特定口座・一般口座のメリット・デメリット
証券口座を開くときに聞かれるのが口座種別です。3つあります。
- 特定口座(源泉徴収あり)
- 特定口座(源泉徴収無し)
- 一般口座
かつては米国株を始めとする海外株投資に関しては一般口座しか選べませんでした。しかし、今では日本株と同じく米国株でも特定口座を選ぶことができます。それでは、この3種類の口座はどのような違いがあり、どれを選ぶべきなのでしょうか。
それぞれの特徴をまとめました。先に結論から言うと、年間益が20万円以内ならば特定口座、源泉徴収なし、それ以上ならば特定口座、源泉徴収ありです。一般口座は生債券を買う以外にメリットはありません。
特定口座、源泉徴収ありのメリット・デメリット
この口座の最大のメリットは「確定申告をしなくていい」というところにあります。国内株であれば、ほったらかしでOKということになります。ただし、海外株で外国税額控除を受ける場合には確定申告をしなくては控除されません。
また、主婦や学生さんなど所得の無い人は扶養に入っています。しかし、特定口座の源泉徴収ありの口座だと扶養から外れずに利益をいくらでも出すことができます。特定口座の源泉徴収無しや一般口座と違い、扶養から外れることがありません。確定申告をしなくて済むからです。
また、損益通算も自動でやってくれます。
使い勝手が良いので、実際にはこの「特定口座、源泉徴収あり」が最もオーソドックスな口座選択です。ほとんどの人がこのタイプを選んでいます。年間取引報告書を証券会社が作成してくれます。
特定口座、源泉徴収なしのメリット・デメリット
この口座の最大のメリットは「年間20万円以内の利益ならば少額不追求の考えで無税になる」というところです。サラリーマンなど年末調整をしている人は確定申告をしなくてよいので、売買益と配当収入の合算で年間の利益が20万円以内ならば税金がかかりません。申告不要、つまり免税です。
そのため、特定口座で源泉徴収なしを選択する際には自分の投資額がどの程度なのか見極めて選択すると良いです。
ちなみに長期投資の場合は配当益のみの計算になってきますから、20万円以内の配当金を計算すれば良いことになります。売買益と違って配当は先読みがしやすいです。年間配当の検討がつく人はこの「特定口座、源泉徴収なし」のメリットを享受できるかどうか確認をしておくと良いでしょう。
非常にざっくりですが高配当狙いの投資をしているならば、年率3.5%として投資額500万円ぐらいまでがこちらの特定口座で源泉徴収なしを選ぶメリットがあります。やはり年間取引報告書を証券会社が作成してくれます。
ちなみに、少額投資なのに源泉徴収ありを選んでいると、源泉徴収で税金を多く払い続けることになります。この源泉徴収で収めた税金は還付できませんので、よく考えて口座を作ったほうが良いです。
一般口座は正直あまりメリットはありません。海外株投資はちょっと前までこの一般口座しかありませんでした。すでに習慣になってしまったので苦になりませんが、一般口座の場合は次のことを自分で記録しなくてはいけません。
- 買付約定株価とその時の為替
- 売却約定株価とその時の為替、その差益
- 配当金額とその時の為替
これを全て計算します。また、税務署に収める税金は円建てですから米ドルで売買していてもその時の為替を把握し、記録しておかなくてはいけません。自分で損益をその都度厳密に管理する習慣が身に付きますが、手間は手間です。
これは投資が趣味の人にとってはさほど苦になりませんが、そうではなく義務で投資をしている人にとっては苦痛極まりないでしょう。
なお、一般口座の場合も20万円以内の売買益・配当益ならば確定申告は不要です。一般口座でしか買えない国債や社債などの債券を扱う人専用の口座になりつつあります。
長期の米国株投資は確定申告を前提とすべき
米国株・米国株ETFの配当・分配金は、アメリカ本国で10%引かれてから日本の私たちの口座に入金されてきます。その後、日本の税金で20%引かれます。これは租税条約上の二重課税に該当します。
この二重課税を解消すべく存在するのが外国税額控除です。外国税額控除はアメリカで徴収された10%を確定申告により控除するという制度です。ですから、20万円以上の利益が出る人は必ず使ったほうが良い制度ということになります。
なお、外国税額控除はアメリカから直接還付するのではなく、自分の払い込んだ所得税から還付する制度です。そのため、払い込んだ所得税が無いと還付されないことになります。
関連記事です。とにかく煩雑な税制度についてのまとめ記事です。アウトラインがつかめると思います。
少額ならばNISA口座をうまく活用することです。買付無料(ノーロード)投信などもありますし、何より売買益、配当・分配金益が無税というのが大きいです。しかし、NISA口座であってもアメリカ国内の源泉徴収はされます。
ここでは一般口座と特定口座の説明しかしませんでしたが、NISA口座も使い方によっては非常に魅力的と言って良いでしょう。ただ、5年という年限をどう考えるかということですね。移管すると移管時の株価が取得価格になるという悩ましい問題です。
手数料の考え方です。米国株投資の手数料はまだまだバカにできません。
株式売買の醍醐味の1つである「損だし」についての考え方です。