先日、渋谷の立ち飲み屋さんで一杯やっている時に隣のおじさん達が口を揃えて猛プッシュしていたお店情報をゲットいたしました!
なんでも、新鮮な魚がめちゃくちゃリーズナブルに食べられるのだとか。
「渋谷で魚を食べるなら絶対ココ!」とオススメっぷりがあまりにもすごかったので、美味しいお店を探してさすらい続ける風来のグルメライターの私としては、居てもたってもいられずに早速、うまさてんこ盛り「魚蔵居」へ行ってまいりました。
渋谷のど真ん中とは思えないシメサバに驚愕!
まずはシメサバ(590円)を注文。
き、きれいだー!
こんなにつやつやのシメサバを見たのは何年ぶりでしょうか。こちらのシメサバは、お店で生のサバを昆布締めにしているためにこんなに新鮮なのだそうです。そのこだわりぶりと、この盛りならば590円は安すぎるのではないでしょうか。
ツヤツヤと光る身からは、しっかりと脂がのっていることが見て取れます。
さて、気になるお味の方は...
脂ののった身はしっとりとして、ありがちなパサつきがまったくありません。
きゅっと締まった身は崩れることなく、弾力すら感じさせます。酢の酸味がきつすぎることなく、昆布のうまみがしっかりとしみ込んでいて、作り手の技術の高さがうかがえます。
ワンコイン以下で食べられる漁師漬けが豪快でおいしい
いろんなお魚の入った漁師漬け(450円)。
漬けというとかなりしょっぱいものを創造しますが、こちらの漁師漬けは優しい塩味で、お酒にもごはんにも合いそう。かわりに魚の脂の甘さがよく感じられる漬けになっています。
ライス(150円)とあら汁(100円)と合わせても700円なので、渋谷で食べる刺身の漬け定食としてはコスパよすぎではないでしょうか。
中性脂肪を減少させる効果が期待できるDHAもいっぱい摂れて、栄養的にも高コスパですね!
お米との相性が最高なので漬け丼にするのもオススメです。
すでにめちゃくちゃ上手に作ってある漬けダレが魚の脂を含んで、ご飯にしみ込んだものを口に運ぶと、至福の時間がやってきます。色々な食感の魚が混ざっているはずなのに、漬けダレ&ごはんがいることで不思議とまとまっています。
他にもめちゃくちゃ新鮮な魚が目白押し!
アジ刺(590円)は、やわらかくもむっちりとした歯ごたえで、アジ特有のしっかりとした風味がします。青魚独特の臭みはありません。
ホッキ貝刺(490円)は、肉厚な身を噛むたびにうま味がしみ出てきます。弾力はあるのですが、固い感じではなく、すっと歯が通るやわらかさもあります。一切れ一切れが大きいのもうれしいですね。
何度も言いますが安すぎますよね。どうしてこんなに鮮度のいい魚が安く提供できるのか。
それは、店主さんが知り合いの釣り人から直接魚を仕入れているからなんです。だから、ほかでは真似できない鮮度で、コストパフォーマンスに優れた魚を味わうことができるんですね。
運が良ければこんな瞬間に出会えることも。
高級魚、黒ムツです。
魚の口に残った光る糸は、釣ったものである証。
皮あぶりにするのが最高においしいそう。
さばきたての、釣り黒ムツ(680円)です!
あまり有名ではない高級魚ですが、このお魚が都内で680円で食べられるところ他にあるのでしょうか・・・
ムチムチとした身の歯ごたえに、白身魚らしいまったくクセのない脂がしみ出してくる感覚は、ほかのお魚ではなかなか味わえません。あぶられた皮のちょっとした焦げ感がまたいい味を出しています。
〆は豪快なネギトロ巻き!
手巻きネギトロ(730円)は、このように自分で巻くことができます。
盛りっとネギトロが鎮座しています。好きなだけネギトロを盛れちゃう喜びがこの値段で味わえるなんて...!
好きなだけネギトロを載せたら...
具のはみ出すネギトロ巻きの出来上がり!
自分で巻くから、音が鳴るくらいに海苔がパリッパリです。ネギトロはねっとりとして、マグロ独特の脂が甘く香り高く、天にも昇るような心地。
もちろん1つ作って終わりの量じゃありません。このクオリティのネギトロ巻きが730円でホントにいいの!?と叫び出したいほどの盛りと味でした。
「魚蔵居」へのアクセス
渋谷マークシティの出口すぐそば、駅から5分圏内のビル2階に「魚蔵居」はあります。入口が小さくてびっくりしますが、店内はいかにも年季が入った和食屋さん、といった感じ。
それもそのはず、こちらのお店ができたのは昭和56年。
今年で開業36年、途中で現在の店名に変えてからは20年ほどだというのだから、渋谷では立派な老舗と言えます。
気さくなご主人の松本さん。シメサバ、漁師漬けなどもこちらのご主人の作った味です。実直で素材の味を殺さない味つけは、板場に立つご主人の姿を見れば、「ああ、あの人が作ったんだなあ」と納得すること間違いなし。
ここ渋谷の土地で、こんなにお手頃な価格で鮮度のいい旬の魚に出会えるお店がほかに見つかるでしょうか。駅から近いので、いつでもふらっと立ち寄ることができるのも魅力です。
このような神店に出会えたのはあのよいどれおじさんたちのおかげ...もしかすると天使の化身だったのかもしれません。
お酒と言えば、ご主人みずからセレクトしたお魚に合う日本酒も充実しているので、日本酒とのマリアージュを楽しんでみてはいかがでしょう。
「魚蔵居」は、腕のいいご主人が魚好きの舌を確実に満足させるお魚を、最高のコスパで提供するお店でした。渋谷でお店選びに迷ったら、ぜひ一度訪れてみてください。
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
著者・SPECIAL THANKS
ジョー
株式会社フードクリエイティブファクトリーの所属ライター。
高校1年間を単身アメリカで過ごしたことで、日本の食文化を大切にしたいと思うようになる。大学時代に出版社より小説を執筆、出版。ライティング業で学費の一部を稼ぐ。現在は料理研究家への道を邁進中。
(編集:河瀬璃菜/フードクリエイティブファクトリー http://foodcreativefactory.com/)