韓国がイスラエルのまねをするのは難しい。この70年の間に、同じ民族同士で1回戦争した国と、アラブ全体を相手に4回以上も戦争した国とでは、「尚武の精神」が違う。両国国民の勇気と度胸の差は、歴史の中で味わった苦難の濃度に比例するのだろう。血で血に報いる彼らの生存術は、望ましいものでもない。分裂した中東では通じるというだけで、大国に取り囲まれた北東アジアでそんな行動を取ったら、地図から国が消えかねない。それでも、韓国人はおかしい。韓半島危機説が出ると、真っ先に株価の心配をする。北朝鮮の核施設を爆撃したら北朝鮮の無差別攻撃でソウルが火の海になるという脅しを、当然のことのように感じている。米空母機動部隊に韓国人が身震いしているという現実は、ここから来ている。国防費として毎年38兆ウォン(現在のレートで約3兆6000億円)注ぎ込んでも、これほど揺らいでいては、韓国は誰にも勝てない。いつか、同盟国たる資格も疑われるだろう。
韓国大統領選のある候補は、北爆説に関連して「戦争は絶対にいけない」と語った。国民全てが同じ気持ちだ。戦争を恐れない人間はいない。しかし、国の指導者はそう言ってはいけない。そう言った瞬間、正常な妥協は水泡に帰し、屈従だけが残る。このごろ大統領選挙に出た候補の間で一番ひどいジョークは「男版・朴槿恵(パク・クンへ)」というものだ。そんなあざけりを受ける境遇ではあるが、朴・前大統領にも評価すべき業績はある。その一つが、軍事衝突の危機に強く対応し、地雷事件で北朝鮮から遺憾表明を引き出したことだ。我執と不通の政治の裏には、こういう強い一面もあった。朴槿恵時代を否定はしても、これだけは学んだ方がいいと思う。