(英エコノミスト誌 2017年4月15日号)

新英外相にジョンソン前ロンドン市長 ハモンド氏、財務相に

ロンドンの首相官邸を去るボリス・ジョンソン新外相(2016年7月13日撮影)。(c)AFP/OLI SCARFF〔AFPBB News

英国の外交政策の弱点を体現するボリス・ジョンソン外相

 外務大臣としてのボリス・ジョンソン氏にとって最も重要な週はスタートで躓き、さらにひどい状態に陥って終わった。ロシア訪問を直前になってキャンセルしたことで、クレムリンからは米国のプードルだというレッテルを貼られた。どうせレックス・ティラーソン国務長官の命令で中止したのだろう、というわけだ。

 するとジョンソン氏は、英国のメディアを集めて会見を開き、反撃に出た。自分はプードルどころか自ら決断して実行する立場にある、「すべての大物と話をしたことがあり」、シリアの現政権とその支援者に「非常に重い制裁」を課そうと西側諸国に呼びかけている、と強調した。

 しかし、その後、イタリアのルッカで開かれた先進7カ国(G7)外相会合で自らの制裁案を提示したものの、冷たくあしらわれてしまった。共同コミュニケの最終版には、制裁のことなど全く触れられていなかった。

 実行していれば英国外相による5年ぶりのロシア訪問となったところだが、これをキャンセルしたジョンソン氏の行動は正しかった。シリアで化学兵器が使用された以上、西側諸国は意見を統一したうえでロシアに語りかけることが重要であるし、その際には米国の意見を西側の意見とすることが必要になる。

 だが、ロシア側の子供じみた悪口に反発し、ほかのG7諸国の外相の承認も得ずに、制裁案があるなどと吹聴したのは間違いだった。準備不足で外交に臨んだために、英国は恥をかき、G7も分裂してしまった。

 ジョンソン外相の問題点は、プードルであることではない。何しろプードルは、忠実なうえに頼りになることが多い。同氏の問題は、計画性のないナルシスト(自己陶酔者)であることだ。