極端に頭が良かったり悪かったりしない限り、人間の頭の良さなんてものは大差がない。
始めからテキパキと仕事をこなす同僚を見て、あの人は頭が良いからなんて言葉で片付けてしまってはいないだろうか。
以下のことは頭の良さには関係ないのに人から頭が良いと思われてしまう内容だ。
頭が良くなくてもできることなのでぜひ身につけてほしい。
・準備がしてある
主に建築業などで使われる鉄則の一つに、「段取り8現場2」という言葉がある。
仕事の良し悪しに対して現場で決まるものは全体の2割程度に過ぎず、現場に入るまでの段取りでほぼ決まるというもの。
つまり何も用意せずに現場に入ったところで仕事がまともに進むわけがないということも意味している。
今日はどんな仕事を行うのか、始まるまで何も考えずに待っていたなら仕事は一瞬で準備に追われてしまうことになる。
予定を早め早めに確認することで、出来る限り先回りして準備をしておくことができれば、仕事が早い人にも簡単に追いつけるようになる。
・考え始めるのが早い
準備を大切にすることと似ているが、これはもう少しその場その場で求められる考え方でもある。
例えば、上司に「これについてどう思う?」と聞かれてから考え始めるのでは遅いということだ。
日常生活を思い返してほしい。
毎日のように繰り返される同じ動作は、次の動作に向けて最適化されているはずだ。
それはつまり、意識せずとも次のことに対する思考が開始されているということであり、しっかりと先読みが行われているから動作に無駄がないのだ。
未知なものに対して先読みを働かせることは難しいことかもしれない。
しかし、出来る限り次のことに対して考えておくことを癖づけておくことで、はたからは回転が早い人と同じに見える。
・着地点を考えて行動している
目の前の仕事を目の前の仕事だけだと考えていると、その仕事はその仕事に限ってしかパフォーマンスを発揮することがない。
新人の頃は、それでも全体のパフォーマンスにつながるような仕事の割り振りをされるのだが、だからといってその通りにやっているだけではやはり成長は遅い。
自分が受け持っている仕事が全体に対してどのような影響を持つものなのか、与えられた条件が全体に対してどのような意味を持つものなのか、そんなことを考えながら仕事に取り組むとよい。
そうして仕事の結果に一貫性を持たすことができれば、それは時に与えられた仕事以上の結果を生んだと言うことができる。
・しっかりと観察する
一見同じように見えるものでも、たった一つの条件が違うだけで真逆な答えを必要とすることが日常的にある。
そうした違いを見極めるためにも、色々なものを日頃から観察しておくことで「普通とは何か」を体感的に把握しておくことが重要だ。
そうすれば瞬間的な観察眼の鋭い人間に対しても、同等に違いを発見できるようになる。
ただし、してはいけないことは必要な内容まで端折ってしまうことだ。
プロとアマチュアの違いは、出来上がったものではなく出来上がりまでの時間だと寿司職人が語っていた。
同じ単位時間に同じ品質のものを沢山作れるのであれば、つまりそれはより高い価値を生み出しているのと同様である。
常に作業に取り掛かるときは、どうすれば無駄をなくすことができるか、手数を減らすことができるかを考えていれば、仕事が早い人間に少しずつでも近づくことができる。
これらは常に相関関係にあり、どれか一つを満たすだけでは良い仕事とは言えない。
時間を短縮させるために品質とコストを犠牲にしました→◯時間、☓品質、☓コスト=-1
時間を短縮させるために、品質はそのままに少しだけコストをかけました。→◯時間、◯品質、☓コスト=+1
どれか一つにこだわることで他二つを犠牲にすることだけは避けたい。
これらをまとめると、つまり一言で言えば頭が良く見える人間とは、日頃から考えることに時間を割いている人間と言い換えることができる。
そのちょっとした積み重ねの違いが、長い時間をかけて大きな差になってしまうのだ。
早ければもう間もなく仕事のできない人間同士による足の引っ張りあい、落伍者への引きずり込みが始まる頃だろう。
寂れた居酒屋みたいな小さなコミュニティで圧倒的正義に対して批判することでしか自我が満たせない人間になってしまう前に、予防線型頭の悪いプールからさっさと抜け出してしまおう。