を比べた。2つの地図を重ね合わせると、南部の海岸線は最大数キロ程度ずれていたことが分かり、「同じ測量データを使ったとは考えにくい」(研究会)として間宮の寄与が浮かび上がった。
間宮は、伊能が北海道南岸を測量した際に弟子入りし、樺太探検を終えてから江戸の伊能宅を頻繁に訪れるなど親しい関係が続いていた。このため研究会は、伊能が調査した南岸を、再測量できる立場にあったのは間宮以外いなかったとみる。
研究会の渡辺一郎名誉代表は「伊能は最初に測量した北海道の結果には自信がなかったと日記に書いている。間宮の能力を評価して再測量を依頼したのではないか」と話している。
伊能の地図は火災で多くが失われたが、2001年に米国で最終版の写しが見つかった。研究会は発見資料と、日本の国立公文書館が所蔵する地図の電子データを比較し、分析した。〔共同〕