北朝鮮 1年半ぶりの軍事パレード 新型ICBM登場か
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北朝鮮は、キム・イルソン(金日成)主席の生誕105年の15日、首都ピョンヤンで、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が出席して、1年半ぶりの軍事パレードを行いました。韓国メディアは、新型のICBM=大陸間弾道ミサイルが登場したとして、アメリカの軍事的な圧力に屈しない姿勢を示す狙いがあったと分析しています。
北朝鮮は15日、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の祖父、キム・イルソン主席の生誕105年を迎えました。これに合わせて、ピョンヤン中心部の広場では、キム委員長が出席して1年半ぶりの軍事パレードが行われました。
陸海空3軍の兵士たちが隊列を組んで行進し、戦車や装甲車などのあとを移動式の発射台に搭載されたさまざまな種類の弾道ミサイルが続きました。この中には、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルや、SLBMを地上配備型に改良した新しい中距離弾道ミサイル「北極星2型」が初めて登場しました。
また、韓国の公共放送KBSなどは、片側に7つの車輪がある大型のトレーラーに搭載されたミサイルについて、これまでのICBM=大陸間弾道ミサイルよりも長く、新型のICBMだと推定されるという韓国軍関係者の見方を伝えました。そのうえで、北朝鮮が保有しているミサイルが総動員されたとして、アメリカの軍事的な圧力に屈しない姿勢を示す狙いがあったと分析しています。
軍事パレードに先立って演説したチェ・リョンヘ党副委員長は「アメリカが無謀な挑発をするのであれば、わが革命武力は即時、せん滅的な攻撃を加え、全面戦争には全面戦争で、核戦争には核攻撃戦で対応する」と述べ、北朝鮮に対し武力行使も排除しない姿勢を示しているトランプ政権を強くけん制しました。
一方、アメリカのペンス副大統領は、16日から3日間の日程で韓国を訪問し、大統領の職務を代行するファン・ギョアン(黄教安)首相などと会談を行って、米韓同盟の重要性を確認するとともに、北朝鮮への対応について意見を交わすことにしています。
陸海空3軍の兵士たちが隊列を組んで行進し、戦車や装甲車などのあとを移動式の発射台に搭載されたさまざまな種類の弾道ミサイルが続きました。この中には、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルや、SLBMを地上配備型に改良した新しい中距離弾道ミサイル「北極星2型」が初めて登場しました。
また、韓国の公共放送KBSなどは、片側に7つの車輪がある大型のトレーラーに搭載されたミサイルについて、これまでのICBM=大陸間弾道ミサイルよりも長く、新型のICBMだと推定されるという韓国軍関係者の見方を伝えました。そのうえで、北朝鮮が保有しているミサイルが総動員されたとして、アメリカの軍事的な圧力に屈しない姿勢を示す狙いがあったと分析しています。
軍事パレードに先立って演説したチェ・リョンヘ党副委員長は「アメリカが無謀な挑発をするのであれば、わが革命武力は即時、せん滅的な攻撃を加え、全面戦争には全面戦争で、核戦争には核攻撃戦で対応する」と述べ、北朝鮮に対し武力行使も排除しない姿勢を示しているトランプ政権を強くけん制しました。
一方、アメリカのペンス副大統領は、16日から3日間の日程で韓国を訪問し、大統領の職務を代行するファン・ギョアン(黄教安)首相などと会談を行って、米韓同盟の重要性を確認するとともに、北朝鮮への対応について意見を交わすことにしています。
北朝鮮のICBM開発
北朝鮮は、射程がアメリカ本土に達する1万キロと見られるICBM=大陸間弾道ミサイルの開発を進めてきました。
去年2月に北西部トンチャンリ(東倉里)のソヘ(西海)衛星発射場から発射された、事実上の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の改良型は、固定式の発射台を使用するタイプで、液体燃料が使われています。これに対して、北朝鮮が開発を進めているICBMは、発射台となる車両を使う移動式で、固体燃料の使用を目指しています。注入に時間がかかる液体燃料と異なり、固体燃料は扱いが容易で、すぐに発射できるため、発射の兆候をつかむのが難しいからだと見られます。
北朝鮮によるICBMの発射が確認されたことはありませんが、首都ピョンヤンで行われた軍事パレードでは、片側8輪の大型の軍用車両に載せられたICBMが過去3回、公開されています。
このうち、2012年4月と2013年7月に登場したICBMは「KN08」と呼ばれ、弾頭がとがっています。さらに、おととし10月に登場した弾頭が丸みを帯びたICBMはKN08の改良型と見られていて、韓国メディアが、「アメリカ軍と韓国軍が暫定的に『KN14』と名付けた」と伝えていました。
北朝鮮は、去年4月にICBMのエンジンの地上燃焼実験に成功したと発表したほか、9月には事実上の長距離弾道ミサイルに使うエンジンの燃焼実験を行っています。
そして、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は、ことし元日の演説で、ICBMの発射実験の準備が「最終段階に入った」と述べ、発射実験を強行する可能性を示唆したのに続き、先月19日には、新型の大出力エンジンの燃焼実験に立ち会った際、「今回の成功がどれだけ画期的な意義を持つのか、世界はまもなく目にするだろう」と述べたと伝えられ、関係国が警戒を強めていました。
去年2月に北西部トンチャンリ(東倉里)のソヘ(西海)衛星発射場から発射された、事実上の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の改良型は、固定式の発射台を使用するタイプで、液体燃料が使われています。これに対して、北朝鮮が開発を進めているICBMは、発射台となる車両を使う移動式で、固体燃料の使用を目指しています。注入に時間がかかる液体燃料と異なり、固体燃料は扱いが容易で、すぐに発射できるため、発射の兆候をつかむのが難しいからだと見られます。
北朝鮮によるICBMの発射が確認されたことはありませんが、首都ピョンヤンで行われた軍事パレードでは、片側8輪の大型の軍用車両に載せられたICBMが過去3回、公開されています。
このうち、2012年4月と2013年7月に登場したICBMは「KN08」と呼ばれ、弾頭がとがっています。さらに、おととし10月に登場した弾頭が丸みを帯びたICBMはKN08の改良型と見られていて、韓国メディアが、「アメリカ軍と韓国軍が暫定的に『KN14』と名付けた」と伝えていました。
北朝鮮は、去年4月にICBMのエンジンの地上燃焼実験に成功したと発表したほか、9月には事実上の長距離弾道ミサイルに使うエンジンの燃焼実験を行っています。
そして、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は、ことし元日の演説で、ICBMの発射実験の準備が「最終段階に入った」と述べ、発射実験を強行する可能性を示唆したのに続き、先月19日には、新型の大出力エンジンの燃焼実験に立ち会った際、「今回の成功がどれだけ画期的な意義を持つのか、世界はまもなく目にするだろう」と述べたと伝えられ、関係国が警戒を強めていました。
秘密警察トップの政治的健在を確認
15日、ピョンヤンで行われた軍事パレードでは、先に解任されたという見方が出ていた北朝鮮の秘密警察のトップ、キム・ウォンホン国家保衛相が、ほかの指導部のメンバーとともに3か月ぶりに公の場に姿を見せ、政治的に健在であることが確認されました。
北朝鮮の秘密警察のトップ、キム・ウォンホン国家保衛相をめぐっては、ことしの元日を最後に動静が伝えられなくなり、韓国統一省は、「越権行為や汚職などを理由にことし1月に解任され、軍の階級も大将から少将に降格となった」という見方を示していました。
しかし、15日にピョンヤン中心部のキム・イルソン広場で行われた軍事パレードでは、キム国家保衛相が、ほかの指導部のメンバーとともに広場を見下ろすバルコニーに並びました。
キム国家保衛相が公の場に姿を見せたのは3か月ぶりで、軍服の肩に着いている階級章も、大将を示す「星4つ」のままで降格されておらず、政治的に健在であることが確認されました。
北朝鮮の秘密警察のトップ、キム・ウォンホン国家保衛相をめぐっては、ことしの元日を最後に動静が伝えられなくなり、韓国統一省は、「越権行為や汚職などを理由にことし1月に解任され、軍の階級も大将から少将に降格となった」という見方を示していました。
しかし、15日にピョンヤン中心部のキム・イルソン広場で行われた軍事パレードでは、キム国家保衛相が、ほかの指導部のメンバーとともに広場を見下ろすバルコニーに並びました。
キム国家保衛相が公の場に姿を見せたのは3か月ぶりで、軍服の肩に着いている階級章も、大将を示す「星4つ」のままで降格されておらず、政治的に健在であることが確認されました。
「米けん制を強く意識したラインナップ」
今回、北朝鮮の軍事パレードで披露された新たな兵器について、軍事情勢に詳しい未来工学研究所の小泉悠客員研究員はNHKのインタビューに対し、「全体として今回、射程の短いミサイルは出していない。韓国、日本を狙うような短い射程のミサイルは出さずに、グアム、ハワイ、アメリカ本土ぐらいまで届くようなミサイルを出してきている。まさに、アメリカから軍事力行使の脅しをかけられている中で、アメリカをけん制することを強く意識したラインナップといえる」と指摘しました。
そのうえで、「まだ名前のわかっていない大きなミサイルは、サイズから恐らく大陸間弾道ミサイル=ICBMと見られる。移動式であるため捕捉も大変困難で、今後、発射実験を何回か繰り返し、運用能力があるようなものになると、アメリカ本土を攻撃する能力を得ることになる。また、外形から固体燃料式ではないかと推察され、発射にかかる準備時間も大幅に短くなる。もし、北朝鮮がアメリカを攻撃しようとした場合、それを発見して先に撃破する余地が非常に小さくなることは間違いない」と述べました。
そのうえで、「まだ名前のわかっていない大きなミサイルは、サイズから恐らく大陸間弾道ミサイル=ICBMと見られる。移動式であるため捕捉も大変困難で、今後、発射実験を何回か繰り返し、運用能力があるようなものになると、アメリカ本土を攻撃する能力を得ることになる。また、外形から固体燃料式ではないかと推察され、発射にかかる準備時間も大幅に短くなる。もし、北朝鮮がアメリカを攻撃しようとした場合、それを発見して先に撃破する余地が非常に小さくなることは間違いない」と述べました。