概要 |
@何について何をする技術なのか?
・コンクリート構造物の躯体防水・表面保護・断面修復・ひび割れ補修・漏水部の止水・打継ぎ部および木コン部防水処理ができる技術。
けい酸ナトリウムを主成分とする無色透明・無臭の無機質水溶液を、硬化したコンクリートに塗布または散布、あるいは注入により浸透(含浸)させることで、乾燥固化物(未反応成分)およびコンクリート中のカルシウム成分との反応により生成される安定した反応物(CSH系結晶)により、既存の微細ひび割れ等の空隙を充填する。
また、表層部の空隙内に浸透し滞留する未反応成分は、施工後新たに微細ひび割れ等の空隙発生後、反応物(CSH系結晶)を生成して空隙を充填する。
これらの反応により、ひび割れ深部を含む表層部を緻密化して、かぶりコンクリートを健全に保ち、水や各種劣化因子の侵入を長期にわたり抑制する。
A従来はどのような技術で対応していたのか?
・躯体防水 : アスファルト防水工法・シート防水工法など
・表面保護 : 表面含浸工法・表面被覆工法など
・断面修復 : セメント系充填工法など
・打継ぎ部防水処理 : 止水板の敷設など
・ひび割れ補修 : エポキシ樹脂注入工法など
・漏水部の止水 : 発泡ウレタン注入工法など
B公共工事のどこに適用できるのか?
・コンクリート構造物(橋梁床版・高欄・地覆・橋台・橋脚・沓座・ダム・砂防堰堤・擁壁・上下水道・トンネル覆工・ボックスカルバート・共同溝・水槽・地下構造物など)の新設防水工事・表面保護工事・躯体改修工事・断面修復工事・ひび割れ補修工事・止水工事など
物 性
項 目 | CS-21 | 備 考 |
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外 観 | 無色透明 | |
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臭 気 | 無し | |
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主成分 | けい酸ナトリウム | |
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比重(密度) | 1.240〜1.280(g/m3) | JIS K2249 |
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pH値 | 11.3〜12.3 | JIS K0102-12.1 |
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乾燥固形分率 | 31.5〜33.5% | JSCE K572-6.2 |
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材料種類 | 反応型けい酸塩系表面含浸材 | JSCE K572-6.3 |
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材料荷姿 ( 5s/ポリボトル ) |
新規性及び期待される効果 |
@どこに新規性があるか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
・無機質で無色透明の水溶性含浸材のため、構造物の景観・美観・意匠を損なわず、施工性に優れている
・水和反応活性成分の添加により、コンクリートの材齢を問わず効果を発揮する
・水道施設の飲料水等が直接触れるコンクリート構造物の防水およびひび割れ補修等に適用可能な安全性を確保している
A期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
・防水および劣化抑制効果を発揮し、コンクリート構造物の耐久性を向上させる
・新設構造物の躯体防水または予防保全および既設構造物の補修または改修により長寿命化させ、ライフサイクルコストを低減させる
・水道施設の水道水が直接触れるコンクリートに適用可能な安全な無機質材料であり、環境への負荷を与えない
PC橋梁(東北新幹線)床版防水 |
適用条件 |
@自然条件
塗布工法の場合
*気温
5℃未満-施工時の保温など養生対策が必要(施工後、0℃未満となっても問題ない)
5℃以上30℃未満-適用
30℃以上-散水により表面温度をさげることを推奨
*天 候
晴天-適用
曇天-適用
雨天-適用する場合検討が必要(材料が流れない程度であれば施工可能、流れる程度であれば養生が必要)
強風-適用(飛散防止措置必要)
A現場条件
・無機質材のため火気の注意不要
・コンクリートの状況判断を有するため、適切に処理できる技術者が必要
B技術提供可能地域
・全国
C関係法令等
・土木学会発刊 コンクリートライブラリー119 表面保護工法設計施工指針(案)
> 工種別マニュアル編pp143〜187 > 表面含浸工マニュアル(けい酸ナトリウム系表面含浸材)
・土木学会発刊 コンクリートライブラリー137 けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)
> 反応型けい酸塩系表面含浸材 |
適用範囲 |
@適用可能な範囲
・セメント成分を含むコンクリートおよびモルタル(材齢は問わない)
A特に効果の高い適用範囲
・脱型後早期のコンクリート構造物
・水密性が要求されるコンクリート構造物(水槽・地下・屋上駐車場など)
・目視では発見し難い微細なひび割れや打継ぎ目などの劣化の進行が懸念される部分
B適用できない範囲
・セメント成分を含まないもの(樹脂コンクリートなど)
・既に浸透性吸水防止材などが塗布され、撥水性が付与されたコンクリート
・劣化要因にASRや化学的侵食が含まれる場合
C適用にあたり、関係する基準およびその引用元
・表面保護工の要求性能に対する適用範囲
> 中性化抑止性、塩害抑止性、凍害抑止性、ひび割れ透水性、防水性
・塗布工法によるひび割れ補修の適用範囲
> 注入工法による補修までの必要がないと判断され、挙動の小さい場合
・施工条件による表面含浸工の適用範囲
*適用する面
・上向き、横向き、下向きを問わず適用可能(上向きは垂れ防止対策が必要)
*下地コンクリート
> 乾燥状態
表面を指で触って、指に水が付かず湿り気を感じる程度の乾燥(指触乾燥)状態であること
・乾燥状態の場合、散水を行うことで適用可能
・湿潤状態の場合、適用可能(たまり水等の過度に濡れている状態では、除去するまたは乾燥を待つ)
> 付着物の有無
CS-21の浸透を阻害する付着物がないこと(付着物を除去することで適用可能)
引用元:
・土木学会発刊 コンクリートライブラリー119 表面保護工法設計施工指針(案)
> 工種別マニュアル編P.143〜187 > 表面含浸工マニュアル(けい酸ナトリウム系表面含浸材)
・土木学会発刊 コンクリートライブラリー137 けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)
> 反応型けい酸塩系表面含浸材
・コンクリート工学会発刊 コンクリートのひび割れ調査,補修・補強指針-2009・2013-
> 表面改質工法 |
留意事項 |
@設計時
塗布工法の場合
・劣化部など断面修復の必要がある箇所については、事前に処理を行うこと
・注入工法によるひび割れ補修が必要な箇所については、事前に処理を行うこと
・施工前処理における断面修復およびひび割れ注入には、材料の浸透を阻害しない無機系材料が望ましい
A施工時
・アルミやガラスなどに付着すると除去し難いため、施工時にコンクリート以外の部分に直接触れないよう養生などの対策が必要
・CS-21塗布または散布後に、指触乾燥状態を確認し、粘度を調整し浸透(含浸)を促進させるための散水(湿潤散水)が必要
・保管場所は、直射日光の当たる所や温度が40℃以上になる場所を避ける(冬季は凍結をさけるため、屋内に保管するなどの対策が必要
B維持管理等
・施工後は、曝露状態で、2週間以上の養生期間を確保すること、養生期間中は、雨水や朝露により塗布面が濡れること、塗布面上の歩行や車両通行、シートを敷いて資材を置くこと、塗布面を土で覆うこと等は可能
・屋内環境等で、雨水や朝露等により水分が供給されない場合には、湿潤養生(塗布後翌日以降の散水等)を行うこと
・経年後については、通常のコンクリート面と同様に、CS-21の再塗布の他、各種コンクリート用補修・補強工法の適用が可能
Cその他
・土木学会発刊 コンクリートライブラリー119 表面保護工法設計施工指針(案)
> 工種別マニュアル編pp143〜187 > 表面含浸工マニュアル(けい酸ナトリウム系表面含浸材)
・土木学会発刊 コンクリートライブラリー137 けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)
> 反応型けい酸塩系表面含浸材
に準ずる
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