池江璃花子、女子史上初5冠!「実感ないけどホッとしている」
◆競泳 世界選手権代表選考日本選手権最終日(16日、名古屋市ガイシプラザ)
世界選手権(7月、ハンガリー・ブダペスト)代表選考会を兼ねて行われ、池江璃花子(16)=ルネサンス亀戸=が100メートルバタフライを57秒39、50メートル自由形を24秒57でともに2連覇し、女子で史上初の5冠を達成。5種目全てで日本水連の選考基準を満たし、代表に決定した。
最後のレースを終えた池江は大きく息を吐き「終わったぁ」と笑った。4日間で5種目。全てを振り絞った。最後はリオ五輪で5位だった100メートルバタフライ。スタートと同時に記録を狙った。腕をかき回したが、自身の持つ日本記録(56秒86)には届かなかった。「記録は良くなかった」ものの、男子の萩野が13年大会に達成した最多の5冠に女子で初めて並んだ。「実感がないけど、(5冠できて)ホッとしている」と胸をなで下ろした。
レースの前に「代表に入りたい!」と口にするライバルたちの言葉を聞き「派遣(記録)を切れなかったらどうしよう。怖い」と重圧に襲われた。自力では切り替えられないのが、等身大の16歳。中1から指導を受ける村上二美也コーチ(57)に「絶対、お前は大丈夫」と励まされ、自信を取り戻した。
卓球女子で同学年の平野美宇が、15日のアジア選手権(中国・無錫)で中国選手を破って優勝。「競泳なら米国に勝つようなもの。尊敬する」と活躍を刺激にした。以前から交流があり、15日に連絡を取り合った。「3冠おめでとう。最後頑張って」とメッセージが届き、疲れが吹き飛んだ。
昨年の日本選手権は「五輪に行くこと」が目標だったが、今年は違う。「世界水泳でメダルを狙う気持ちでレースも臨みたい」。リオ五輪、100メートルバタフライで決勝に進み「東京五輪のためにも今年は絶対(世界で)メダルを取りたい」と目標が明確になった。
年末年始にメキシコで初めて経験した高地合宿は、多い日で1日1万メートルを泳ぎ込み、3月のフランス遠征ではスプリントを強化。200メートル自由形でリオ五輪3冠のK・ホッスー(ハンガリー)に勝った。「もっと泳いでいたい」。成果を実感でき、つらかった練習が楽しくなった。
5種目全てで世界選手権の代表に内定した。自身が持つ日本記録更新はできなかったが、「タフなレースをこなすことができた」と手応えを得た。リオ五輪400メートル個人メドレー金メダルの萩野が「他の種目も出れば、もっと勝てる」と認める実力をつけた。課題は体力強化。「(世界選手権は)1本1本記録を狙って、特に100メートルバタフライはメダルも目指す」。リオから約1年。世界の強豪を相手に、成長を証明する。(小林 玲花)