『英会話イメージトレース体得法』という本の中で、「あぁ、そういうことか」と感心させられた一文があります。それは、「(英語は)発信源から言い始める」。
例えば、『英会話イメージトレース体得法』(以下、本書)の例文に以下のようなものがあります(日本語から英語への変換)。
太郎は来週のキャンプに備えてカレーの作り方を恵子に教わっています。
いかにも日本語的な一文です。
↓以下の記事で書いたとおり、まさに太郎目線の「ドライバーズビュー」です。
» 英語を話せるようになるための第一歩は、日本語と英語の「モノの見方」の違いを知ること
本書では、日本語は「ドライバーズビュー」であり、英語は「バードビュー」であると主張されており、イラストで分かりやすく提示されているのですが、この説明(およびイラスト)を目にしたとき、「うわ、そういうことか!」と激しく腑に落ちました。
言われてみれば当然のことなのですが、「だから日本語は主語が省略されるのか!」と、実に納得のいく指摘だったからです。
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この発想でいくと、先ほどの例文の英訳は「Taro is taught…」という風になりがちです(本書でも指摘されています)。太郎目線だからです。
いったん「バードビュー」に切り替えたうえで考える必要があるのです。
バードビューに切り替えると?
結論から言うと、以下のようになります(赤字)。
太郎は来週のキャンプに備えてカレーの作り方を恵子に教わっています。
Keiko is showing Taro how to make curry.
日本語の例文だけを見ると、とにかく「太郎」を主語にしたくなります。
自動的にそのように考えてしまう「ドライバーズビュー」をオフにして(ちょうど VRゴーグルを取り外すかのように)、そのまま上空に垂直に上昇し、「バードビュー」に切り替えたうえで改めて“現場”を眺めるわけです。
私たちは誰かの視点で物事を見ることに慣れてしまっています。特に主人公が明確なストーリーだと、その傾向は顕著になります。これが Taro is taught… のようなネイティブ的には不自然な英語をつくってしまう原因の1つだったのです。
対策は発信源から言い始めることです。日本語で受け身になっている文章の場合は、向かってくる行為の起点となっている人やモノが発信源になるので、そこから言い始めることを意識してください。
キーワードは「発信源」です。「バードビュー」で眺めたときに、何が言動の発信源になっているかを見つけ出します。「日本語ゴーグル」を装着したままでは見つけ出せないのです。
海外ドラマを観ていてハッとした
先日、ある海外ドラマを観ていて、このことに気づいてハッとしました。
以下のような会話があった(字幕が表示された)のですが、実際の英語のセリフはどうなっていたか?
「素敵なドレスだね」
「そうでしょ」
それは以下でした。
I like your dress.
I know.
日本語だけを見たら「Your dress is charming.」「Thank you.」などと訳してしまいそうです。
でも、実際の英語のセリフは日本語字幕には存在しない「I(私)」が登場しています。
「素敵なドレスだ」という言動の発信源は、当然ながらこのセリフを発している人であり、必然的に「I(私)」となります。
一方、これを受けて「そうでしょ」と発しているのもまた人なので、やはり「I(私)」が現れるわけです。
発信源が見つからない場合は?
発信源が見つからない場合も当然あります。
これについては本書に面白い例文がありました。
臭い!
先に正解を示すと以下の通り。
lt stinks.
「臭い」には、特に発信源が見当たりません。「臭さを感じている主体」と解釈すれば「I feel bad smell.」と言えるかもしれませんが、「ねぇ、ちょっと臭わない?」などとそばにいる人に同意を求めるような場合は、発信源が分からなくなります。
ちなみに stinks は「悪臭を放つ」という意味です。
もし原因が分かれば、「そのごみ箱は臭う」のように発信源を明確にできますが、原因が分からなければ発信源が特定できず「なんか臭いぞ」となり、その場合は「It」で代用するというわけです。
日本語は静的、英語は動的
このあたりについて、本書に以下のような解説があり、非常に腑に落ちました。
遠藤 日本語は静的な表現がよく使われて、英語は動的な表現がよく使われると言えます。
今井 急に難しくなりましたね。もう一度お願いします。
遠藤 「臭っ/It stinks.」だと、日本語の「臭い」というあまり動きが感じられない表現に対して、英語ではstink(悪臭を放つ)という動きのある表現が使われています。こういうことが一般的にも言えるということです。(中略)
日本語には話し手視点が前提にあるので静的な表現でも、ニオイが漂ってくるようなニュアンスを表現できます。英語は誰かの視界を前提としていないので、「悪臭を放つ」のような動的な表現が必然的に増えるのです。
このことは英会話で大きな問題として出てきます。なぜなら、英語を話すときにも日本語的な感覚で静的な表現を使いがちになるからです。
日本語は、「運転手の視点」で動かずにいるがゆえに「静的」であり、一方、英語は、「鳥の視点」で眺めているがゆえに「動的」(動きが浮かび上がってくる)と整理できそうですね。
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