「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は胸焼けする映画だった。
一部の界隈でカルト的な人気があり、前から気になっていたのでDVDを借りて観てみることにした。
が、この映画はなかなかひどい。
金金金、女女女、ドラッグ、浮気、不倫、逮捕、なんでもアリの映画だ。
ウォールストリートの実態がどうなのかは知らないが、映画の主人公であるジョーダン・ベルフォートは、恋愛工学の始祖である藤沢数希さんが念能力によって具現化したようなヤツだった。
ごくごく常識的な視点で見ると、とんでもない男だろう。
自信満々なセールストークで顧客をその気にさせ、クソみたいな株を売りつけ金を稼ぐ。
ツイッターでnoteを売りさばく情報商材屋みたいだ。
ジョーダンは顧客が損しても気にしない。
買った奴が悪い。
豪邸、クルーザー、車、ヨット、ヘリコプターまでなんでも持ってる。与沢翼がリアルになるとこんな感じだろう。
映画のほとんどのシーンで「ファック!」と叫び、ファックと叫んでいないときはだいたいファックしている。
ジョーダンは薬物依存になって自滅していくんだけど、正直自業自得としか言いようがない。
本当にしょうもない奴である。
しかし、そんなしょうもないジョーダンに心から共感するシーンがある。
ナオミを口説くシーンだ。
この可愛いジョーダンを見てほしい。
「神様 どうすればヤレる?」
僕はこの人間らしい姿を見て、一気にこいつが好きになった。
神様 どうすればヤレる?
という気持ちが痛いほどわかるからだ。
目が飛び出るようないい女とデートできたとき、どんな男も一度は思う。
「神様、答えを教えてくれ」
「神様、俺はどうしたらいい?」
神様は時に恋愛マニュアルの形をしていたり、時に女神のような姿をしているのだけれど、
「いい女とヤリたい」
「千載一遇の好機を逃したくない」
というのは全男性共通の願望だ。
どんな綺麗事も美女の前では等しく無力であり、恋の答えは誰も知らない。
神にどうすればヤレるか訪ねたジョーダンには妻がいた。
浮気の前に葛藤するジョーダン。
「バカはよせ 妻のもとへ帰れ」
僕は清廉潔白、清く正しく美しく童貞なので、浮気をする男の気持ちなんてよくわからないのだけれど、カス中のカスであるジョーダンが迷っているシーンはどこか可愛らしく見えた。
バカはよせ
と言いながら、ナオミの裸を見たら頭のネジが外れてベッドにロケットダイブ。11秒でイってしまうところも人間らしい。
結局、妻とは分かれてナオミと再婚。
結婚記念に渡したのは「ナオミ号」という名のクルーザーだった。
倹約が美徳
なんていう価値観とは対極にあるウォール街の狼だ。
金も女も貪欲に喰らう。それがウォールストリートの価値観なのかもしれない。
* * *
話は前後するが、ジョーダンがパーティでナオミを見つけ、口説きに行くシーンを紹介したい。
別の男に連れられて、パーティ会場に入ってきたナオミに声をかけるジョーダン。
冗談を言いながら、ナオミを口説き始める。
「すごいお宅ね」
と目をキラキラさせてジョーダンに関心を示すナオミ。
その横で、邪魔をする男を見てほしい。
こいつである。
目をつけた女が他の男に口説かれそうになると、必死に守ろうとする男は、映画だけではなく、現実にも存在する。
そう、六本木のクラブにいるヒデヨシという男だ。
映画で見ると、なんて...なんてかっこ悪いのだろう。
非モテが服を着て歩いているようだ。
自分の女が取られそうになって、盗賊から宝物を隠すようにその場から女を連れ去ろうとする姿は、か弱い草食獣のようだ。
狼は生きろ、豚は死ね
と昔の俳優は言った。
豚は死ぬ。
ナオミは狼に寝取られてしまったし、ヒデヨシはブロックされた。
前に紹介したGoogleの映画と違って、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は幸せになる映画ではない。
女の子と一緒に観るのも全くおすすめしないし、話の内容も全体的に頭おかしいという感想しかない。
ただ、なんていうか、あの体育会系の部活みたいなノリは嫌いじゃない。
ああいう風にウォウウォウとテンション上げて仕事ができたら、毎日すげえ楽しいだろうなって思う。
そこだけは間違いない。
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