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平成22年度 第1回
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in松江
(平成22年4月10日開催)

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成22年度第1回は、松江放送局で実施し、「放送」「経営など全般」の2つのテーマで、公募による41人の視聴者の皆さまからご意見を伺った。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in松江

 

<会 合 日 時>

平成22年4月10日(土) 午後2時から午後4時10分まで

 

<出  席  者>

〔経営委員〕

小 丸 成 洋(委員長)

井 原 理 代(委員)

勝 又 英 子(委員)

〔執 行 部〕

大 西 典 良(理事)

塚 田 祐 之(理事)

矢 野   朗(松江放送局長)

〔視聴者〕

公募による視聴者41人

〔司 会〕

永 井 伸 一 アナウンサー

 

< 会    場 >

 松江放送局 第1スタジオ

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの放送について

 (2) NHKの経営など全般について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、制作局の谷口卓敬チーフ・プロデューサーによる「『ゲゲゲの女房』制作の舞台裏」と題した講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、はがき・ホームページを通じて計68人の参加申し込みがあった。会場の収容力の範囲内であることや、できるだけ多くの視聴者の方々にご来場いただきたいということから全員に案内を送付した。その際、参加者の意見の把握と参加意思の確認のために事前アンケート調査を実施したところ、55人から回答・返送があり、42人が参加すると答えていた。当日は、41人が来場・参加した。

  • 会合は、「放送」と「経営など全般」の2つのテーマで進行した。参加者からは、朝の連続ドラマ、ニュース番組、地域放送、受信料、地上デジタル化などについて幅広く示唆に富む意見・提言が多数寄せられた。最後に、小丸委員長が「視聴者の皆さまに今まで以上に親しみをもたれ、信頼される公共放送NHKとして使命を果たしていけるよう執行部と力をあわせ最善の努力をいたします。」と述べて会合を締めくくった。

  • 全員が発言する時間がなかったため、当日も意向収集のアンケート調査を行った。当日参加者のうち、35人から回答があり、回答者は、30歳代1人、40歳代5人、50歳代5人、60歳代9人、70歳以上14人、不明1人であった。

  • 参加者の満足度については、「たいへん満足」あるいは「満足」と答えた人が73%、「ふつう」と答えた人が24%、「不満」と答えた人が3%であった。

 

 

< 開 催 内 容 >

(小丸委員長)
 ◆協会の基本方針・重要事項を説明

  • 経営委員会の役割は、NHKの経営方針を議決することと、NHK執行部の職務の執行を監督することです。また、経営委員の中から監査委員が任命され、監査委員会は経営委員会を含む役員の職務執行を監査します。このように、平成20年4月1日の放送法の改正により、経営委員会の機能・権限が一層明確化されました。
  • その権限を正しく行使するために、視聴者の皆さまのご意見を直接伺う「意見聴取」を行うことも放送法に定められました。視聴者の皆さまのご意見を伺って、経営委員会の運営に生かしていきたいと思います。
  • NHKでは、平成20年10月に平成21年度から23年度の3か年経営計画を公表しました。経営計画では、「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK」をスローガンとして、「NHKと視聴者のみなさまをつなぐ2つの経営目標」を立てました。1つ目は、NHKへの接触者率を23年度末までに80%にすることです。2つ目は、受信料の支払率を23年度末までに75%、25年度末までに78%まで高めることです。

    経営目標の実現のために具体的な9つの経営方針を立てました。
    • 方針1 視聴者のみなさまの信頼を高めるため組織風土改革に全力をあげます
    • 方針2 日本の課題、地球規模の課題に真正面から向きあいます
    • 方針3 放送・通信融合時代の新サービスで公共放送の役割を果たします
    • 方針4 地域を元気にするための拠点となります
    • 方針5 日本を、そしてアジアを、世界に伝えます
    • 方針6 円滑な完全デジタル化に向けて重点的に取り組みます
    • 方針7 構造改革を推し進め効率的な体制で受信料の価値をより大きくします
    • 方針8 受信料を公平に負担していただくための取り組みを強化します
    • 方針9 環境経営に着実に取り組みます

これら2つの経営目標、9つの経営方針を着実に遂行することで、平成24年度から受信料収入の10%を視聴者の皆さまに還元する計画です。
NHKでは、3か年経営計画をもとに各年度の事業計画を立て、実行しています。経営委員会は、これらの計画が着実に実行されているか、その進ちょく状況を常に検証し、執行部を監督しています。

  • 平成22年度の収支予算・事業計画について
    • 平成22年度事業収入6,786億円のうち受信料収入は6,550億円で、21年度予算に対し、60億円増を見込んでいます。事業支出は、6,847億円です。地上テレビ放送の完全デジタル化のための追加経費などの影響により、収入から支出を差し引いた事業収支差金は61億円不足の赤字予算となります。赤字分については、これまでの繰越金の一部で補てんします。地上テレビ放送の完全デジタル化に向けた設備の整備や放送会館等の整備のための建設費は790億円です。

    • 22年度末の受信料支払率は、73.4%を目指します。
    • 来年2011年に迫った地上テレビ放送の完全デジタル化に向けた取り組みを継続して行い、地域、防災、福祉などの問題について、視聴者のみなさまとともに考え、ともに作る番組やイベントに取り組みます。
    • テレビを軸としながらも、インターネットや携帯端末などへも公共放送としての確かな情報や魅力的なコンテンツをお届けします。一昨年12月にスタートしたNHKオンデマンドについても一層の充実を図ります。
    • 国際放送による情報発信を強化し、受信環境を整備して、22年度末までに世界の1億3000万世帯で受信可能となるよう取り組みを進めます。
    • 視聴者のみなさまの声を反映し、経営改革にも取り組んでいきます。
    • NHKの事業支出のうち「国内放送番組の制作と送出」に事業支出全体の71.3%を充てています。
  • 22年度は3か年経営計画の2年目として、計画を達成するための取り組みを確実に進める大変重要な年です。経営委員会としても執行部とともにそれぞれの役割を全力で果たしていきたいと考えています。

 

 

《視聴者の皆さまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:NHKの放送について

 

【会場参加者】
 「ニュース」と「ニュース解説」の違いについて疑問に思っていることがあります。それはニュースを聞いていると時々「これはこういうことを狙ったものだと思われます」という言い方をすることがあります。この言い方では、ニュースではなく、解説ではないかと私は理解しています。
 それから、アナウンサーの話し方が少し速い気がします。特にバラエティー番組などでは非常に早口になります。早口だと語尾がはっきりしません。今は高齢化社会で高齢になると耳が遠くなる人も多くいますので、ニュースも含め、もう少しゆっくり話してほしいです。
 それから、天気予報で表示される日本地図が正しくありません。正しい大きさで表示することが大事ではないでしょうか。また、全国の天気予報のとき日本海側は新潟しか表示されません。画面のスペースの問題もあるかもしれませんが、新潟のほかに金沢、松江ぐらいは表示してほしいです。
 それから、NHKには非常に優秀なアナウンサーがたくさんいるにもかかわらず、今は外部の人を使いすぎる気がします。番組にふさわしいNHKのアナウンサーを使っていただきたいと思います。
 最後に、『プロジェクトX』で取り上げられた荘川桜を現地まで見に行きました。番組を通して桜の大切さを教わりました。そういうところにもNHKの果たす役割があるとつくづく思っています。

【会場参加者】
 まず、この会についてですが、NHKもようやく視聴者の側に歩み寄ってきたなという感じがします。以前もこのような会合があって、番組でも放送されていましたが、私の印象ではNHKを褒めたたえる人ばかりを集めているように見えましたし、年齢層も高い人ばかりでした。以前からNHKの放送で周知し、幅広い年齢層の人が参加できるこのような会合を開いたらどうかと考えておりましたので、このような会合を全国でどんどん開催してほしいです。
 それから、NHKは非常に非民主的な体質だと思います。例えば、原水爆禁止運動を行っている団体として「原水協」と「原水禁」の2つがあります。「原水協」が先に発足した団体なのにニュースでは必ず「原水禁」を先に取り上げます。そのほか、「商工会議所」と「商工会」があり、「商工会」のイベントを番組で取り上げてほしいとお願いしましたが、受け付けてもらえませんでした。ほかには慰安婦問題の番組についても政府からの中傷があって番組内容が変えられたというようなことがありました。

(塚田理事)
 ニュースと解説の違いについてご意見がありましたが、ニュースにもいろいろあります。例えば、ニュースの内容について、「こういう意見やこういう意見があります」というように、せき止めてわかりやすく伝える場合と、短く、起きた事柄だけを伝える場合があります。「何々がありました」だけでは、なかなかニュースの意味が伝わらない場合は、いろいろと取材を重ねた上で、「こういう見方やこういう意見があります」という解説をつけ加えてお伝えすることがあります。説明を加えて事柄をより深くご理解いただきたい、ニュースの内容をできるだけわかりやすくお伝えしたい、というのが真意です。

(永井アナウンサー)
 アナウンサーの話し方については、極力しっかり、わかりやすく伝えるよう努めています。若いアナウンサーが大型番組を担当する機会が増えていますので、半年、もしくは1年に1回、自分たちの話し方をチェックする場を設けるなど、研修も充実させています。私も若いアナウンサーを指導する立場になりましたので、ご意見を踏まえて後輩を指導していきたいと思います。

(塚田理事)
 天気予報については、全国放送で主要都市を中心にお伝えするときと、例えば、松江放送局から島根県を中心に詳しい天気をお伝えするときがあります。特に全国放送の場合には、画面の制約から、日本列島をそのまま正しい形で表したり、多くの都市を映すのはなかなか難しいところがありますが、ご意見を踏まえながら、お伝えする情報と表記のしかたのバランスを考えていきたいと思います。

(小丸委員長)
 先ほど番組内容について、さまざまご指摘がありましたが、NHKは公共放送として、不偏不党、自主・自律を堅持することを第一にしています。私ども経営委員会もその点をきちんと踏まえて執行部を監督しています。

【会場参加者】
 災害や政治のニュースを放送するときに、その映像を撮影した時間を表示してほしいと思います。時間の表示がないといつの出来事なのかがわかりません。時間によって受け止め方が違ってきますので、画面の片隅に日にちや時間が表示されるとわかりやすいと思います。
 もう1点は、中継映像についてです。例えば、津波の中継はおそらく固定カメラで映しているからだと思いますが、非常に無機質な画面で状況がよくわかりません。もう少し工夫できないでしょうか。それから、予算委員会などの中継では、画面に質問者や回答者の顔ばかりが映されて、ほかの議員の表情やしぐさが見えません。全体の様子をもう少し映してもらえないでしょうか。

(塚田理事)
 災害のニュースでは、基本的に直近の映像を中心にお伝えしています。地震や災害に関連して過去の映像をお伝えするときは、画面の右上に何年何月という日時と撮影場所を表示したり、時期が特定できないものは「資料映像」と明示して、できるだけ誤解を招かないようにしています。
 それから、津波の中継画面が無機質だというご意見がありましたが、先日の大津波警報のときは、いつ、どのような災害が起こるかわかりませんでした。3メートルの津波という情報もありましたので、取材の安全も考え、固定カメラを中心に全国の最新情報をお伝えするようにしました。予算委員会などについては、審議の内容を中心にしながらも、いろいろな工夫を重ねていきたいと思います。

(大西理事)
 予算委員会などは、何も編集せず、審議の内容や問題点などを正しくお伝えすることを第一の目的としているということもご理解ください。

【会場参加者】
 最近、キャスター等に若い人が多く起用されていますが、視聴率を念頭に置きすぎているのではないか思います。視聴率はいい番組を作れば後からついてくるものであって、視聴率を狙って番組を作ったとすれば、それは単なる迎合でしかありません。視聴率を気にしすぎると、視聴率の低い番組は放送できなくなると思います。ですから、視聴率を意識せず、自分の主張をもとにした番組作りをしていただきたいと思います。

【会場参加者】
 選挙速報のとき、まだ選挙管理委員会が発表していないのに当選確実の情報が放送されたりします。早いことがいいことなのかわかりませんが疑問に思います。

【会場参加者】
 3点質問します。1点目は、数年前、私がNHKの番組モニターを担当していた頃、天気予報で画面に竹島が載っていなかったので、せめてローカル放送のときには表示してくださいというお願いをし、現在では表示されています。いろいろな意見はあるかもしれませんが、全国放送のときも、ぜひ載せていただきたいと思います。
 2点目は、我が国は今、政権が交代し、経済状況も大変厳しくなってきており、特に若い人たちが夢や希望を持てない時代のように思います。これからは若い人たちが日本を背負っていかなければいけません。そこで、海外で情熱を持って活躍している青年海外協力隊の人たちの姿などを放送で紹介してください。
 3点目は、朝ドラの件ですが、今まで8時15分から放送されていましたが、8時ちょうどに変わりました。私たち視聴者にとって、朝は大変せわしい時間ですが、時間を有効に使って8時15分に照準を合わせてドラマを楽しく見ていました。仮に視聴率が悪ければ、またもとに戻すようなことがあるのか教えてください。

(大西理事)
 視聴率については、まさにおっしゃるとおりで、皆さんに評価していただいて、後から結果として表されるものです。NHKがNHKらしい放送をすることが一番大事だと思います。これまでもその姿勢で取り組んできておりますし、今後もそのようにしていきます。なるべく多くの人に見ていただく、あるいは触れていただくために番組のお知らせをしたり、視聴者の皆さまが望む番組のマーケティング調査を行うことはありますが、視聴率を目指すよう現場に指示することはありません。NHKは皆さんの受信料で支えられているわけですから、NHKらしい放送を目指していきます。

(塚田理事)
 選挙報道についてですが、確かに「開票率0%でなぜ当選確実が出せるのか」というお尋ねはよくあります。当落の判定は、投票所での出口調査で有権者の投票動向を把握するとともに、開票所にNHKの職員やスタッフを派遣して開票状況の取材を行ったり、そのほか世論調査や日々の取材による情報などをもとに総合的に判断しています。選挙報道は正確でなければなりませんので、その点は心して臨んでいます。

(大西理事)
 若い人たちの活躍の報道については、NHKは一昨年2月から英語による24時間のテレビ国際放送をスタートし、日本の文化や経済、若者の活躍する姿を全世界に発信しています。また、経営計画の中では、全国53の放送局が地域のちからになるため、それぞれの地域が抱えているさまざまな問題について考え、解決の道を探る取り組みを始めており、その中で地域のために働く若者の姿を取り上げています。それも地域向けにお伝えするだけでなく、できるだけ全国向けに発信するようにしています。こうした取り組みを今後もさらに充実させていきます。
 朝の連続ドラマの放送時間については、朝の生活情報番組を充実させるため、一番見やすい時間、あるいは接触できる時間などを検討したうえで変更しました。『ゲゲゲの女房』もおかげさまで大変評判がよく、私もきっといいドラマになるのではないかと期待しています。ぜひ皆さんもご覧いただければと思います。

(井原委員)
 少しずつ観点は違いますが、皆さまからの一つひとつのご意見は、NHKらしい質の高い番組を作るようにとのご要望と受け止めています。NHKの番組には、現代社会の抱える課題や直面している問題について取り上げている番組が数多くあります。私はそれらの番組がどのように作られているのかを見せていただきましたが、まずテーマを決め、どのように正確に今の社会に切り込んでいくか、そして、どのように番組にしていくのかをいろいろな立場、分野の人がかんかんがくがく議論している姿を見て、大変心強く思いました。NHKでは、こうした日本と世界の課題にまさに正面から取り組もうとしているということをご理解いただければと思います。

(勝又委員)
 海外で活躍している人たちの情報をもっと放送してほしいというお話がありましたが、私も国際交流にずっと携わっている中で、アフリカや中東などいろいろなところで活躍している若い方、貢献されている方々にお会いすることがあります。その方々は地味な仕事であっても現地で非常に高く評価されています。その人たちの活躍ぶりが日本でも伝えられれば、日本の人たちも勇気づけられると思います。

【会場参加者】
 まず、定時番組はなるべく放送時間を変更しないようお願いします。変更する場合は、どの時間帯の、どのチャンネルに変わるのか、あらかじめ周知してください。
 それから、オリンピックや国会中継などで、衛星放送の経済関係の番組がないがしろにされている気がします。『東京マーケット情報』という番組では証券会社の方が非常に参考になる解説をしています。中には株価だけをずっと画面に流していることがありますが、それではもったいないので、声だけでもいいので解説を加えていただきたいと思います。
 それから、歌謡番組についてですが、昭和20年代から放送されていた番組に『ラジオ歌謡』という番組があります。ここでは非常にいい歌が紹介されていました。NHKの最近の歌謡番組は演歌が中心で、昔のいい歌がおざなりにされている気がします。『ラジオ歌謡』の復活を検討していただけませんでしょうか。

【会場参加者】
 NHKの使命の1つに正しい日本語を継承することがあると思います。例えば、「何々を言った(いった)」ということを「ゆった」と言うことがあります。辞書では「いう」となっています。アナウンサーでもそのような言い方がする人がいます。インタビューをする人はもっと勉強をして、正しい日本語を使っていただきたい。
 それから、放送を通じて心の時代を作ってほしいと思います。例えば、正月番組のインタビューで、子どもに「お年玉はいくらもらいましたか」と聞くことがあります。そうではなく、「おじいちゃん、おばあちゃんに何をしてあげましたか」と聞いてほしい。NHKだけはせめて、「ふるさとに帰ったら肩たたきをしてあげましょう」というようなインタビューをして、お金のことより心の時代を作ってほしいと思います。
 それから、インタビューをするときにアナウンサーが誘導尋問するような聞き方はやめてほしいです。

(永井アナウンサー)
 正しい日本語を継承するのは、NHKアナウンサーの大切な使命です。NHKアナウンサーは言葉に対して常に敏感であるよう教えられています。それは後輩にも伝えていかなければなりません。ふだんニュースを読むときも、アクセントや聞きなれない単語については専門辞書で調べます。日本語が少しずつ変わっていく中で、正しい日本語を伝えること、あるいは、変えてもいい部分を自分たちでしっかり判断して、正しい日本語で話していきたいと思います。
 それから、お金より心というのは、まさにそのとおりです。そして、相手の心を聞くのがインタビューです。ですから自分でも勉強もしなければいけません。相手の気持ちを誘導するようなインタビューは、本当のインタビューではないと思います。その点もしっかりと後輩に伝えていきたいと思いますし、私自身も勉強していきたいと思います。

(小丸委員長)
 オリンピックなどで定時番組の放送時間が変更になることについてご意見がありましたが、私も同じような感想を持ちました。先般のオリンピックで朝のニュース番組がなくなり困りました。時差の問題などからやむをえないことかもしれませんが、今後はそうした視聴者の意向も踏まえて編成に工夫をしてほしいという気持ちです。

(塚田理事)
 衛星放送についてですが、衛星第1はニュース情報とスポーツの両方を放送するチャンネルになっています。ですから、どうしても生の中継番組を優先せざるを得ないという状況があります。ただ、経済情報を知りたいというご要望もいただいております。これから先、デジタル化によって、データ放送を充実するなど、さらに工夫していきます。

(大西理事)
 衛星放送では、株価情報などをデータ放送でもお送りしています。それから、歌謡番組については、今、あまり民放では放送されていませんが、NHKでは、テレビだけではなくラジオを含め、演歌に偏らず幅広いジャンルの歌をお楽しみいただいていると思います。

【会場参加者】
 3点お願いがあります。1点目は、事件で被害にあわれた方が傷ついているときに、NHKの人がなぜこんなインタビューをするのだろうと気になることがあります。もう少し配慮してください。聞くにしても当たり前のことを聞くのではなく、もう少し工夫をしていただきたいと思います。
 2点目は、NHKはNHKらしさを保ってください。バラエティー番組などでは、あまりにも今はやりのタレントやお笑いの方を起用しすぎている感じがします。
 3点目は、NHKの目玉、『紅白歌合戦』についてです。これは、かなりマンネリ化していると思います。中には、たかが数分間の歌のために大きなセットを使うケースがあり、非常にもったいないと感じています。

(永井アナウンサー)
 インタビューのときの配慮や聞き方についてですが、おっしゃるとおりだと思います。ご指摘の点については、周知徹底していきたいと思います。

(大西理事)
 NHKは経営2目標の1つに接触者率を23年度末までに80%にすることを掲げています。60歳代以上の人には、ほぼ毎日NHKを見ていただいていますが、若い人たちにはあまり見ていただいていません。若い人たちにおもねるということではありませんが、やはり見ていただくための努力もしていかなければなりません。22年度も民放とは違う新しい手法を取り入れた新番組をスタートしています。これからもさまざまな工夫を凝らしていきたいと思います。
 それから、『紅白歌合戦』については、今日いただいたような「マンネリ化している」「もっと歌を聞かせるような番組にしたほうがいい」というご意見を受けて、3年前から「歌の力」をコンセプトとして、ショーではなく、歌をお聞かせるということで取り組んでいます。

【会場参加者】
 日本社会は少子高齢化が進んでいますが、高齢者が活発に活動しているところは、地域も生き生きしていると思います。島根県は全国一の高齢化率ですが、高齢でも活発に活動されている方もいます。そのことは、子どもや青年にもいい影響を与えていると思います。高齢者というと介護、痴呆症、医療費がかかるなどのイメージがあるかもしれませんが、ぜひ、高齢者の活発な地域活動を番組で取り上げ、地域へ向けてのみならず全国に放送していただきたいと思います。

(矢野局長)
 松江放送局では、65歳以上の方々の生き生きとした活動を紹介する『倶楽部R65』という番組をローカル放送でお届けしています。今、中国地方でも放送してほしいという声が上がっています。これからも新しい企画に取り組んでまいります。

(大西理事)
 私も『百歳バンザイ!』という番組を楽しみに見ています。地域でいろいろなコミュニティー活動に参加し、活躍されている方も多くなりました。この番組を見るたびに私も元気が出ます。これからもこのような番組を続けていきたいと思っています。

(井原委員)
 島根の高齢者の地域活動を全国に伝えてほしいというご意見を大切に受け止めたいと思います。NHKはまさに全国にネットワークを持っていますので、島根県の元気な高齢者のパワーを全国に発信したり、他の地域で活躍されている方をご紹介し、それをご覧いただくことによって、日本全体がお互いに元気になっていくのではないかと思います。

【会場参加者】
 放送での表現のしかたについてですが、何か過ちがあったとき、「それはまずいですよ」という言い方と、過ちはあったかもしれないが、後で「一生懸命誠意を見せて謝った」という言い方の2通りがあると思います。現象は1つですが、言い方によって、みんなの心が豊かになるような放送をしてほしいと思います。

【会場参加者】
 NHKが地域を元気にすることについてお願いがあります。先日、NHKから番組出演の依頼があって、東京でのロケに23人が3泊4日で出かけました。寒い中、盆踊りのロケを頑張りました。しかし、放送されたのはほんの一瞬でした。放送が無理であれば、せめて写真で田園風景や町並みを取り上げてもらえると記念になりますし、喜びますので、ぜひ検討していただきますようお願いします。

(矢野局長)
 松江放送局としては、視聴者の皆さまへの約束として、これまでの1年、「地域の未来を、ともに創ります」ということを1番に挙げてきました。それを形にするために5分番組や30分番組を作ったり、特集で討論番組を広島局とも連携して作ったりしています。私は、人々の生活や地域を豊かにするための放送作りをしなければ、誰のために放送しているかわからなくなると、常々言っています。これからも豊かな未来を作るため、現実をきちんと直視して地元の皆さんと取り組んでいきたいと考えていますので、叱咤(しった)激励をお願いします。

【会場参加者】
 まず、朝のテレビ小説についてです。DVDボックスとして発売されるのが早いものと遅いものがありますが、できるだけ早く発売してほしいと思います。それから、番組の音声ですが、セリフの音が小さいのに、主題歌に切り替わった途端に大きな音になります。バランスを調整してください。
 それから『坂の上の雲』は、とてもおもしろかったのですが、私が習った日清戦争の歴史と余りにも違いすぎたように思います。それから『草燃える』というすばらしいドラマがあり、今回、スカパーで完全放送されていますが、なぜNHKは再放送しないのですか。
 最後に、ニュースについてですが、残念なことにバンクーバーオリンピックの放送では、日本選手よりも韓国選手の活躍がたくさん取り上げられた気がします。

(塚田理事)
 NHKが過去に放送した番組は、これまでは再放送かDVDでしかご覧いただけませんでしたが、NHKでは、新しく「NHKオンデマンド」というサービスを始めています。見逃してしまった番組や、昔の番組などが見られるようになっています。ただ、権利関係が極めて複雑なものもあり、全てがご覧いただけるまでには至っていない状況もありますが、こうしたサービスもあわせてご利用いただければと思います。
 それから、バンクーバーオリンピックのニュースの取り上げ方についてですが、NHKでは、競技の模様を現地からかなりの時間、生中継で放送しました。結果をお伝えするニュースの場合は、時間にも限りがありますが、視聴者の皆さんの関心にお応えできるよう、日本人はもちろんですが、他の国の選手でメダルを取るなど、いい演技をされた方は紹介するという両面を考えながら総合的に編集しています。
 『坂の上の雲』については、司馬遼太郎さんの原作をもとに、脚本諮問委員会でいろいろと検討し、放送を続けています。今進行中の番組ですので、ぜひ引き続きご覧いただければと思います。

【会場参加者】
 先般、『新日本風土記 出雲〜祈りの大地 神々のふるさと〜』という番組を見ました。平成24年が古事記編さん1300年で、島根県の歴史文化を県内外、あるいは国外にアピールする意味で、こうした番組は大変ありがたいと思っています。番組では、長期間にわたる取材や一般には手に入らないような映像もありました。こうしたNHKならではの質の高い番組を今後も作っていただきたいと思います。また、日本の歴史文化を国外に向けて情報発信することもNHKの役目の1つだと思いますので、ぜひ今後ともこうした番組を作り、発信してください。

(矢野局長)
 番組をご覧いただきありがとうございます。『新日本風土記 出雲』は、長時間のスペシャル番組でしたが、出雲大社の全面的なご協力により、なかなかふだん入れないところにも入れていただきました。地域に根ざした文化を映像に収め、放送だけでなく、いろいろな形でご利用いただける機会を増やしていきたいと思います。

 

 

第2のテーマ:NHKの経営全般について

 

【会場参加者】
 受信料の支払率について経営委員にお願いです。支払率が非常に低い気がします。やはり9割ぐらいまでは引き上げるという気持ちを持っていただきたい。これからも値上げにならないよう経営委員の皆さんから叱咤激励をお願いします。

(小丸委員長)
 現場でいろいろな取り組みをしていますが、私も3割近い方々が払っていないというのは不公平だと思っています。この4月から3か年経営計画の2年目に入りました。支払率をどのように上げていくのか、また、24年度から受信料の10%値下げという大きな課題もあります。経営委員会としても、ご意見を真摯(しんし)に受け止めて、積極的な営業活動につながるよう監督していかなければいけないと思っています。

(井原委員)
 経営委員会では、毎月、執行部から受信料の収納状況や契約状況について報告を受けています。経営委員会からもさまざまなお願いはしていますが、ただ今のご意見を伺って、さらにその役目を果たしていきたいと思います。

(大西理事)
 私は、支払率は100%を目指して頑張りたいと思っています。NHKでは訪問集金を廃止して、そのパワーをシフトして、未契約の方、あるいは移動後にお届けをいただいていない方を対象とした契約活動に集中的に取り組んでいます。今、現場で最も課題となっているのは、ロックマンションで訪問してもなかなかお会いできない人が増えてきていることです。今後もさらに改革を進めていきたいと思います。それから、引越し等により住所が変わられる方が年間約300万世帯ありますが、引越し先の住所をお届けいただけないケースがありますので、個別に訪問して契約のお願いをすることに相当のパワーをかけています。支払率については、不公平にならないよう全力で皆さんの期待に応えていきたいと思います。

(井原委員)
 私が経営委員の仕事を通じて思うことですが、公共放送NHKが国民の皆さまに公正公平な情報をお届けすることが、民主主義の根幹を支える社会基盤なのではないかと思っています。そして、そのNHKを国民の皆さんからの受信料によって支えていただくというこの制度はすばらしい制度だと思っています。NHKをすべての方に支えていただき、それにお応えできる放送をNHKはご提供する。そのような関係でありたいと思っています。どうぞ受信料制度をご理解くださいますようお願いします。

【会場参加者】
 私はこれまで共聴施設でアナログのテレビ電波を受信していました。山の上に共同アンテナを立ててテレビを見ていましたから、樹木、竹などが繁茂して、電波障害を起こし、受信状況が悪くなるなどのデメリットを抱えながらここまで来ました。以前、NHKに地上デジタル放送の電波状況を調べてもらったところ、デジタル化になると共聴施設に加入しているほとんどの世帯は個別にアンテナを立てればテレビが見られることがわかりました。そこで、共聴施設の撤去費用についてデジサポに問い合わせしたところ、国は負担してくれないということでした。デジタル化によって、一般の家庭と共聴施設の加入者とで負担に差が出るのはおかしいと思います。

(塚田理事)
 デジタル化は、電波を有効利用するという国策ですので、本来はデジサポが答えるべきことかと思いますが、基本的にはデジタル化によってテレビが見られなくなることを最大限防ぐため、国やNHKがいろいろな条件に基づく助成制度を設けています。しかし、デジタル電波を受けていただくことがメインの政策となっているため、撤去費用の助成は難しいと聞いております。ご要望についてはNHKからも国にお伝えしたいと思います。

【会場参加者】
 受信料についてですが、例えば長期入院や死亡で家に誰も住んでいない場合でも、その家にテレビがあると受信料を支払わなければならないのでしょうか。そのような場合は解約できないのでしょうか。

(大西理事)
 一人住まいの方が病院等に長期入院をしていることが客観的に証明できれば、その時点で受信料の一旦解約はできます。ただし、お届けがあった月から解約の扱いになりますので、長期入院されることがわかっている場合は、なるべく事前にご連絡をお願いします。受信料は日割りではなく月単位ですので、その点もご理解ください。

【会場参加者】
 私は小学校に勤めています。小学校は平成23年度から教育課程が変わり、これまでのゆとり教育が見直され授業時間数が増えます。NHKからも学校放送番組にかかわる資料を送っていただいて大変感謝しています。今後もよろしくお願いします。また、5年生の社会科の授業などで、NHKのスタジオを見学させていただいており、大変喜んでいます。
 それから、私も『ゲゲゲの女房』に関連して地域でいろいろな活動をしています。NHKからは地域を元気にするためにいろいろな展示品を貸していただいたりして、松江放送局とも連携はうまくできていると思っています。ただ、一点だけ申し上げると、NHKのような大きな組織になればなるほど、担当ごとの部署があって、ある窓口が了解しても、別の窓口は知らないということがあり、やや内部の連携が取れていないと思うことがあります。内部の連携をうまくとっていただけると、お願いする側もスムーズにことが進むのではないかと思います。
 最後に、NHKらしさは「安心・安全のNHK」だと思います。また、学校でも言語活動の充実を図っていますが、日本の言葉はやはりNHKが作っていくと思っています。地域の人々の付き合いによる教育力が下がっている昨今にあっては、NHKが世の中を作っていくのだという気概を持って活動していただけるよう今後も期待しています。

(大西理事)
 「安心・安全」ということでは、東京のNHKでは、夜の最終のニュースが終わった後、毎日、災害報道の訓練を365日休むことなく行っています。皆さんの生命や財産を情報によって守る、そのための情報をお伝えすることがNHKの使命だと思っています。今後も皆さんの見えないところでの活動を含め、しっかりやっていきます。
 それから、『ゲゲゲの女房』については、地元の方々のご期待が大きいことがよくわかりましたので、ドラマの制作者に一層頑張るよう伝えます。それから組織間の連携については、私どもそれぞれの担当理事も連携を密にとっていきたいと思います。

(井原委員)
 放送教育についてですが、私は理科の授業でNHKのデジタル教材を使っている小学校の現場を見学したことがあります。そこでは、種から芽が出る様子を撮影したビデオを使って授業をしていました。私が感心したのは、種から芽が出るシーンを逆回し再生をして、出た芽は確かに種の中にあったということを示していたことです。その映像を見て、子どもたちは歓声をあげていました。私はその様子を見て、NHKの映像はこういう役立ち方もしているんだと実感しました。若い人がなかなかNHKを見ないということがありますが、このように学校教育の場でのNHK番組の利用を通じて、子どもたちにも「NHKの番組はいいな」と思ってもらえるよう、お力添えいただければありがたいと思います。

【会場参加者】
 先日、朝ドラの『ゲゲゲの女房』や『だんだん』の舞台となった地域に行って来ました。そこで、朝ドラは本当に町おこしの大きな力になっているんだとつくづく感じました。『だんだん』のときはたまたま現地でロケがあって、番組のプロデューサーが声をかけてくださり出演者ともお話ができました。ロケの様子を見て、皆さんがいろいろと努力されていることにすごく感動しました。私もなんとかドラマを成功させようと親戚や知人に電話をしたり、番組のパンフレットを送って宣伝しました。
 それから、今日司会の永井アナウンサーが松江から東京に異動されて、朝の『生活ほっとモーニング』のキャスターを担当していましたが、私はそれを本当に楽しみに毎日見ていました。NHKには永井アナウンサーのようにすばらしい方がたくさんいらっしゃいます。ですから、一般のタレントを使わずに、いい人をたくさん育て上げていただきたいと思います。

(永井アナウンサー)
 本当に温かいお言葉をいただき、ますます頑張らなければいけないと思います。最近は確かにタレントを使う番組も多くなってきました。ちょっと偉そうな言い方になりますが、自分たちアナウンサーでなければできないこともたくさんあると思います。そのことを大事にしていきます。ありがとうございます。

(大西理事)
 若手のアナウンサーも育ってきています。
 また、アナウンサーは全国の小学校で朗読をして聞かせるという取り組みも行っています。朗読を通じて話す力を伸ばしていく、そういう取り組みも広げています。

【会場参加者】
 今年度から『Bizスポ』という番組が始まりましたが、この番組で海士町の住民の地域活動を大変すばらしい形で取り上げていただきました。ただ、放送時間が夜の11時でした。夕方のローカル番組でも取り上げていただいて、地域の活動をみんなに知っていただく、さらには地域の活動を全国に広めることもとても大事なことだと強く感じました。

(永井アナウンサー)
 確かに夜の時間帯の放送やその地域だけしか見られないケースがありますので、いろいろな形で取り上げることも大事なことだと思います。

(矢野局長)
 海士町の活動については、6時10分からの放送でも何度か放送しました。海士町の活動だけではなく、隠岐の島前での医療についても取り上げました。都会の大病院のように時間に追われる医療ではなく、地域の人と向き合って活動されている方々を紹介し、私も大変感銘を受けました。病院に行って、1、2時間待たされて、たった5分しか診療してもらえないという問題は一地域の問題ではないことから、この話題を全国発信するように提案しました。これからもそういった課題については、長期的に継続して、全国発信できるよう松江放送局としても取材力をつけていきたいと思っています。ぜひ、いろいろな話題を提供していただければと思います。

 

 

<各経営委員のまとめ>

 

(井原委員)
 私は、この語る会に出席するたびに思うことがあります。NHKで仕事をすることの責任の重さ、幸せとも言えるありがたさです。今日、ここにおいでくださった皆さまからNHKに対するご意見やお声をいただいて、改めてその責任の重さと幸せとを強く感じているところです。この地に暮らす皆さまがどれほどまでにNHKを大切に思ってご覧いただき、あるいはお聞きいただいているか、日々の天気予報も災害報道も、あるいは政治報道、地域番組、そして歌番組など、大切に見てくださるからこそのご指摘であり、あらためて身が引き締まって胸熱くなる思いです。
 NHKは現在、放送と通信の融合という大変大きな、そして厳しい激変期の中にあり、公共放送として望ましいあり方を懸命に考えつつ取り組んでいるさなかです。その望ましいあり方を考えるにあたり、本日いただいた一つひとつのご意見やご要望を大切に反映してまいります。私は公共放送NHKの「共」の意味合いがきわめて大事だといつも思っています。皆さまと共に、地域と共にあるNHKとして、ご期待に応えられるよう役職員一同頑張ってまいります。

(勝又委員)
 私は経営委員になりまして、ちょうど1年が過ぎました。今でもまだ、NHKのあり方、あるいは公共放送とはいったい何なのかということを勉強しているところです。情報が世の中にあふれかえっていますが、NHKは独り善がりにならない放送を皆さまに提供していかなければなりません。そのためには、皆さまのご意見を真摯に受け止めて、それを反映させていかなければいけないと思っています。今日いただいた、一つひとつの個別のご要望につきましては、理事から現場にもお伝えすると思いますが、私ども経営委員も、それら個別のことを念頭に置きつつ、全体としてどのような公共放送を作っていくかに思いをいたさなければいけないと思っています。
 それから、もう1つ、地域のちからに関して皆さまからいろいろなご意見を伺いましたが、この島根の地域には日本が世界に誇れる大変すばらしい文化があります。それを島根のものだけとするのではなく、みんなにも広めていかなければいけないと思います。また、文化・風土だけではなく、この地域の高齢者の方々が本当に頑張って地域を豊かにしている力こそが本当の意味での地域の力だと思います。そういうものを放送を通じて、各方面に伝えていければと思います。その意味で、本日はいろいろなご意見を伺えて、私としてもとても勉強になりました。

(小丸委員長)
 本日は皆さま方には大変お忙しい中「視聴者のみなさまと語る会」にご参加いただき、本当にありがとうございました。
 皆さまからのご意見をお聞きし、皆さまのNHKに対する期待の大きさ、そしてNHKの公共放送としての責任の重大さを今さらながら実感しております。皆さまからいただいた貴重な意見は経営委員会で報告させていただき、NHKをよりよくしていくための議論に生かしてまいりたいと思います。
 私ども経営委員は、放送法によりNHKの個別番組の編集には立ち入ることはできませんが、正確で公平、公正、中立な報道に努め、放送の自主・自律を堅持し、不偏不党を守り、質の高い番組をあまねく全国津々浦々に提供すること、および国民の皆さまの安全・安心のための災害・緊急報道や、我が国の情報を海外に向けて発信することが公共放送NHKとしての使命であろうと考えております。これからもNHKがその使命を果たし、視聴者の皆さまから今まで以上に親しまれ、信頼されるよう、経営委員会も執行部とともに最善の努力をしてまいりますので、なにとぞ皆さまのご支援をお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

 

 

<終了後の経営委員の感想>

  • 地域の人々が、いかにNHKの地域にかかわる番組を大切に思い、期待しているかを痛感した。その意味で、それぞれの地域ならではのご意見を伺うことの意義を強く認識した。
  • 多くの人にNHKをご覧いただいているという状況は、NHKに対する好感度も高いということの表れであり、ありがたいことだと思った。一方で、島根県のように高齢化が進んでいる地域でNHKが「放送局のちから」を発揮したり、地上デジタル化を推進するにあたっては、さまざまな取り組みが必要なことを痛感した。

 

<当日会場アンケート集計結果>

質問1:性別

男 性 女 性 不 明
23 5 7

質問2:年齢

  10代 20代 30代 40代 50代 60代 70歳以上 不明
男性 0 0 1 4 4 6 8 0
女性 0 0 0 1 1 1 2 0
不明 0 0 0 0 0 2 4 1

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか

放送 ホームページ 知人から聞いて その他
17 3 4 6

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

①大変満足 ②満足 ③ふつう ④不満 ⑤大変不満
5 19 8 1 0

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

①経営計画、予算説明等 ②放送について ③経営など全般について ④ゲゲゲの女房
3 24 5 6

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

①大変よく知っていた ①よく知っていた ③知らなかった ④その他
0 12 23 0

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

①理解が深まった ②特に変わらない ③わからない ④その他
24 4 3 2

 

 

<当日会場アンケートに記された主なご意見(抜粋)>

放送、イベント等について

  • 正しい言葉のアクセントには一層注意してほしい。ラジオの実況中継も見ていない人に現場の状況がわかるような実況をしてほしい。
  • 前年度、NHKの番組モニターを担当し、番組の見方・考え方などを勉強させていただき感謝している。ただ、モニター終了後、流れ解散ではなく放送局からお礼、もしくは「貴重なご意見を番組に生かしていきます」くらいのあいさつ状があってもよかったのではないかと思う。
  • 少子高齢化の時代でシニアの意見も大事だが、将来を担うジュニアの意見も多く取り入れ放送番組の改善を図ってほしい。
  • 『たべもの一直線』『ふるさと一番』のゲストの食べ方に注意してほしい。物を食べるマナーをもっと勉強してほしい。
  • 番組の視聴率でなく、質を重点に作ってほしい。
  • だんだん戦争経験者が少なくなるので、陽のあたらない場で、犠牲となられた方について取材し放送してほしい。
  • 『ご近所の底力』の最終回はすばらしかった。7年続いたのに残念だ。
  • これからも品性のある番組作りをお願いしたい。

 

経営について

  • 経営方針4「地域を元気にするための拠点となります」に大いに期待している。特に地方局の存在や地方発の番組の占める割合が高くなってほしい。
  • 今回、参加者から出たさまざまな意見を、すべてとは言わないが、実現させてほしい。
  • 前向きな意見を聞き、安心するとともに期待している。
  • 受信料の徴収の担当者は大変だが、頑張ってほしい。
  • NHK経営委員の方々の生の声が聴けたことは有意義だった。
  • NHKを含め、今日まですべて日本は経済優先主義できたと思うが、環境が変わりつつある今、NHKは主体性を持ち、社会の人のためにより以上の厚情を持って、日本をリードしていただきたいと思う。
  • 今回の会場に、若年層がいなかったことに驚き、若い世代のテレビ離れが見えたように思えた。

 

受信料について

  • 受信料の支払率が低いのは、NHKを見ないからではなく、「支払わなくても不利にはならない」という意識があるからではないか。「損をしないこと」という思いを教育し直すことが必要だと思う。
  • 受信料については、25年度末に支払率78%、24年度から10%の還元、このことが確実に実行されることを期待している。

 

語る会の運営等について

  • 若年層の視聴拡大に向け頑張っているようだが、本日の参加者は高齢者ばかり。大学生や新社会人などに声をかけ、意見を聞いてもよかったのではないか。
  • 一人の意見が長すぎると感じた。
  • 本日の「語る会」は、とても誠実さにあふれていた。今後のNHKの取り組みを楽しみにしている。
  • 参加者の意見からNHKに対する関心の深さと期待の大きさがとても伝わってきたことがよかった。
  • 発言者が多数で、活発な意見交換の場となった。
  • 非常に勉強になった。