すっかり忘れられているかもしれないけど、君ちゃんは身体(からだ)が弱かったんです。ここまで元気にやってこられてよかったね、って思います。人生には生きがいや張り合いが本当に必要で、それがいちばん人を元気にすることを、君ちゃんが証明してくれたような気がします。
キアリス20周年を迎えた頃には、髪が短くなって、パンツ姿が多くなったし、見た目にもガラッと変わって。おかげで晴れ晴れとして、5キロくらい軽くなった気持ちで収録に挑むことができました。そういえば、長らくスカートをはいてないですねぇ。
最近では、君ちゃんが“琴子さん化”してきたりして(笑)。それをどう演じようと考えた時に、かつての琴子さんをよく思い出していました。しょぼんと落ち込んでいたり、「健ちゃん、どうしてよ〜」となっていた、あのチャーミングなおばあちゃんに近づければいいなぁ、と。
孫の藍はもちろんかわいいし、お嫁さんというより娘みたいなさくらちゃんとも、つい距離を縮めたくなるんでしょうね。日頃、きゃしゃなさくらちゃんが藍を抱っこしているのを見ると、「大丈夫?交代するよ?」ってすぐ言いたくなっちゃう(笑)。琴子さんの気持ち、今となってはよく分かるんです。
健太郎が大きくなってからは、昭一さんとのエピソードはそう描かれていないですけど、みんなで食事するシーンで隣にいるときは、やっぱり安心しますね。
そういえば、昔は私がかいがいしくお皿に料理を取り分けていたんですけど、レリビィの食事会のシーンで「君枝」と呼ばれて振り向いたら、逆に乾杯前にグラスを手渡し飲み物を注いでくれて、「あ、ありがとう」って。夫はすっかりジェントルマンになってくれました(笑)。
思い出すのは、「ベビーショップあさや」の頃、健太郎を不慣れに抱っこしながら、私の体調を心配して見に来てくれていた昭一さん。あのころからずっとサポートし続けてくれたことに感謝です。
気づけば“おまけ”のほうが長くなった君ちゃんの人生を、今はすごく謳歌(おうか)させてもらっています。きっとこれから、定年を迎えた昭一さんと、恋人時代にできなかったことを経験して、遅れてきた青春を楽しむんだろうなと思います。
『べっぴんさん』という物語は、いろんな人の長い長い人生の切り抜きであって、だからこのドラマが終わった先の人生までつい感じてしまうんです。きっと、年を重ねるほどにスピードを増して、たくさんのチャレンジをしていくであろう君ちゃんの人生を、ほほえましく想像しています。