アマゾン 最短1時間で配達するサービス 23区などで開始

ネット通販大手のアマゾンは、都内の大手デパートの総菜や、ドラッグストアの化粧品などの注文をインターネットで受け、最短で1時間以内に配達するサービスを東京23区など一部の地域で始めました。
アマゾンは、おととしから有料会員向けに、注文を受けてから1時間以内に倉庫から食料品や日用品を届けるサービスを東京23区を中心に展開しています。

このサービスを拡充する形で、新たに18日から、三越日本橋本店、ドラッグストアのマツモトキヨシ、それにココカラファインと提携し、店舗にある総菜や化粧品など最短で1時間で配達すると発表しました。

対象は1万点余りで、利用者が専用のアプリを使って注文すると、店員が商品を用意して配達員に手渡し、車で配送する仕組みです。

会社によりますと、東京23区など一部の地域で、商品の合計が2500円以上の場合のみが対象で、配達料は最大で1430円かかるほか、再配達は行わないということです。

宅配業界ではネット通販の荷物が増加していることなどから、最大手のヤマト運輸が大口の取引先のアマゾンに対し、料金の値上げと合わせて、注文があった、その日のうちに配達するサービスの引き受け量の縮小を要請しています。

一方、今回のサービスでアマゾンは地域を限定して、小回りの利く複数の中小の宅配事業者に配達を委託し、利用者にも負担を求めることで、サービスを拡充することにしています。

アマゾンジャパンの永妻玲子事業部長は「品質の高いサービスを提供するには、適切な料金設定が必要だと考えて今回の料金を決めた」と話しています。

なぜ最短1時間のサービスが可能に

アマゾンはおととし11月から、プライムナウという有料のサービスを東京の23区と、調布市、狛江市、それに神奈川県、千葉県、大阪府、兵庫県の一部で行っていて、890円で1時間以内に倉庫から食料品や日用品を配達しています。

人手不足を背景に、宅配業界では料金の値上げや、注文があったその日のうちに配達するサービスの引き受け量を縮小する動きが出ているにもかかわらず、アマゾンが、このサービスを拡充できる理由は主に5つあります。

まずは地域を限定していることです。

三越日本橋本店の場合は、東京都千代田区、中央区、江戸川区、江東区、港区、品川区、墨田区、台東区、それに千葉県浦安市の一部に配達エリアを限定し、さらに1時間以内の配達は扱っていません。

マツモトキヨシは、中央区、江戸川区、江東区、墨田区、ココカラファインは目黒区、港区、大田区、世田谷区、渋谷区、品川区、それに神奈川県川崎市中原区に限っています。

アマゾンが配達を委託しているのは地域の中小の宅配事業者です。

配達エリアを限定したことで小回りが利くほか、大手に比べて、引き受け量に余裕があるということです。

プライムナウを利用するには、アマゾンプライムの会員になるのが条件で、3900円の年会費が必要です。これとは別に新たなサービスでは、配達まで1時間以内だと1430円、2時間ごとに時間指定する場合は540円の配達料が必要です。

さらに2500円以上の買い物でないと注文できません。注文はスマートフォンなどのアプリでのみ受け付けます。利用者はアプリを起動して、該当の地域に宅配事業者がいるかどうかを確認します。

アマゾンがインターネット上で配達管理を行っていて、仮に対応できる宅配業者がいない場合には、そもそも注文ができない仕組みです。新しいサービスでは再配達は行いません。

おととし11月に始めたサービスでは、利用者は自宅で配達を待っている場合が多く、再配達が必要となる例はほとんどないということで、今回も再配達はしないことを条件にしています。