【社説】北朝鮮問題に「戦争反対」としか言えない韓国大統領候補たち

 米国による北朝鮮の核施設に対する先制攻撃の可能性に関心が高まる中、13日に開催された大統領候補者らによる最初のテレビ討論会において、5人の候補者たちはこの問題で全員が同じような意見を述べた。「米国が北朝鮮に軍事攻撃を行おうとした場合、大統領としてどう行動するか」との質問に、ほぼ全員が「事前に米国と中国の首脳と電話するか、特使を派遣してそのようなことが起こらないようにしたい」と述べた。違う点があるとすれば、革新系の共に民主党所属の文在寅(ムン・ジェイン)候補が「北朝鮮に対してもホットラインを通じて挑発をやめさせる」と述べ、保守系の正しい政党所属のユ・スンミン候補が「(先制攻撃をする場合でも)韓米両国が合意し、全ての軍事的備えを行った上でやらねばならない」と付け加えた程度だ。

 現在、韓国が置かれた状況ではおそらく誰もが同じような回答をするしかないだろう。全面戦争であれ局地戦であれ、先制攻撃が行われれば戦線が拡大するのは避けられない。そのため先制攻撃そのものに賛成と明言するのは簡単なことではない。しかし少なくとも国家の命運を背負う大統領を目指す人物が「先制攻撃には無条件で反対」としか言えないとなれば、これもどこか物足りないと言わざるを得ない。

 先制攻撃は北朝鮮が核とミサイルによって何らかの挑発に乗り出す徴候が確実に現れたと判断された際、予防的あるいは自衛的な次元から行われる。また米国が韓国政府に事前の通告なく一方的に攻撃を行うのは不可能だ。大統領や国防長官の次元以外にも、最低でも3-4段階にわたる協議を行うことが両国の間ですでに定められている。米国が先制攻撃を行うしかないと判断するような状況は、北朝鮮からの攻撃あるいは最終段階の挑発行為が明らかになった瞬間だろう。しかし今はそのような状況ではない。米国が空母を中心とする艦隊を韓半島(朝鮮半島)周辺海域に配備していることについてトランプ大統領は「北朝鮮による追加の挑発を阻止するため」と明言している。ただし今後米国が先制攻撃をせざるを得ない状況になれば、韓国として無条件でこれに反対するわけにはいかないことも明らかだ。

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