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勇者を好きになっちゃダメですか? 作者:プリン

過去 勇者との旅

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ピンク色の女神

北東の祠にたどり着いて唖然とした。
歩くだけで体力を奪うと有名な毒池の中に祠がある。
祠の横に、雑貨屋が立っていた。見ると薬草が3倍の値段で売っていた。
「めったに売れないんですけどね~売れるときは売れるんですよ」と店主が語る。
そうだろうよ。やむを得ず薬草を購入する。
「毎度アリ」という店主の声を聞きながら毒池に入る。
一歩歩く度に体力を奪われる。
十歩歩いた所で「ローザヤバイ。体力やばい」とデュエルに頼まれて回復魔法をかけた。
そんなこんなで地味に回復魔法を使い、祠にたどり着いた時にはボロボロだった。

祠にたどり着くと1人のお坊さんが立っていた。
太陽の石に祈りを捧げてほしいと頼むと、石を受け取り祠の丸い枠にはめ込んだ。
お坊さんが祈りを唱えると、周囲を優しいピンク色の空気が取り巻いて石に吸収された様に見えた。
「終わりましたよ」とお坊さんが太陽の石を返してくれた。
黄色かったはずの太陽の石がピンク色に染まっていた。

「さてどうしましょうか。ここで一晩の宿を取りますか?一晩60ゴールドです」
お坊さんがニッコリ笑って聞いた。

町の宿屋の5倍の金額である。体力、私に限っては魔力も酷使している。
商魂たくましいと一瞬思ったけど、断る選択肢は無い。
なぜかお風呂もあって、料理も美味しくて、温かい布団で寝て熟睡出来た。

夢の中に美しい女神が出て来た。
「あら、良い魔力を持っているわね。良い事教えてあげる」
女神が「トラマナ」と唱えると彼女の周りを優しいピンク色の靄が包んだ。
ピンク色の靄に包まれた女神は、楽しそうに毒の池の上で踊っていた。

次の日、祠の外でトラマナと唱えると全員がピンクの靄で包まれた。
「女神に会われたようですね」とお坊さんが私を見てニッコリ笑った。
私達は毒の池を傷つかずに歩いた。
池の外の雑貨屋には「本日休業」の札が掛かっていた。

「ローザ、移動魔法を唱えろ。すぐにランバルトに戻るぞ」とルスランが言った。
移動魔法は一見便利なようであるが、実は不便である。一度行った事のある場所にしかいけないのだ。
なので、今のところ移動魔法で移動できるのはランバルト、コルド、メルクの3都市のみである。

私は移動魔法を唱えた。次の瞬間、私達は王都の懐かしい教会の前に立っていた。
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