2011年06月05日

スマドラ、クワドラ、氷室mini、2.5HDD静音箱対決

久々に自作静音ネタ。アルミ部材がふえるよ!やったねたえちゃん!
自作ネタは検証作業量多いからやりたがらない自作系静音ブログ「ゆるゆる回す」です。

HDDの静音化は自作静音の一大テーマですが、2.5インチサイズに関してはあんまり製品がありません。SSDの登場と5400rpmでも十分に性能が得られるようになった関係で、HDD静音アイテムはすっかり下火です。
ましてやデスクトップに2.5インチ使うなんてニッチだし、元から静かだし…とアイテムが少ないのも納得。
しかし、いくら3.5インチに比べて静かといえども、静音患者的には裸で我慢できるレベルではありません。

3.5インチと2.5インチの比較とかは後のお楽しみにしとくとして、今回は2.5インチHDD用の静音箱を試してみます。
放置してた用意した静音箱は以下の3種類

御三家?
SMART DRIVE Proof25
QUIET DRIVE2.5
氷室MINI

です。

なんか明らかにかませっぽいのが一つ有りますが、一番HDDを静かにしてくれるのはどれなのか比較してみましょう。

今回、製品紹介で無駄に画像が多いので結論だけ気になる人は一気に最後まで飛ばして下さい。
ていうか、だいたい予想つくよね?その通りです(終)


測定前に一つずつ外観チェック。

◎SMART DRIVE Proof25
スマドラ2.5
HDD静音箱としては大定番のスマドラの2.5インチ版。
名前にproofとついているのはwater-proofの事らしく、完全密閉による防塵防滴がアピールされています。
防滴性能が嬉しいかはともかく、完全密閉は遮音性の面で非常に大きなメリットです。
元々安くないシリーズな上に完全密閉のためにコネクタ部のコストもかかっており、かつ絶対需要が少ない製品だけに価格がアホみたいに高いです。
正直舐めとんのかって思う。

SATAよりpin数多いのでコスト高
何故かコネクタがSAS29pin仕様になっており、ディスク側は問題ないですが普通のSATAケーブルが刺さりません。
普通の2.5インチHDDを静音化するなんて発想は全く無くて、SASの15krpmみたいな高速ディスク用だったのかもしれません。

補強しないと抜けるかもね
SATAのHDDを使うには別売りのSAS-SATAケーブルを購入する必要があります。
追加で出費するのは嫌なので余ってるケーブルのL字部分をカッターで加工して利用。自己責任。

シンプル
構造的には初代スマドラと同じで、厚いアルミの外箱に吸音シートを入れ、更にアルミのインナーケースで固定。
7mmはもちろん、13.5mmのデカいHDDもOK。まあSAS用だから当然だね。

ナイスゴム
外蓋はアルミ、ゴム、吸音シート、アルミという4層構造。

びくともしない
インナーケースがかなりキツめになっており、2.5HDDの軽さもあって一度セットすると挟み込んでるだけなのにガッチリ固定されます。外すのかなり大変です。
よく見るとインナーケースの手前部分はくさび状に削られており、はめ込みやすいように一手間かかってます。

334g
蓋を閉じるとロゴも無い黒い箱。
またネジ穴についてはサイドしか開いておらず底面固定はできません。ANTECのシリコンマウントとかは使用不能。いーもん床置きするから。


◎QUIET DRIVE2.5
QuietDrive2.5
サイズが出した静音箱。3.5インチ版ともども、スマドラの半額以下の値段で結構人気でした。
通称クワドラ。開封直後は中のゴム材が大変臭いのでイカドラとも。
残念ながらかなり前にディスコン、現在は入手困難。

仕上げは全くやる気無し
外観はただの黒い箱でスマドラと似ている。

3層構造
パーツ数はスマドラと比べてかなり多い。

この時点で重い
まずはかなりゴツいインナーケースでHDDをサンドしてネジ止め。
ちなみに13.5mm厚のHDDは乗りません。

イカ臭いゴムで挟む
これを極厚の熱伝導シートで上下サンドして外箱に納める。
外箱はサイドに吸音シートが貼られてますが天面底面には何もなし。
5mm厚の熱伝導シートが防いでくれるって考えでしょう。

外蓋がコの字というかケーブル口以外の三方が曲げてあり、サイドからネジ止め。
これ、サイドは分厚くなって良いですが、横からネジ止めって事は上から押さえつけていないので密閉性が少し不安。

431g
スマドラと同じく底面には固定用のネジ穴が開いてないので注意。
ケーブルは箱の隙間から出します。隙間は吸音シートで塞いであります。


◎氷室MINI
氷室MINI
最近発売された2.5インチ版氷室。
サイズの氷室と言えば「安い」「冷える」「無いよりマシ」と三拍子揃った(?)製品で3.5インチでもそこそこ人気があったようです。
今回の2.5インチ版でもその特徴「安い」に関しては疑いなく発揮されております。

冷却重視
冷却性が売りなのでヒートシンク状。

てけと
コの字のパーツが2つ。極厚の熱伝導シートが2つ。
外箱の裏側には天面に硬質スポンジ、サイドと底面に薄い熱伝導シート。
底面に敷く熱伝導シートはHDDの厚さによって使う数を変えるということで9.5mm厚の場合は1個使用。
そんな風に調整するくせに2mmくらい隙間ができますが。

無対策
ケーブルの口はガッツリと開いてます。

固すぎる気もするが
固定部はこんな感じで硬質ゴムにネジ受けを埋め込んでおり、着脱可能。


◎見た目とか比較
同じサイズ
スマドラとクワドラのサイズは3.5インチHDDと完全に同一です。氷室MINIはかなり小さいですね。

ゴメン写真だとわかりにくいね
一見よく似ており、外箱のアルミ厚も同じスマドラとクワドラですが、曲げ加工等の仕上げはスマドラの方が丁寧。見た目なんてどうでも良いと思われるかもしれませんが、仕上げ精度は密閉性に大きく影響するから結構馬鹿にできない。
ケーブル用の開口部に関しては、
スマドラ(完全密閉)>クワドラ(吸音シートで蓋)>氷室(全開)
となっています。

249g
制震性で重要となる重量については、
・SmartDrive:334g
・QuietDrive:431g
・氷室MINI:249g

となっており、ゴツいインナーケースと熱伝導シートを持つQuietDriveが一番優秀です。


◎騒音測定
それではお楽しみの実測に入ります。

測定対象として、HDDには東芝 MK7559GSXPを使います。
5400rpm375GBプラッタ2枚のモデルで、2.5インチ静音HDDとしてはわりと定番。
ただし2プラッタなので、320GBプラッタ1枚モデルのMK3265GSXなんかと比べると静音性は劣るはず。

3.5と2.5比較
測定位置なんですがちょっと悩みまして、後々3.5インチと比較できるような条件がいいんですが、3.5インチHDDは円盤がコネクタの反対側に位置してるのに対して、2.5インチは円盤がコネクタ側にあるんですよね。
騒音計で測定できるHDDの最大ノイズは基本的にディスク回転の風切り音なので円盤の外周部から等距離で測定したい所です。
で、今回の2.5インチHDDではケーブル邪魔ですがコネクタ側の外辺5cmの距離で測定することに。
静音箱に入れた場合に(完全密閉のスマドラproof以外では)開口部から漏れ出る音の影響を大きく受けることになります。
ちょっとどうなのかなーとも思ったのですが、一番うるさい部分で計測するのが基本と思いますし、ディスク部分がコネクタ側にあるというのは3.5インチと比較した際に2.5インチHDDの構造上の欠点であるとも言えます。
なので、敢えてその欠点を踏まえ2.5インチHDDはコネクタ側外辺5cmで計測し、3.5インチHDDを測定する際は前後うるさいほうの外辺5cmで計測することにします。

全裸
てことで裸で計測する際はこんな感じで、

スマドラproof
静音箱ありだとこんな感じ。静音箱の中のHDDの外辺から5cmとなります。
HDDはスポンジの上に置いて、振動を殺します。
これは「どんな静音箱を使おうが振動対策は別にするべき」という自分的大原則に基づいています。
まあこの辺が理由で自分的にスマドラNEOは評価低いのですが…いや、アレの最大の問題はやっぱり熱処理か。

測定は通電してディスク回しただけのIdleと、USB変換で繋げてCrystalDiskMarkのRandomRead4KB実行中のLoadを計測。
注意点として2つあり、第一にこのHDDは接続した状態で無負荷が続くと回転数落としているのか、それともヘッドをしまって乱流が収まったのか、ともかく騒音が2〜3dB低減します。
Idle時として計測したい値はシークを行わない状態での通常のディスク回転音なので、USB接続を行わず通電するだけの状態にして上記の低騒音モードではない状態で計測しています。
第二に、Load時はシーク音の騒音値が欲しい訳ですが、シークのカリカリ音は騒音計では非常に拾いにくく、測定値にもほとんど出てきませんでした。
なのでシーク音については参考程度の扱いとし、主観的な感想も一緒に述べて誤魔化すことにします。

測定機器は小野測器LA-220。暗騒音は23dB以下(レンジ外)

[ケース無し]
・Idle…39.9dBA
・Load…39.9dBA


SmartDrive proof25
[SMART DRIVE proof25]
・Idle…30.9dBA
・Load…30.9dBA


QuietDrive2.5
[QUIET DRIVE2.5]
・Idle…33.7dBA
・Load…33.7dBA


氷室MINI
[氷室MINI]
・Idle…37.1dBA
・Load…37.3dBA


graph
うわー、まさに価格なりの結果。
重くゴツいクワドラが勝つ可能性もあるかなっと思ってたんですが、やはり完全密閉が効いたのでしょうか。

騒音計ではほとんど拾えなかったシーク時のカリカリ音ですが、実は裸状態だとほとんど聞こえませんでした。
しかし、クワドラと氷室に入れた時だけカリカリ音が聞こえました。スマドラだと裸と同じくほとんど聞こえません。
クワドラと氷室に共通するのは分厚い熱伝導シートなので、あの辺がカリカリ音を増幅したとか…?

HDD静音箱の性能としては冷却性能も検証しないと駄目な気もしますが、
めんどいのでしません。
いやー、5400rpmの2.5HDDで温度気にするとか無いよね。
もし7200rpmの2.5HDDを入れる事検討してるなら悪いこと言いません。5400rpmの3.5HDDを裸で使いましょう。

と言うわけで静音的にはSmartDrive proof25という結論。
まあQuietDriveはほぼ入手不可だしこれで良かったんじゃないかな。
お値段高いのは困りますが、2011/06現在Amazonで探すと安く売ってます。

氷室MINIについては大方の予想通りという事で。
分厚い熱伝導シートの使い道を考えよう。


さて、静音箱の性能評価が終わったところで、本格的に2.5インチに移行したい所です。
てことで、いよいよ3.5インチHDDとの対決に!
いないな先生の次回作にご期待下さい!!(やる気ゲージが貯まるまで時期未定)

まあ500GBプラッタが出てこないことには2.5インチは容量的に厳しいんだけどね…
出る出る言い続けてもう半年は待たされている気が…


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この記事へのコメント

1. Posted by トオリスガリん   2011年06月06日 23:59
いつも興味深く拝見しております。

トオリスガリの物です。
当方もスマドラ初代や二代目、またはその他格安インチキ静音ケースなど所有して居ますがいつも組み付ける時に気になって居る事がございます。

もしお手すきでございましたらば

静音ケースのネジ締め付けトルクや、ケース内防振材の圧入封止(限度はありますが)などで静音性能に変化があるか

を一度検証頂けないでしょうか?

当方音圧計なる高価な計測機器は所有しておらず、感覚で判断しておりますが、極めて薄い防振材を複数枚使用しかかる圧力を調整しつつその状態で、蓋を閉めて許容されるトルク最大付近でネジを締め付けると静音性能に通常状態とは明らかな差異があるように感じております。

2. Posted by inainao   2011年06月07日 21:29
おおざっぱに言ってHDDをどれだけガッチリ固定するかという話ですね。
2.5スマドラはHDDと蓋の間に隙間空きまくりでアレですが、3.5スマドラは蓋がジャストサイズで振動を押さえ込んでいますね。
お話に出てくる防振材というのは鉛シートではなくプチルゴム系の弾性のあるものと思われますが、全く身動きが取れないくらいに強く固定した場合、どうなるかは気になるので3.5インチを計測する時に試してみようと思います。
ただ、そういった制震材はそれだけでいくらか遮音効果があるのでその影響もあるかも。
逆に制震材にしろ吸音材にしろ、振動エネルギーを熱量に変換する物なので冷却能力が犠牲になるかもですね。
いや、ガッチリ固定した方が熱伝導性は上がるのかな?

最近、CrystalDiskInfoならUSB接続でも温度取れると知ったので温度も計測してみます。

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