“無痛分べんに十分な医療体制を”厚労省研究班が緊急提言

“無痛分べんに十分な医療体制を”厚労省研究班が緊急提言
k10010950501_201704161805_201704161805.mp4
麻酔を使って陣痛を和らげる「無痛分べん」について厚生労働省の研究班は、麻酔によって死亡した例があるなど通常の分べんと異なる管理が求められるとして、医療機関に対し無痛分べんを行う際には十分な医療体制を整えることを求める緊急提言を行いました。無痛分べんについて、こうした提言が出されるのは初めてです。
この緊急提言は16日、広島市で行われた日本産科婦人科学会で厚生労働省の研究班の班長を務める三重大学の池田智明教授が発表したものです。

研究班では、去年4月までの7年間に報告された妊産婦の死亡例298人を分析したところ、脊椎への注射で麻酔をかけて無痛分べんを行っていた死亡例が13人あり、このうち1人が麻酔による中毒症状で死亡していたということです。また、羊水が血液に入る症状や大量の出血が起きたケースもありました。

このため緊急提言では、無痛分べんは麻酔によってまれに重大な合併症が出るほか、赤ちゃんを引っ張って出す処置が必要なケースが増えるなど通常の分べんとは違った管理が求められると指摘し、無痛分べんを行う施設に対して麻酔による合併症や出血などに確実に対応できる体制を整えることを求めました。

無痛分べんについてこうした緊急提言が出されるのは初めてです。研究班では、今後、産科医や麻酔科医と共同で無痛分べんを実施する際のチェックリストを作り、産科医に対し講習などを行っていく方針です。

池田教授は「無痛分べんを望む妊婦が増えているが、実施の際には緊急の状況に対応できる技術と体制を整えることが重要だ」と話しています。