ダウン症のチンパンジー、国内で発見 京大、世界2例目
世界2例目となるダウン症のチンパンジーを、京都大野生動物研究センターの平田聡教授らが見つけた。ヒトとの比較を通して、ダウン症の理解が進むことが期待できるという。国際科学誌に21日、発表した。
ダウン症のチンパンジーはヒトのダウン症と同じような染色体異常があり、1969年に米国で初めて報告された。1例目は1歳半で死亡している。
平田教授らが確認したのは、京大のチンパンジー保護施設「熊本サンクチュアリ」(熊本県宇城市)で飼育している24歳のメス「カナコ」。生後約10カ月で両目が白濁し視力が低下した。2歳の時に手術したが、術後に緑内障を発症するなどして7歳までに視力を失った。また22歳の時、心臓に病気が見つかった。染色体の検査でもダウン症の特徴が確認できたため、診断が確定した。カナコの症状はヒトのダウン症と共通している。
カナコは現在、他のチンパンジーと離れて暮らしているが、40代のメスのチンパンジー「ロマン」と月1回、1時間ほど同じ部屋で過ごす。カナコはロマンとの同居が始まるとうれしがる時に発する「グフグフグフ」という声を出すという。
平田教授は「さらに詳細に観察すれば、ヒトとの違いが見つかるかもしれない。最善のケアをしながら観察していきたい」としている。
【 2017年02月21日 22時30分 】