【コラム】米空母の到来におびえる韓国人

 イランの核は北朝鮮の核とは違う道をたどったが、ここでは手荒な隣国が大きな役割を果たした。イランの核開発問題が持ち上がると、イスラエルは「米国が阻止しないのなら、われわれが核施設を爆撃する」と主張した。口先だけにとどまらず、実際にイランの核科学者5人を暗殺した疑いまで持たれている。さらに、別の隣国サウジアラビアのアブドラ国王が米国に要求した際の言葉も恐ろしい。アブドラ国王は「ヘビの首をはねてほしい」と言った。イランに対する先制攻撃の要求だった。手荒な隣国が騒ぎ立てる中で、米国はイランに対してカードを切った。「妥協、さもなくば爆撃」。明確なシグナルだった。ゲームの定石と言える。

 北朝鮮の核がイランの核問題と違う道をたどったことについて、人々はさまざまな理由を挙げる。北朝鮮の生命線を握っている中国が北朝鮮を擁護し、北朝鮮の核問題に微温的だからだと恨みがましい。米国が中東問題やテロ問題にばかり神経を使い、北朝鮮の核問題を放置したことで「失敗した30年」を招いたのだとも非難する。無理な批判ではない。米中は核の既得権者として、韓国の核武装を妨げている。どんな手を使ってでも北朝鮮の核武装を阻止すべき義務が、米中にはある。もちろん、だからといって隣国たる韓国の責任まで消えるわけではない。

 4月10日の夜、日本の公共放送NHKが、韓半島(朝鮮半島)の緊張状況について報じた。米原子力空母の機動部隊が韓半島(朝鮮半島)方面に移動したと報じるとともに「北爆説」を紹介した。米国政府の強硬な姿勢から察するに、単なるデマと見過ごすことはできない、というニュアンスだった。しかし「実行は難しい」とも伝えた。韓国政府が、自国民への被害を恐れて北爆に反対しているからだという。折しも、これを裏付ける発言が韓国政府から出てきた。韓国統一部(省に相当)は「(北爆説を)強く懸念する必要はない」とコメントした。長官も乗り出して「安全保障の中心は国民の安全を守ること」と発言した。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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