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マスメディアから見える人間の劣化、政治から見える国民不在、真実とは。

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朝日新聞の「パノプティコンの住人」というシリーズの取材記事です。
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3月2日。電話口の安倍晋三首相は少し、いら立っているようだった。
「西田さんは大阪問題でやりたいだろうげと、それを頼んだのが安倍だと言われたら、なんにもならないからさ」
電話を受けたのは、自民党の西田昌司参院議員。

4日後の参院予算委貴会で学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地売却問題について質問に立つことが決まった矢先。

首相から質問内容に注文がついたのは初めてで、「総理が直接電話してくるのは異常やねん」と西田氏は明かす。

趣旨は、土地が約8億円値引きされたことの「正当性」を、質疑を通してうまく説明してほしいというものだった。

西田氏は京都府選出。
日本維新の会に一貫して批判的な立場で、「森友問題は大阪府の小学校設置認可をめぐる規制緩和に端を発した大阪問題」として質問するつもりだった。

首相は電話で維新に触れなかったが、西田民は直感した。

「憲法改正を含め、政権に協力的な維新をかばう気持ちが首相にはあるんやな」と。

質問当日。
西田氏は首相の言う通り、値引きの正当性を主張する官僚答弁を引き出し、「疑惑だ、という森友事件の報道は、フェイクニュースだ」と訴えた。

与党議員が政権に都合のよい質問をするのは珍しくない。
だが、西田氏は「国会の爆弾男」の異名をとり、身内といえとも歯にきぬ着せぬ批判を浴びせる言動でならしてきた。

そんな西田氏でさえも、この日は大阪府に関する質問を封印せざるを得なかった。

10日後の3月16日。
学園の籠池泰典氏の100万円寄付発言が飛び出すと、竹下亘・自民党国会対策委員長は「首相への侮辱」と言って証人喚問に踏み切った。

問題が首相を直撃しても、与党はひたすら「1強」に付き従っている。
(二階堂友紀)

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「そもそも寄付はしておりませんが、寄付していたとしても、感謝されこそすれ、犯罪ではありません」
17日の衆院決算行政監視委員会で、安倍晋三首相は森友学園に対する妻・昭恵氏の寄付の有無に関して、こう答えた。
最近の首相には余裕がうかがえる。
12日の衆院厚生労働委では、民進の柏木道義氏は森友問題でNHKの世論調査を取り上げた。

「政府の説明に納得できないが8割。昭恵夫人に公の場で説明頂けるよう話し
て頂けないか」
首相は笑みを浮かべながら、答弁した。
「その調査では内閣支持率は53%。自民、民進の支持率はご承知の通りでございます」
自民支持率は38%、民進は7%。
首相は「何回も説明してきた通り」と、昭恵氏の国会招致を拒否した。

政権の座に返り咲いてからの4年余。
民進を攻めることで自らへの批判をかわす。
それが得意のパターンであり、現実に森友問題が首相を直撃しても内閣支持
率や自民支持率への影響は限定的だ。

首相の答弁は、何があろうと「安倍1強」は揺るぎないと宣言するかのようだった。
政権の危機管理を担ってきた菅義偉官房長官は、毎日2回の定例会見で「その
指摘は全く当たらない」などと全面否定の言葉を繰り返すことで、批判をはねつけてきた。

その菅氏が森友問題で動いた。
学園の籠池泰典氏に対する3月の証人喚問当日。
国有地借り受はけに関する相談で昭恵氏に留守電を残し、夫人付の政府職員からファクスがきたとする籠池氏の証言に対し、菅氏は会見冒頭でファクスのコピーを記者団に配布した。

後に行政文書ではないと閣議決定された「私文書」を公の会見で出し、やがて籠池氏告発にも言及。
敵と見定めた相手は、容赦なく攻めて追い詰める。
そんな姿勢が見て取れる。

跳ね返り恐れ批判及が腰
「1強」による攻撃的な姿勢を前に、野党や自民党内の非主流派は、孤独な戦
いを強いられている。

「運動会の宣誓は、間違いないものでしょうが。失礼ながら、ガセだとか言われると困るので」
2月末、森友問題を取材するノンフィクション作家の菅野完氏のもとに、ツイ
ッタ−のダイレクトメッセージが届いた。

相手は一面識もない民進発の大西健介衆院議員。
学園の園児が「安倍首相頑張れと声を上げる映像を発掘した菅野氏に対し、信頼性を問う内容だった。

「政権にスキャンダリズムで対時するなら、泥まみれになる必要がある。ツイッターでの問い合わせなんて覚悟を感じられない」と
菅野氏はいう。

民進党には2006年の「偽メール事件」の後遺症が残る。
当時民主党の若手議員が元週刊誌記者から提供を受けたメールを元に小泉政権を追及。
のちに偽メールと判明し、前原誠司代表の辞任に発展した。
根拠が薄いままへたに質問すれば批判が跳ね返り、事件の二の舞いになりかねない。

党内のそんな空気を感じている福島伸享衆院議員は「偽メール事件を引きずっていると思われる国会対応を今時やっているのは恥ずべき事」と語る。

その福島氏が森友問題を追及する中、地元・水戸市の事務所に、自分が申し込んだ覚えのない生命保険の加入書類が7通届いた。
誰かが福島氏の名をかたり、生保会社に請求したものとみられるという。

福島民は「『命に気をつけろ』という暗示だと思った」と語る。

政権批判をする政治家への攻撃。
矛先は、野党だけではないようだ。
自民党で「ポスト安倍」をうかがう石破茂・前地方創生相が3月のテレビ番組で「(昭恵氏が)隠しているんじゃないのと思われることはかえって良くない。
政府与党としてお答えしなきゃいかん」と述べた時も、事務所に批判のメールや電話が相次いだ。

「お前は後ろから鉄砲を撃つのか」「お前なんかに総理の貿格はない」首相を擁護した側の西田昌司参院議員の事務所にも「なぜ、首相を守るのか」という批判の電話は来たという。
だが、同じ批判や攻撃も、「1強」首相をバックにした議員と、そうでない議員とでは、心理的負担の差は明らかだ。
(二階堂友紀、中崎太郎)

という記事ですが、興味のある方は朝日新聞を読まれては如何でしょう。

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