オーストラリア、技能労働者向け査証の発給を厳格化へ
オーストラリアのマルコム・ターンブル首相は18日、海外からの技能労働者への査証(ビザ)の発給を厳格化すると発表した。
豪政府はオーストラリア国民を優先するため、現在の「457」と呼ばれるビザを廃止し、要件を厳しくした2つのビザを暫定的に導入。また、ビザ申請が可能な専門職の数を削減する。
現在のビザ制度に対しては、オーストラリア労働者の職が外国人に奪われているとの批判の声が出ていた。
ターンブル首相は、「新たな制度は明確かつ厳密に、断固たる意志を持って国益にかなうよう運営される」と述べた。
政府統計によれば、現行制度の457ビザを持つ外国人労働者は昨年、9万5758人いた。最も多かったのはインド人で、全体の24.6%を占めた。2位の英国人は19.5%、3位の中国人は5.8%だった。
457ビザとは何か
有効期間は4年間で、オーストラリアで家族と生活することが許される。
技能職の人手不足に対応するため導入されたが、取得が簡単過ぎるとの批判があった。
2016年には、ビザの発給を受けた大半を料理人、開発業者、コンピューター・プログラマー、医療従事者が占めた。
どう変わるのか
ターンブル首相は、4年間有効な現在の457ビザは、期間が2年~4年の新しいビザに移行すると語った。
期間の短いビザについては、対象の業種が現在の650から450まで削減される。ピーター・ダットン移民相によると、期間の長いビザでは、要件をさらに厳しくするという。
ビザ申請者にはより高い英語力を条件とし、犯罪歴の調査を行う。雇用者にはまず国内労働者や既存のビザ保有者の中から採用できないか検討することを求める。
ターブル首相は、現在の457ビザ保有者は制度変更の影響を受けないとしている。
移民への影響は?
ダットン移民相は影響すると指摘する。同相は、最終的に市民権が獲得できるかもしれないことが457ビザの「魅力の大きな部分」だったと説明した。
同氏は、「現在の457ビザ制度は4年だが、実質的に期限がなく、多くの場合、移住に行き着く」と語った。
「暫定的な技能者不足に対応する短期間分には2年間のビザを設けるが、(中略)最終的な結果は永住権にならないというのが、我々の新提案だ」
ダットン移民相は、新たな4年間のビザも、対象者を絞りこむため、永住権取得者は少なくなると説明した。
オーストラリア政府は先月、ファストフード業界で働く外国人への労働ビザ発効をほぼ停止すると発表している。
(英語記事 Australia to introduce stricter rules on working visas)