4月10日付けでNHKに提出した「所見とご提案」全文です。
NHKにお持ちしたのですが、受け取っていただけなかったので、郵送しました。
新会長の上田良一様やNコン関係者の方々が、しっかり皆さんのご意見を
ご覧になり、良識あるご判断をいただけることを、心より祈りつつ公開いたします。
平成29年4月10日
NHK会長 上田 良一 様
Nコンチーフプロデューサー 井川 精一 様
Nコン関係者 ご一同様
指揮者 田久保裕一
NHK 全国学校音楽コンクールに対する所見とご提案
前略
3 月 11 日にNHK の放送によって、平成29 年度の全国学校音楽コンクールの課題曲が発表になりました。中学校の課題曲を聴いて愕然としました。秋元康氏作詞「願いごとの持ち腐れ」です。
近年、全国学校音楽コンクール(以下 N コン)の中学校課題曲がポップス化されています。9年前のアンジェラ・アキさんの「手紙」が大ヒットしてNHKの皆様は気を良くされたのでしょうか。続く8年間、ずっとポップス路線を続けています。そして紅白歌合戦に中学生を出場させ、ミュージシャンとの共演をすることが目玉にさえなっています。
これは大衆迎合としか思えません。また視聴率稼ぎなのでしょうか。NHK は受信料によって運営されているので、視聴率に左右されるのではなく、真に音楽教育に貢献する事業をしていただきたいものです。
確かに J-POP は若者ウケするかもしれません。しかしこれまで多くの中学生が取り組み、大切に育んできた合唱曲の中において、ポップスは異質なものですし、発声も違うはずです。ミュージシャン自身が歌うことについては否定しませんが、合唱にアレンジして演奏することにより、どのような教育的価値を見出せるのでしょうか。
遠足の時にバスの中で歌う曲ではないのです。全国の中学生が半年間かけて、毎日必死に練習して、多くの人々に感動を与えようと取り組んでいる活動の中で、ポップスの課題曲は意味のないことと感じます。日本語のイントネーションも不適切ですし、正しい歌い方ができない曲が多すぎます。
ポップスの全てが悪いというわけでなく、親しみのある曲を楽しく歌うという観点では、存在の意義はあると思います。ただそれが課題曲にふさわしい作品かというところに問題があります。現状ではアーティストに丸投げで、しかもアーティストの宣伝を NHK が請け負っているようにさえ映るのですが、いかがでしょうか。
コンクールの課題曲条件として、詩に説得力があること、メロディが魅力的なこと、ハーモニー感を養いポリフォニックな部分にも配慮があること、など挙げられると思いますが、今回の「持ち腐れ」には、その全ての要素に、客観的に考察してもほとんど魅力を感じません。
全国の中学校の合唱部顧問、合唱指導者は、この曲のどこに価値と魅力を見出して、生徒たちに与えていけば良いのか途方に暮れているのが現実です。私は仕事柄、講習会等で全国の先生との交流がありますが、先生方から近年こうした不満を多数聞きます。しかしその不満をどこにぶつけたらよいのか、術を知らないのが現状なのです。
また AKB48 の模範演奏は残念ながら模範になっていません。これは一聴すればおわかりになると思います。AKB48 ではなく、然るべき団体に演奏をし直し、N コンのホームページにアップしていただきたいと思っていたところ、3月22日になって NHK 東京放送児童合唱団による演奏が急遽ホームページにアップされました。きっとNコンサイドに多数のクレームが寄せられたのでしょう。
そこで、N コンが真の学校教育に貢献する事業に戻ることを願いつつ、今後に向けていくつかのご提案をさせていただきたいと思います。
1 平成 30 年度よりポップス路線をから、元の本格的な合唱曲路線に戻してほしい。もしポップス路線を継続するのであるならば、生徒の心的発達を鑑み、高校の部に移行し新曲と既出曲(過去の課題曲)の選択制にしてほしい。
2 NHK がリードして教育者、有識者らによる諮問機関をつくっていただきたい。
3 Nコン本選中学の部においてAKB48の出場を自粛してほしい(AKBファンが殺到する恐れがあるため)
ここに全国の先生方、保護者の皆さん、音楽家の皆さん、一般の皆さんからいただいた意見をまとめました。お名前は伏せさせていただきます。職業別に仕分けしてありますので、ぜひ皆さんの率直な声をお聞きいただき、平成 30 年度からの選曲、作詞・作曲者の選定の参考にしていただきたいと思います。
貴殿の良識あるご判断に期待いたします。 |
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