人口減の2060年問題解決へ 立命館が大型研究
学校法人立命館は、人口減少に伴う日本社会の諸問題を解決する大型研究プロジェクトを本年度から本格的にスタートさせる。研究テーマを「人口減少での2060年問題」と名付け、全学横断型の11研究拠点を設ける。
立命館の研究組織「グローバル・イノベーション研究機構(R―GIRO)」は2008年度以降、年間3億円の学内財源を充てて、医療や環境などの分野で研究の拠点化を進めている。これまでに、文部科学省が特色ある研究を行う大学を支援する「私立大研究ブランディング事業」に立命大が採択されるなどの成果を挙げている。今回、立命館としての研究の独自色をさらに打ち出すために研究拠点を再整備し、新テーマを掲げた。
「2060年問題」とは、同年に日本が地球資源の公平な配分の観点からは適正な人口とされる約8800万人にまで減少することが見込まれる一方、人口分布の観点からは高齢化が進み労働人口が大幅に不足することを指す。同問題の解決に向け、11研究拠点では▽定年を75歳まで引き上げた場合の新たな社会システムの構築▽高齢化社会におけるロボットの活用▽健康寿命の延伸のための医療や機材の開発▽人口問題と経済成長の相関―などを21年度まで研究する。
プロジェクトを担当する村上正紀理事補佐は「日本は、適正な人口に対する長期的な展望を持っていなかった。今回のプロジェクトで『2060年問題』の解決策を提示し、将来的に同様の問題を抱えることが予想されるアジアの各国・地域にも貢献したい」と話している。
【 2017年04月18日 22時50分 】