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金魚警報(再)

140字を水で薄めるところ

4コマだけじゃない!Welcome to ようこそ ふかさくえみワールド

『今日のノルマさん』でおなじみふかさくえみ先生。

 4コマクラスタな方は「ちまさんちの小箱」の頃からご存知かもしれませんし、コミティアクラスタには毎回アンケートで上位に食い込む短編作品でおなじみかと思います。ジャンプ系列作品を追っている人は「ジャンプデジタルマンガ」で連載された「マルラボライフ」をお覚えかもしれませんし、百合クラスタな方は『購買のプロキオン』で頬を緩めた経験がおありかもしれませんし、ファミ通を愛読するどうぶつの森クラスタはコミカライズで出会っているかもしれません(ピンポイント)

多くは日常にSF(すこしふしぎ)要素が交じる世界観と、そこから生まれるコミュニケーションの物語。可愛らしい絵柄と思いやりに溢れた登場人物たちによって紡がれていく優しい世界。何気ない題材を作品に仕立て上げる創作力の高さ、実験的手法から生まれる表現の多様さ、商業連載と並行しつつ短編作品が定期的に発表される筆の速さ…まぁ要するに自分はふかさく作品が大好きという話です。

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で、そんなふかさく作品の大部分を占める短篇読み切り同人誌が、昨年より少しずつ電子化され、入手が難しくなっていた過去の作品も読むことができるようになりました。初めてコミティアのスペースで「既刊全部ください!」をやってからというもの、あの手この手で未入手の同人誌を求めネットと秋葉原を駆け抜けた日々がしみじみと思い出されます。

前置きが長くなりましたが、ここでは連載作品、単行本化された作品、電子化された作品、ネット上のウェブ漫画サービスなど他所で読める作品、入手困難な作品も含めて、ふかさく先生が発表してきた膨大な作品を整理しようという試みです。過去作品へポロロッカする手がかりとなれば。

短編作品が多く、タイトルや表紙の印象だけを持った状態で各作品に臨んでほしいという勝手な願いから、各作品の内容についてはほぼ触れません。

 

商業・同人を問わず、これまで発表されてきた作品に関してはふかさく先生の個人サイト「すこやかペンギン」にて詳細に記されているので大変助かります。

まず商業作品から。

■『マルラボライフ』(集英社ジャンプデジタルマンガ」2005年9月~2006年12月)

商業デビュー作。いきなりもう特殊な漫画なのですが、画面上で専用のビューワを通して音や動き、見る時間によって色が変わるなどのギミックが連動するという、ほとんどFLASHアニメに近い作品となっています。ジャンプデジタルマンガでは他にも同様の手法を用いた実験的な作品が連載されていましたが、2007年に閉鎖。現在はふかさく先生のHPから直接読むことができるようになっています。ギミックとしては今見るとかなり時代を感じてしまいますが、物語やキャラクターの端々には現在の作品に通ずる要素が満載です。

f:id:sail_kamihitoe:20170416150613p:plain(当時の画面)

関連する作品としては、同人誌「マルラボン」(2005年12月)、制作裏話などを記した「マルラボの設計図」(2006年12月)、以上2点を一部再録+描きおろしを加えた10周年記念本「マルラボ図鑑」(2016年5月)があります。「マルラボ図鑑」は現在でも購入可能。

 

■『ちまさんちの小箱』(芳文社まんがホーム」2007年12月号読み切り掲載、2008年5月号~2010年1月号連載)

商業誌デビュー作。ふかさく先生が広く知られるきっかけとなったのはこの作品ではないでしょうか。芳文社から単行本が発売されることはありませんでしたが、連載終了直後の2009年の冬コミにて商業再録同人誌という体でまとめられました。残念ながら在庫切れとなっており、入手は難しいです。ただ、2016年よりウェブマガジン「電脳MAVO」内のページ「ふかさくえみのビイダマ観測」において順次公開されており、無料で読むことができます。

 

■『よもぎ町パンタグラフ』(宝島ワンダーネット「ワンコミ」2008年4月~2009年10月)

ケータイコミックサイトにて連載。こちらもふかさく先生自らの手により、2014年の冬コミにて商業再録同人誌として単行本化されました。在庫切れなのでやはり入手は難しいですが、今後上記の「ビイダマ観測」にて公開される可能性はあるかと思います。

 

■『今日のノルマさん』(竹書房まんがくらぶオリジナル」2013年12月号読み切り掲載、「まんがライフオリジナル」2014年6月号~2016年8月号連載)

単行本全2巻が発売中。読み切り版は2巻のCOMIC ZIN購入特典冊子に掲載されました(通販では購入不可状態ですが店舗では購入できるかと思います)。元をたどると2013年5月のコミティアにて頒布された同人誌「きらきらアスパラガス」収録の一編が初出です。

 

■『鬼桐さんの洗濯』(竹書房まんがライフオリジナル」2017年5月号~)

現在連載中です。単行本化されるとしてもはるか先なので、毎号連載を追うのがよろしいかと思います。

 

・「購買のプロキオン」(新書館「ひらり、」vol.3(2010年12月発売)掲載)

・「ツバキ准教授の門限」(新書館「ひらり、」vol.5(2011年8月発売)掲載)

・「氷糖プレパラート」(新書館「ひらり、」vol.7(2012年3月発売)掲載)

・「ゆびさきでスキップ」(新書館「ほうかご!」Vol.1(2012年10月発売)掲載)

以上の読み切り4編に描きおろし「笑って差波さん」を加えた単行本『購買のプロキオン』が2013年3月に発売。商業単行本はこれが初となります。

購買のプロキオン (ひらり、コミックス)

購買のプロキオン (ひらり、コミックス)

 

 ・「杖をバトンに持ち替えて」(新書館「ほうかご!」Vol.2(2014年4月発売)掲載)

こちらは商業再録の体で2016年12月のコミティアにて同名の同人誌が頒布されました。「すこやかペンギン」や各通販サイトにて購入することができます。

 

続いて同人作品。

■eyesoreシリーズ

eyesore」(2001年3月)、eyesore2」(2001年9月)、eyesore3」(2002年5月)、eyesore4」(2002年11月)、eyesore5」(2003年8月)、「eyesore6」(2004年8月)

ふかさく先生の同人デビュー作。以上の本編6冊に加え、解説と描きおろしを加えた「eyesore0&1」(2003年2月)、番外編「eyesoreエピソード」(2003年12月)、4までを再構成した「eyesore1→4」(2005年8月)、再録まとめ本「eyesore上巻」「eyesore下巻」(2007年8月)があり、後追いの身だとなかなか混乱してしまいますが、再録の上下巻と「エピソード」を押さえておけば問題ないかと思われます。が、やはり初期作品ということもあって入手は非常に難しいです。電子化に関しても今のところ短編作品に限られているので、どこまで期待して良いものか、といった風向きです。 

 

フェルマータライフ

竹熊健太郎さんのサークルが発行する同人誌「MAVO」Vol.1(2008年12月)からVol.5(2010年8月)に掲載されたシリーズ。その後Webの電脳MAVOに居を移し、不定期の更新を経て完結されました。現在もすべて読むことができます。

2016年、電子版として単行本もリリースされました。

フェルマータライフ 1

フェルマータライフ 1

 

 

 ■短編作品

ふかさく作品の大部分を占める読み切り短編作品。

発行タイトル備考
2003年5月 Sepia 合同誌「friends」として発行
再録本「昨日のレシピ」収録
2004年2月 パンダの住む家 合同誌「famillia」として発行
再録本「昨日のレシピ」収録
2005年5月 ドミナント・セブンス 電子版発売中
再録本「昨日のレシピ」収録
「ビイダマ観測」で公開中
2005年11月 HAPPY BIRD 再録本「はじまりのうた」収録
「ビイダマ観測」で公開中
2006年5月 昨日のレシピ 短篇再録
+描きおろし「unequal」
2007年2月 2月の転校生 再録本「はじまりのうた」収録
2007年5月 委員長さんのメガネ 再録本「はじまりのうた」収録
「ビイダマ観測」で公開中
2007年11月 8ページの日常 再録本「はじまりのうた」収録
「ビイダマ観測」で公開中
2007年12月 手のひらにリミット 再録本「はじまりのうた」収録
2008年12月 Ampersand 再録本「はじまりのうた」収録
「ビイダマ観測」で公開中
2009年8月 8ページの夏休み  
2009年11月 シアフレ  
2010年2月 昼と夜のパラレル 板倉梓先生との合作
2010年5月 織田くんと蛍戸木さん 「ビイダマ観測」で公開中
2010年8月 はじまりのうた 短篇再録
+描きおろし「プロローグ」
2010年8月 もくもくさん  
2010年12月 マイナスのアルファ  
2011年2月 ユキミレコード 電子版発売中
「ビイダマ観測」で公開中
2011年5月 シュガーキューブ同盟 「杖をバトン持ち替えて」
(2017年2月)に再録
2011年8月 ふわふわアルペジオ  
2011年10月 さよならパンプキン  
2011年12月 尾津さんのかさ コミティア30thクロニクル』
双葉社)第2集に収録
2012年2月 うるうる  
2012年5月 あめ玉オクテット 無料ペーパー掲載作品の再録
+描きおろし「世界は君の色」
2012年8月 お手元のフリップにどうぞ 電子版発売中
2012年11月 教室で待ってる 電子版発売中
2012年12月 おいしい毒味 電子版発売中
2013年2月 如月ランデヴー  
2013年8月 真夏のストール会長  
2013年10月 ししぼん  
2013年12月 針ヶ谷さんと右向き三角  
2014年2月 セーブはこまめにしたいのに  
2014年5月 110010 50冊記念本。描きおろし
「110010」「1100110」
2014年8月 ひみつのサマーミッション 2017年4月現在在庫あり
2014年12月 夕凪ゴーラウンド  
2015年8月 エスケープ・ミニスケープ  
2015年11月 たとえ、君が 2017年4月現在在庫あり
2015年12月 白田さんは自由になりたい。 2017年4月現在在庫あり
2016年1月 ボンボン・ショコラ・アソート  
2016年8月 炒り豆フラワーズ 2017年4月現在在庫あり
2016年10月 ユイカミ型LOG 2017年4月現在在庫あり
2016年12月 杖をバトンに持ち替えて 商業再録+描きおろし
「アンドアンドロイド」

表にすることでかえって分かりにくくなるという例です(作ってから気づいた)

手っ取り早く読めるのは、先述したWebサイト「ふかさくえみのビイダマ観測」にて公開されている7編。それとは別に電子書籍として販売されているのは6編。「ドミナント・セブンス」なんかは無料公開中&電子版発売中という妙な状態になっています。順次電子化されるとのことなので、今後読める作品数は増えていくことでしょう。ちなみに電子版の表紙はすべて描きおろしになっており、ふかさくえみ短編集として統一感のあるデザインになっています。

 

 このへんが個人的おすすめ。各162円ととても安いのでぜひ。

 

今回は有料頒布物のみを記しました。この他にも各イベントごとの無料配布ペーパーなどもあるのでふかさく作品を完全に把握するのは茨の道です。

便宜上商業と同人作品を分類しましたが、経年順に見ていくのが一番総覧しやすいので、「110010 すこやかペンギン創作同人誌50冊記念本」を片手に掘り進んでいくのが良いかと思います。というか、今回の記事作成にあたり最も参照したのがこの本でした。作者自らこうしてまとめてくださるというのは後追いの身には大変ありがたいことです。